『開成中学入試の解体新書(2019年版)』開成の算数対策の全貌【開成過去問10年動画解説つき】

view数19821

by 村中  公開: 更新:

徹底したデータ分析に基づいた開成中学入試の解体新書

ここでは開成中学の直近6年間の入試を解体・徹底分析し、一般の方からは非常に見えづらい入試および入試問題の特徴を明らかにすることを通じて、世間一般で言われている常識とは異なる考察をお伝えし、入試突破にあたっての体系的な指針を提供することを目的としております。

特に開成中志望の6年生は、早速プリントアウトして頂き、保護者さまとお子様とで何度でも見返して頂きたい内容になります。

入試対策において「全ての科目、全ての分野、全てのポイントを対策すること」は時間と能力に余裕があればそれがベストです、でもそれはあくまでも理想論です。

現実は、時間との戦い・屈強なライバルたちの戦いであり、その為には時間対効果が高いと考えられる勉強を入試突破に向けて戦略的に行う必要があります。夏休み以降の後半戦、開成中突破の頂に向けて最短・最速で登って頂く為に、是非ご活用頂ければ幸いです。

また、8月からスタートした最難関校過去問10年分算数動画解説サービス(苦手分野・難易度の自動分析機能つき)についてご興味があられる方は以下よりご覧ください。

   
   
   
コベツバ過去問解説動画〜男女御三家〜
   
   
   

1: 開成中学入試の基本情報

1-1: 開成中学の偏差値(サピックス・日能研・四谷大塚)

以下が開成中学校の近年の偏差値(80%合格ライン偏差値)です。

80偏差値 2018年2019年
サピックス6667
四谷大塚7171
日能研7171

1-2: 開成入試の受験者数・受験倍率推移

以下の表が受験者数・受験倍率のこの6年間の推移です。
(引用:開成中学校・高等学校)

201420152016201720182019
受験者(人)113011711131114211711159
合格者(人)401395396395388396
倍率(倍)2.832.92.932.9

精鋭1000人が集まる最大規模の入試で、かつその3人に1人しか合格しないシビアな戦い。

受験者数は「1100-1200人」の間、倍率もほぼ変わりなく「3倍」で推移しています。
つまり、受験会場にいる子供たちの3人に1人だけが合格しているということを示しています。

勿論、5年生や6年生の途中まで開成を志望して志望校を変更した子供たちは含まれません。あくまでも、入試会場で入試を受けた精鋭たちの中で3人に1人ということになります。開成は1学年の人数が多いのでという話もありますが、それ以上に受験者が多いことが特徴で、一回の入試で1000人以上の受験者が集まる学校は前受験校を除くとほとんどなく、シビアな戦いであり続けていることを示しています。

1-3: 開成入試の合格最低点・得点率(2014-2019年)

以下の表が合格最低点とその得点率を示したものです。
(引用:開成中学校・高等学校)

201420152016201720182019
合格最低点
(満点310点)
215223196195227218
合格得点率69%72%63%63%73%70%

入試本番で、4問中3問の正答を積み上げると必ず合格できる。

概ね「70%前後が合格最低ライン」ということになります。表をご覧になって頂くとお気付きの通り、難易度によって最低点・得点率が大きく揺れる傾向があり、70%得点でも合格できない年があることもあります(2015、2018)。従って、開成志望の受験生は、開成に必ず合格できるラインとして「75%」を目指す必要があります。また、2018年は算数が極端に易化したものの、2015年の合格ラインとほとんど変わらなかったことから、75%を得点していれば合格できると判断して良いでしょう。

勿論、実際に過去問を年単位でやる場合、最低点の低い年であればそれで合否を判断できますし、それで問題ありません。ただ、実際の試験会場ではライバルたちの得点比率は全く分かりません。その際に「75%得点」というのを頭に入れた上で、なんとか4つに3つを正答してくる計算をしながら得点を積み上げに行くということはあって良いのだと思います。

1-4: 開成入試の科目別合格寄与度

開成入試において算数が合否を分けるのは本当か?

