「抽象化能力≒地頭」を伸ばす学習方法

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by 村中  公開: 更新:

今回は、「抽象化能力」の伸ばし方についてお話させて頂きます。
前回の記事(「抽象化能力」とは何か)で記載させて頂いた通り、「抽象化能力」とは、中学受験においてもその後においても非常に重要な力です。その能力は、一般的に「地頭」と言われるものと近しいものであり、大人になってからは「伸びない・本人固有の力」である、と一般的に人事の世界では、定義されています。しかしながら、発達が始まった段階である小学生の子供達の場合は、明確に異なると断言できます。

つまり、小学生は、「やり方、学び方次第で、一生ものの『抽象化能力』を伸ばすことができる」と考えており、今回はその具体的方法についてもお伝えさせて頂きます。

1: 「抽象化能力」は伸びるのか

まず、「抽象化能力」という学習効率そのものに関わる力、「地頭」と近しい概念で語られる力は、果たして伸びるものなのか、という話をさせて頂きたいと思います。

私はこれまで15年間以上、教育特に小学生の教育に関わってきましたので、経験則としてお伝えさせて頂くと、それは明確に伸ばすことが出来る、と言えます。

抽象化能力は発達する

具体的に申し上げますと、例えば指導の初期において、一つの論点を抽象的に身につける為に、5個の具体例の問題を解いて、それを3-4回繰り返す必要があった子供が、指導の後半においては、同じ難易度同じサイズの論点に対して、2-3個の具体例で、2回繰り返すだけで、論点が定着できるようになっているということが、よくよく発生しました。

図1

勿論、今までに身につけた関連知識があるからじゃないか、という話もありますが、厳密には関連知識を要求しない論点でも同じ現象が起こりました。

抽象化して定着するための必要な具体数や復習回数が少なくて済みますので、早い話、学習効率が2-3倍に飛躍しているということになり、「抽象化能力」が伸びた、と言い切ることができるのだと考えております。当然ながら、この抽象化能力は中学受験の他の科目は勿論のこと、その後に中学高校へと進学していく中でも、威力を発揮し続けるものですので、中学受験の勉強の中で保護者様のお子様達が、算数の勉強に取り組む中で、ぜひ抽象化能力を伸ばして行って欲しいと心から考えております。

抽象化能力は一生もの

2: 「抽象化能力」の発達方法

簡単に言いますと、「抽象化を促すような学び」に触れ続けること、です。特に優れたテキストは、綺麗にわかりやすく「ラベリング」がなされており、秀でた指導者は余計な情報を削ぎ落として、単純化を行うことができます。それを受け手の脳が、思考回路をたどり、真似をしていくことで、「考え方の型」として形成されて行った結果、「抽象化能力」が伸びていくことになります。前段でもお伝えさせて頂いた通り、少なくとも小学生段階においては「誰もが伸ばせる力」ですから、その意識をさせ続けることが、指導側の本来の役割だと考えております。

では、指導側として、どのようなテキストを使うのが良いかと言いますと、

1: 小論点ごとに細分化されていること

2: 小論点の解法にそれぞれ特徴的な名称がつけられていること

3: 小論点ごとに、いくつかの類題が連続して並んでおり、違いと共通要素が存在していること

と、なります。

残念ながら、サピックス(SAPIX)のテキストには、特に3が不足している印象があり、

デリサポが、デリサピの数値替え主体で構成されていて、一見異なるものの実は同じ論点の問題数が少なく、幅が狭い

デイリーサピックスとデリサポの冊子が分かれていて、同論点の問題を連続して解くのに手間がかかる

デリチェもマンスリーも基本的には数値替え問題が主体になっており、小論点を本当に抽象化して理解できているか、が判断しづらい

という、懸念材料があります。

元々抽象化能力が高いお子様であれば、それでも脳内で抽象化されているので良いのですが、そうでないお子様の場合、実は同論点の問題でも解けないことが発生する可能性があり、また抽象化を確実に養成するような構造にはなっていないと言うことができます。

但し、間違ってはいけないのは、「デリチェもマンスリーも取れていなければ、そもそも抽象化云々以前の問題」である、ということは改めて伝えておきます。あくまでもデリチェでもマンスリーでも出来ていた論点が、実力型のテスト(サピックスオープン等)で、解けないという場合について言えることではあります。

3: 「抽象化思考」を用いた具体的学習方法

では、とはいえ、集団塾のテキストに準拠して学んでいくことしか現在は出来ませんので、そのような中でどうしていくべきか、という方法論になりますが、大きく三段階あります。以下は算数の勉強についての具体例を記載させて頂きます。

1: ラベリング

名前をつけよう

一つ一つの解法に、覚えやすい名称付けを行う。その解法の名称をポイントとして問題ごとに記載していく。つまり、「猫」や「虎」という名称をつけていくことです。名称がないものは、「なんとなくあれ」というものになり、覚えにくく忘れやすいからです。

2: ラベルの認定要因を明確にする

何があれば猫?

なぜ、その時に、その解法を選択するのか、ということを明確にする。「●●と●●があったら、猫」「●●で●●だったら、虎」というラベリング判断を行えるように、判断基準を明確にしていく訳です。指導者は、口頭で確認していき、判断基準が違っていたら修正していきます。本人が一人で勉強する時も、自分なりの言葉で良いので、書かせていくことまでできればベターです。

3: ラベル同士の違いを明確にする

似たようなラベルだけど、どこが違うのかを明確にする。

これは猫?

この3段階目は応用編です。2段階目までで基本的には5年生の学習や6年生の標準レベルとしては、十分と言えるでしょう。ただ、難関校の入試問題になれば、解法選択自体が難しい問題が出てきます。その場合には、より細かな判断ができるようにしていきます。「●●と●●があり、一見猫に見えるけど、●●が●●なので、実は虎」という、ラベル同士の判断の細かな違いについて、明確に線引きできるようになっていくことです。ここも指導者は口頭で、本人が一人で勉強するときはノートに書かせていくと良いでしょう。

ただ、上記は保護者様に大変な負担がかかってくることは間違いがありませんし、そもそも勉強の内容を十分に理解出来ていなければ、●1のラベリングや、●2のラベルの判断方法について正しいアドバイスをすることは、教育のプロではありませんので、どうしても困難が付きまとうと考えております。

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