ここでは、合格者と受験者との差が一体「どの科目が」「どれくらいの割合」で、他受験者との得点差を生み、合格に寄与したかを示す「合格寄与度」を独自に算出し、実際に合格した人は、受験会場にいた一般的な受験者と比べ一体何がどれくらい違ったのかを明らかにします。

まず、科目別の「合格寄与度」を、以下のような操作で算出しました。

1: 各科目の「合格乖離点=合格者平均点ー不合格者平均点」を算出

2: (各科目の合格乖離点)÷(全科目の合格乖離点)×100%で換算

例えば以下のようにイメージしてみてください。

極端な話、2科目受験で
・科目Aの「合格者平均点」と「不合格者平均点」の差は0点
・科目Bの「合格者平均点」と「不合格者平均点」の差は20点

だった場合、全体を見たときに合否を分けた(合格に寄与した)のは100%科目Bであったと言えます。

逆に
・科目Aの「合格者平均点」と「不合格者平均点」の差は15点
・科目Bの「合格者平均点」と「不合格者平均点」の差は15点

だった場合、全体を見たときに合否を分けたのは科目A、B共に同じ程度の寄与度であったと言えます。

その結果が以下の通りです。

開成中学の6年間合計の科目別合格寄与度 開成中学の2019年の科目別合格寄与度

6年間全体で見ると、得点差の45%が算数、25%が国語、15%が理科・社会で形成されており、2019年では算数が49%を占めています。
ここから考察できることは、受験者一般と比べて「合格者がつけた得点差の約半分は算数で形成されている」と言うことができます。

さて、一般的に「算数が最も得点差が開く科目である」と言うことは言われていますので、算数が最も点差が開くのはなんとなくイメージできていた方もおられるかもしれませんが、ここで見て頂きたいのは「開成入試における算数が占める割合の高さ」になります。国語の2倍、全体の半分にあたる得点差は算数から生み出されていると言うことです。

また、参考までに、三教科入試かつ算数一教科入試と揶揄されがちな関西の灘中の科目別合格寄与度を挙げておきます。

灘中の2019年の科目別合格寄与度

三教科であっても算数が56%に留まっており、もしここに社会が入れば、算数の寄与度は開成と同程度になると推察されます。

逆に、開成は4教科入試でありながらも算数の比重が50%弱と言う非常に大きなものであることが伺えます。開成の合否が算数だけで決まるとは言えないものの、他3教科を合わせた分の得点差が算数でついているという事実はしっかりと認識しておくと良いでしょう。

開成入試は、算数で「合否が”約半分”が決まる」

つまり、何はともあれ「開成の算数」を攻略しなくては合格が困難になる、逆に言うと「開成の算数」をライバルたちよりも得点することができれば非常に大きなリードをつけることができる、と言うことになります。

続けて、『合否の約半分を分ける』算数について開成の過去問からデータで分析した上、概観をお伝えいたします。

2: 開成中学の算数概観

2-1: 開成中学の算数 単元別出題比率

開成中学の出題分野の比率は集団塾のカリキュラム比重と異なる!

まず、算数の大きな単元別に過去6年間の配点を想定し集計した入試問題の分野別出題シェアと出題比率の表が以下となります。

(実際の正確な得点は分かりかね、あくまでも想定値での算出となります。)

開成中学過去6年間の分野別出題シェア 開成中学過去6年間の出題分野一覧表

また、6年間の得点比率を高い順に円グラフにまとめたものが以下となります。

開成中学過去6年間の得点比率

出題得点シェアが高い順に、

1: 「速さ」
2: 「立体図形」
3: 「論理・推理」
4: 「数の性質」
5: 「平面図形(割合無)」
6: 「場合の数」

となり、これら主要6分野が全得点の8割を占めています。

これだけですと、「なるほど、まあそんなものかな」と思うかもしれませんが、一般的な算数の各分野にかける比重とは大きく乖離している事実があります。

それは、ほとんどの集団塾における高学年算数で、およそ30〜40%と、最も時間をかけている単元と言える
「文章題(割合有)」 「平面図形(割合有)」 と言う二大単元の得点比率が非常に低い(5%、3%)ということです。

つまり、通常の集団塾のテキストがあくまでも開成専用にできている訳ではなく大多数の学校の志望者を視野に入れなくてはいけない以上、一般的な出題頻度に軸足を置いてテキストや授業を進めざるを得ませんので、開成対策としてのリーチは弱くなります。
従って、あくまでも6年生の後半から開始する志望校別の特訓・家庭・プロ講師主導での特別な特訓が合否を握っていると言うことができます。

出題者である開成中学側の狙いとしては、集団塾でよく学習している内容を避ける意図があるかもしれませんが、
「文章題(割合有)」は「速さ」で十分に素養を判断することができると考えて省いている。「平面図形(割合有)」よりも「平面図形(割合無)」のパズル的な思考を要求している。
と、推察することができます。

2-2: 開成中学の算数 難易度比率

この6年間に出題された問題を以下のように難易度レベルで表現しました。

A=開成受験者の大半が正答できる問題
B=開成受験者の中で、正答できるかどうかが分かれる問題
C・D=開成合格者でも出来ていない人が多いと思われる問題

その結果、A・B・Cの全体の比率としては以下のグラフのようになります。

開成中学過去6年間の難易度別シェア

概ね5割弱まではレベルA=つまり開成の受験会場にいる子供たちのほとんどが解けている問題です。そして、出来が分かれるレベルBが30%という構図になっています。

前段のところで合格ラインが75%というお話をさせて頂きましたが、ちょうどA+Bで78%ということになりますので、ここまでが合格ラインと言うことが出来ます。

その上で、最も差が開いた科目が算数、そしてその中で最も点差がついたのがこの難易度Bということになります。つまり、4教科全体の中で最もクリティカルに合否を決定付けた問題群こそが「算数×レベルB」と言うことができるのではないかと思います。

2-3: 開成中学の算数 難易度×単元比率

一旦、難易度レベルごとに出題単元のシェアを見ていきます。

まず、「レベルA=開成受験者の大半が正答できる問題」です。

難易度Aの出題単元の内訳

規則性・平面図形(割合有)・文章題(割合有)など、主要6単元以外の分野も数多く入ってきました。レベルAで落としてしまっては、そもそもライバルたちと戦える土俵に乗ることすらできませんので、6年生前半までに幅広く受験算数を学習する理由はここにあり、それ自体は非常に正しいと言えます。

また、一方で主要6単元の中で難易度の高い問題が多い「論理・推理」「立体図形」「場合の数」の割合が減っていること、「速さ」の割合が更に上がっていることも理解しておきましょう。

続いて、最も重要と言える「レベルB=開成受験者の中で、正答できるかどうかが分かれる問題」です。

難易度Bの出題単元の内訳

なんと、驚くことに主要6単元「速さ」「立体図形」「論理・推理」「数の性質」「平面図形(割合無)」「場合の数」が全体の90%以上を占めていることが伺えます。

つまり、

「開成の算数で特に差がつく分野」=「合否決定に重大な影響がある分野」こそがこの6つの単元(「速さ」「立体図形」「論理・推理」「数の性質」「平面図形(割合無)」「場合の数」)の算数の学びだと言うことができます。

最後に、「レベルC・D=開成合格者でも出来ていない人が多いと思われる問題」です。

難易度C・Dの出題単元の内訳

このレベルC・Dは、どれほど対策をしてもなかなか本番では得点に結びつかない・結びつきにくい問題が多いのが特徴で、試験中には一定時間を考えて「捨てる判断」を行うことも求められますし、対策においても「時間対効果」が低くなる傾向がありますので、時間をかけすぎないことも求められます。

主要6単元以外の分野「水と水グラフ」「文章題(割合有)」なども入ってきていますが、むしろ見て頂きたいことは主要6単元のうち「論理・推理」「立体図形」の単元で、レベルCやDなど難易度の高い問題の割合が高いことを理解しておくことが重要です。

「論理・推理」「立体図形」の難問は本番では捨てる判断も必要。
過去問を利用した対策の中でも「時間対効果」をみて時間をかけすぎない。

それでは、以下で主要6単元ごとの詳細分析と対策へと続けていきます。

3: 開成の算数分野別の対策

ここでは、主要6単元のうちの上位3つ「速さ」「立体図形」「論理・推理」の詳細と対策について記載させて頂きます。

3-1: 開成入試の「速さ」対策

開成中学過去6年間の得点比率(速さ強調版)

まず、最も得点シェアの高い「速さ」についてです。

難易度:

「速さ」の単元のレベルごとの問題分布は以下の通りです。

開成中学の「速さ」のレベルごとの内訳

Aの比重が高く、残りをBとCで2:1に配分されている構成で、他分野に比べると易しく解きやすい特徴があります。

それでもレベルB全体の単元分布を見て頂くとお分かりの通り、「レベルB全体の中でも、立体図形と並んで速さが最も得点が大きい」のは事実であり、合格の為には絶対に合わせにいく必要があるのが「速さ」の単元です。

傾向:

開成の速さは、大きく「旅人算」と「時計算」の出題があり、前者は「線分図と比」あるいは「ダイヤグラム」を用いた問題で、後者は「真ん中影武者」「規則性」を用いた問題を出題する傾向があります。
反面で、これは開成に限らず関東の最難関校全般に言える特徴ですが、「通過算」「流水算」についての出題が非常に少なく、速さの中でも通常のテキストで学習する機会が恐らく最も少ないだろう「時計算」を出題してくる傾向があります。

また、開成の速さの特徴としては、非常に文章が長く「読解力」を試されていると言えます。入試問題の前半に配置され、時間的余裕がある中で遭遇することが多いので、しっかりと対策してきた受験者は長文で煩雑であっても、意外と時間をかけずに制圧することができ、気分良く次の問題に移って行くことができます。

少し具体的に見てみましょう。

2019年1番

開成中学2019年入試の1番

全問が「キョリ一定」で解けてしまう問題ですが、実際線分図系の問題は、線分図を書いた後に、「キョリ一定」「時間一定」を組み合わせて行くだけで簡単に解けるものがほとんどです。

対策:

大きく以下三つに分けた形での対策が有効です。

開成中学の「速さ」の対策

それぞれ使用するポイントが明確な問題が多い為、出題類似校の問題を「何を使って解くか」にこだわって経験していくことで万全に対策することができます。

また、開成に限りませんがダイヤグラムについては問題文の中にグラフが書かれていない中で、「ダイヤグラムを書く」と言う選択ができるかどうかで解答までの到達スピードや難易度が大きく変わってくる問題が多いことも特徴です。

3-2: 開成入試の「立体図形」対策

開成中学過去6年間の得点比率(立体図形強調版)

次に「論理・推理」と同率で2番目に得点シェアの高い「立体図形」です。

難易度:

開成中学の「立体図形」のレベルごとの内訳

A・B・Cの難易度が綺麗にばらけており中でもBの得点比率が高い特徴があります。
また、「レベルB全体の中でも、速さと並んで最も得点力が大きい」のが立体図形であり、非常に重要な単元と言えます。

傾向:

大きく「投影図」「切断」「ダブル切断(共通範囲)」の3つの論点があります。

「投影図」は開成が伝統的に好む論点で、他校でこれほど「投影図」を出題する学校も少ない印象です。

少し具体的に見てみましょう。

2019年2番

開成中学2019年入試の2番

(1)

(2)

(3)

また、より難易度が高く得点差が開きやすいものは「ダブル切断(共通範囲)」で、2014年・2015年と連続で出題されております。

対策:

「投影図」の対策は、過去問を中心に行うことと、時間があれば「立体切断の投影図を書いてみる」ことを訓練として行っていくことがベターです。

また、「ダブル切断(共通範囲)」ですが、2015年の開成4番の問題が京都の洛南高校附属中で前年に出題されていたものがほぼそのまま出題されており、これ以降サピックスのSS志望校別特訓のテキストに関西系の問題を入れて行くように内容が変わったと言われる程にインパクトのある問題でした。

2015年4番

開成中学2015年入試の4番

(1)(2)

(3)

(4)

故に関西の難関校の「ダブル切断(共通範囲)」の問題を経験しておく必要があります。具体的に立体切断の問題を探して取り組んで欲しいベンチマーク校は、「洛南高校附属、東大寺学園、灘」です。

近年の開成の立体図形は、関西難関校(洛南・東大寺・灘)の傾向を取り入れたものに変化しつつある

3-3: 開成入試の「論理推理」対策

開成中学過去6年間の得点比率(論理推理強調版)

3番目は、「立体図形」と同率で2番目に得点シェアの高い「論理・推理」です。

難易度:

開成中学の「論理推理」のレベルごとの内訳

B・Cの難易度比率が高い特徴があります。「レベルB全体の中でも、速さ・立体図形とほぼ変わらない得点シェアを持つのが論理・推理」であり、非常に重要な単元と言えます。

傾向:

問題自体の材料は、平面図形を使ったり、立体図形を使ったりなど色々とありますが、要求されるものは「思考力」そのもので、「思考力」の中でも特に要求される要素は、

読解力
誘導を解釈する力
試行・検証の力

の3つとなります。

少し具体的に見てみましょう。

2019年4番

開成中学2019年入試の4番

2019年開成4番の解説

まず、問題文が非常に長く問題が提示するルールや意図を適切に把握しなくてはいけません。ここまでが(1)。次に、そのままの流れで継続した文章か、あるいは次の小問の問自体が誘導になります。ここでは、その誘導の意味に気づき解釈して行くことが求められます。最後に試行・検証して最終的な答えを導き出す、という問題の作り方が王道です。
2017年2番、2014年4番なども問題の骨格は全て同様です。

対策:

論理・推理の単元においてその問題だけにしか役立たない解法やオチを覚えていくことには何の意味もありません。そうではなく、「問題に対する適切なアプローチの方法を知って、そのアプローチ方法を磨いて行く」ことが最も重要な対策になります。

とは言え、対策としては他の単元以上に短期的な習得が難しく、長い時間をかけて身につけて行くことが求められます。秋以降の対策としての時間対効果は相対的に高くない為、優先順位を下げるものの、とは言え思考力が落ちないように定期的に取り組み続けることもまた重要になります。

また、サピックスにおいて特に顕著だと思いますが、低学年の頃から「思考力問題」に取り組む意味合いがここにあります。

但し、実は「適切にアプローチして行く為の型」はあり、上記のようにゴールとしての開成入試の「論理・推理」の作り・構造を理解した上で、

思考力問題に挑む際に、
「その問題の意味は何か」を考えること
「その誘導の意味は何か」を考えること
「試行錯誤して、答えであること、答えではないこと」を明らかにすること

だと思います。

また、答えにたどり着けなかった場合に、「どうすれば気付けていたのか」を振り返って考えて言い、書くと言うことも効果を発揮してくるだろうと思います。

4: 【0718追記】開成中学入試の頻出3分野の具体的対策

上記までの内容を7月13日に公開したところ、多数の方から非常に大きな反響を頂きました。

また、その中で「この6年生の夏休みから何をして行くべきかを是非具体的に教えて頂きたい」との声を頂戴する中、緊急で「具体的対策」の記事を作成させて頂くこととなりました。少しでも夏休み以降の学習において、参考にして頂ければ幸いです。

まず、以下の表が、開成の重点単元攻略における「市販教材」「過去問」で有効にリーチできるものとなります。

開成中学算数頻出3分野の対策教材 以下、市販教材を用いた対策、過去問を用いた対策、の順に説明させて頂いたのち、実際6年生の夏を迎えるにあたって具体的な取り組み方法をご説明致します。

4-1: 市販教材を利用した対策

対「立体図形」

図形の必勝手筋「動く図形・立体図形」編:東京出版

「中学への算数」を発刊する「東京出版」の教材のうち、立体図形分野で体系的にポイント学習できる「図形の必勝手筋(動く図形・立体図形編)」の「立体図形」部分を使用します。3-1: 開成入試の「立体図形」対策にて、洛南・東大寺・灘の過去問を進めることが有効と言うお話をさせて頂きましたが、例えばサピックス6年生7月末時点での既習知識では「現時点で全く手も足も出ない」問題が多い為です。

それ故に、まずは論点学習で技術習得を行う必要があり、そこでこの教材が効いてきます。シンプルな作りをしており、現時点で応用技術を習得するのに向いています。

対「論理・推理」

中学への算数 各年2月号「論理的な考え方をきたえよう」編:東京出版

ほとんどの方がご存知ないかもしれませんが、月刊「中学への算数」は毎月メインテーマが明確に決まっており、年度ごとの違いはありません。そのテーマの中で掲載された問題の年度が異なるだけで毎年ほぼ同じ構成になっております。

その上で、毎年2月号が「論理・推理」ですので、その単元だけの問題に重点的に触れる為に過去の2月号だけを集めて解いて行くことが可能です。取り組んで欲しいコーナーは「日々の演習」と「発展演習」です。

各学校でも1問出題されるかどうかと言うのが「論理・推理」ですので、それを体系的に集めた問題集は、過去問を含め世の中にほとんど存在しませんし、入試問題全般をやったところで効率的に学ぶことはできません。故に各年度の中数の「2月号」だけを集めて、定期的に解いては見直しと言うことを継続して行くことで、思考力自体を養成して行くことができます。

4-2: 過去問を利用した対策

対「速さ」

「開成」以外に「麻布」「聖光学院」「渋幕」の3校が、レベル・ポイント共に類似した問題を出題する為、有効な対策として機能します。

また、「速さ」の問題なのかどうかはさすがに保護者さまも本人も外観から判断できますので、どの問題をやるべきかが理解できるかと思います。ただ、難点は大きく論点の異なる例外的な問題を省けないことと、これは過去問全てに言えることですが、解説を第一線のプロ講師ではなくアルバイトが作成していることが多く、ポイントの把握が弱かったり、迂回した解き方をしているケースが多いことです。

その部分を理解した上で、活用すると良いかと思います。

対「立体図形」

まず、「投影図」は「開成」の過去問に取り組みましょう。決して難しくありませんので、現時点で過去問から「投影図の立体問題」だけを抽出して取り組むことができるかと思います。ある種、それだけでも十分な対策になろうかと思います。

次に、「ダブル切断(共通範囲)」については、「洛南」「東大寺学園」「灘」の問題に取り組んで欲しいものの、前述のように先に「図形の必勝手筋(動く図形・立体図形編)」の「立体図形」部分に取り組んでから行うことが必要であることも再度念押ししておきます。

尚、先述のように解法自体が体系的でない部分もあることは理解した上で使っていきましょう。

対「論理・推理」

「読解・誘導・試行検証」と言う三段構成になった作りは「開成」「麻布」の過去問に多い印象です。従って両校の過去問から「論理・推理」問題だけを抽出して取り組んで行くことも重要な対策となります。ただ、中学への算数2月号に両校の「論理・推理」の問題が掲載されていることも多いので先にそちらをやっている場合、それほど残っていないだろうとは思います。

4-3: 6年生夏、具体的にやるべきこと

A:速さ

既に一定の学習は終わっていますので、            

・「記載校(麻布・聖光学院・渋幕)過去問の速さの単元」をやって行くか
・コベツバTopGun特訓を「開成」→「聖光」→「渋幕」の順にやって行くか

の選択になります。

開成の「速さ」は完答を狙うべき単元で、早い段階で入念に仕上げきることが重要ですし、それは今からでも十分に可能です。

B:立体図形

まず、「切断系」については欠落している知識・技術がある分野の為、先に「図形の必勝手筋(動く図形・立体図形編)」の「立体図形」部分を学習します。そこで最低限の知識技術を入れ終わった上で対策に入っていきます。

対策は、
           

・「記載校(洛南・東大寺学園・灘)過去問の立体図形の単元」をやって行くか
・TopGun特訓の立体図形追加分

の選択になります。

また、並行して「投影図」の問題については、開成の過去問20年分から「投影図」の問題だけを取り出してやって行くことを行います。

C:論理・推理

中数2月号の2016、2017、2018、2019年度版を購入頂き、「日々の演習」「発展演習」に掲載された問題を、1-2日に1問×15分以内と言うペースを決めて取り組んで頂きます。また、重要なことは「振り返り」です。「どうしていれば、何に気づいていれば正解に到達できたのか」を自分なりに振り返ってノートに書いて行くような学習を心がけると非常に効いてくるだろうと思います。

その上で12月以降に「開成」の過去問のうち、「論理・推理」で経験していない問題だけを潰して行く、と言うことで最終の仕上げを行なって行くのが流れとして綺麗です。

以上が主要6単元のうちの上位3つの対策と後半戦における対開成算数の具体的戦い方となります。

最後にお知らせとなります。

5: 開成中学入試の過去問対策・SS志望校別特訓(サピックス)の解説のお知らせ

中学受験コベツバでは、上記の分析・出題傾向を踏まえて開成中学志望の子供たちを対象に、以下のサービスを配信(一部予定)しております。

開成過去問・SS麻布解説

●1: 開成中学の過去問(10年分)の解説

   

   

●2:サピックス生向けに「SS開成」の解説

9月より配信を開始いたします。

●3:最難関志望校別動画特訓「TopGun特訓」

TopGun特訓スタート
最難関中算数対策「Top Gun特訓」始動


●4:StandBy For SAPIX
サピックス(SAPIX)算数テキスト全問動画解説サービス『StandBy(スタンバイ)』を始動
サピックス(SAPIX)算数テキスト全問動画解説サービス『StandBy(スタンバイ)』を始動
それぞれ、すでに多くのサピックス生または他塾生の家庭学習の友としてご活用いただいております。

記事は参考になりましたか?

 平均評価:
4.65
/5
 総人数:
268


新着記事
新着記事
記事

慶應義塾普通部の算数 2019年入試問題(過去問)の動画解説と来年度に向けた対策【過去問10回動画解説配信予定】

結局のところ数少ないレベルBとレベルCの問題だけで差がつく勝負であったと想像します。また、出題分野においても速さ、平面図形、立体の展開図、古典的な場合の数の問題が出題されていたことも例年の傾向に沿ったものでした。

記事

海城中学の算数 2019年入試問題(過去問)の動画解説と来年度に向けた対策【過去問10カ年動画解説配信予定】

受験生母集団の質は年々上がってきており、基礎的な技術の抜け漏れは致命傷になり過去問でいうレベルAを落としてはいけません。まずはそこに分野ごとの穴があるかどうかを確認して補強することが一つ、次に多様な単元の応用技術が合否の違いに繋がっている為、積極的にチャレンジし続けていく必要があります。(数の性質・立体・場合の数は特に押さえたい)

記事

豊島岡女子学園中学の算数 2019年入試問題(過去問)の動画解説と来年度に向けた対策【過去問10回動画解説つき】

今回のレベルBの問題群を見てもわかる通り、「全く知らないポイント」を使う問題は少なく(あったにせよ、他受験生も解けない)、あくまでも一度はどこかで触れてきたポイントの習熟度で差がつく問題でした。

more
人気の記事
サイトTopへ戻る