【6年生後半戦】登頂に向けて(志望校対策としての過去問の効果的活用方法)

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by 村中  公開: 更新:

ここではいよいよ約半年後に迫った志望校の入試に向けて、志望校の過去問(赤本)を効果的に活用した、志望校合格に向けた算数の勉強方法について、お話させて頂きます。

お子様が、過去問を活用して学びを実現して無事に志望校に登頂できるように、お力になれれば幸いです。

1: 全ての「山」は皆違う(過去問から志望校の特徴を捉えよう)

物理的な山がそれぞれ異なるように、皆さまが合格したいという各学校の算数の問題、合格点は皆違います。 まず、学校ごとの違いには大きく「問題難易度の違い」と「出題分野の違い」の2つが存在します。

A: 志望校過去問で見る『問題難易度の違い』

例えば、同じ偏差値帯とされる学校である「桜蔭」と「慶応中等部」の2019年の入試問題(過去問)を挙げて比較してみます。

桜蔭・慶應中等部の2019年の入試の問題難易度の違い

A、B、Cの評価は受験母集団のレベルによって

●A→受験者のほとんどが正答
●B→受験者の中で正解不正解が分かれる
●C→合格者の大半もできていない

という評価をつけており、同偏差値帯であるが故にABCの基準はほぼ同じと見て差し支えありません。

桜蔭はAが36%に対して、慶應中等部はAが79%と2倍以上の出題シェアを占めています。合格ラインは桜蔭が60-65%、慶應中等部が80-85%と言われます。
つまり桜蔭は難易度が高い問題が多く、その問題をいかに攻略できるかで勝敗がつき、慶應中等部は幅広い基本問題をいかに確実に身につけミスなく正答できるかで勝敗がつく、ということが言えます。

ちなみに、ほぼ同じ偏差値、あるいはむしろ慶應中等部の方が偏差値が高いことが示すように「どちらの入試で合格点をとるのが難しいのか」は、「問題の難易度」とは関係がありません。

結果として、志望校に向けた対策としては、「どこまでの難易度のものに手を出していくのか」「どこまでの正確さと速さを高めていくのか」に違いがある、ということになります。

当然ながらそれぞれの山に登頂できるように最適化を行っていくことが効率的と言えます。逆に、慶應中等部志望であれば、難易度の高い問題への取り組みを減らして問題の網羅性と速さ、正確さを磨き上げる必要がありますし、桜蔭であればより難易度の高い問題への対応が必要ということになります。
重要なことは、「どんな入試でも合格点が取れる算数の専門家になる」という大きすぎる目標を掲げるべきではなく、あくまでも「志望校で合格点を取れるようになる」方向で学習を進めるべきだということです。

B: 志望校過去問で見る『出題分野の違い』

続いて、同じ偏差値帯である学校である「桜蔭」と「女子学院」の2019年の入試の出題分野の違いを見て見ましょう。以下のグラフは過去6年間の算数の各分野の出題比率をとったものです。

女子御三家(桜蔭・女子学院)の2019年の入試の出題分野の違い

・「速さ」「水と水グラフ」は両校共によく出題されている
・「数の性質」「論理・推理」「立体図形」は桜蔭ではよく出題されているが、女子学院ではそこまで出題されていない
・「文章題(割合有)」「文章題(割合無)」「平面図形(割合無)」は女子学院ではよく出題されているが、桜蔭ではほぼ出題されていない

などが読み取れます。

こかから伺えることは、「全分野のスペシャリストになる」という大きすぎる目標を掲げるのではなく、あくまでも「志望校の傾向に合わせて優先的に制圧すべき分野をマークして集中的に高めにいく」ことが望ましいと言えます。

6年生前半まで「同じテキスト」「同じ模試」「同じクラス」で学んできたものの、このように「登るべき山」は同偏差値帯であっても「全くと言って良いほど違う」ことが事実であり、出題可能性が低い分野に力点を置くことは時間が限られた中では効率的とは言えない、ということになります。

その上で、繰り返しになりますが、算数の専門家を目指すかのように「どの難易度」「どの分野」「速く正確に」できる必要はなく、「登るべき山」を無事に登頂できるように仕上げていくことこそが、最も重要だということです。

2: 「仮登攀」のススメ(早期の過去問演習から弱点を掴む)

「仮登攀(かりとうはん)」とは、「過去問を早い時期に使うこと」を意味する造語です。

「仮登攀」の目的はあくまでも「今後の学習の方向性を明確にして、登攀準備に活かすこと」です。

前述の通り、それぞれの入試問題には全く異なるそれぞれの傾向がありますので、対策の方向性は全く異なります。また、それぞれの子供達も得意不得意がどうしても出てきます。

その対策の方向性を正しく手に入れるための機会が「仮登攀」です。

手順としては、おおよそ2-3年分の志望校の過去問を実際に制限時間を測って解き、

・レベルごとチェック(A、Bはそれぞれどれくらい得点出来ているのか)
・分野ごとチェック(どの分野は出来ていて、どの分野は出来ていないのか)

を行って、今後の登攀準備として「どの分野をどのレベルから学習していくべきなのか」を明確にして
いきます。

例えば、

・「数の性質」はAを沢山間違っているので、テキストレベルから最優先で見直そう
・「平面図形(割合有)」は、Aは出来ているものの、Bが全滅しているので、応用レベル発展レベルをやってより鍛えていこう
・「立体図形」は、Aは出来ていてBもほぼ出来ていて、Cが出来ていないぐらいなので、優先順位は下げておこう

という、今後の数ヶ月の学習方針を手に入れるために行うことが「仮登攀」です。 ここでは実際の平均点や合格点との乖離を細かく見る必要はなく、あくまでも「今後の学習の方向性」を手にすることだけを目的に行います。

乖離が大きすぎると、不安になることも多いかと思いますが、9月時点から一気に伸びていくことは頻繁にあることですので、本人にも先に「点数は気にしない」ように伝えてあげることも重要であることも付け加えておきます。

尚、コベツバでは、御三家過去問の10カ年解説動画(武蔵・雙葉は6年)、渋谷教育学園幕張・聖光学院・豊島岡女子学園の10カ年解説動画を配信しております。また、先日、新たに駒場東邦・慶應義塾普通部・早稲田・海城の10カ年過去問解説動画も配信を開始いたしました。

   
   
   
コベツバ過去問解説動画〜男女御三家・渋幕・聖光学院・駒東・早稲田・慶應普通・海城〜
   
   
   

過去問の得点の自動集計機能や、難易度×分野の得点率を自動で算出する機能もございますので、是非ご活用ください。

過去問自動得点集計機能 過去問難易度・分野別分析機能

3: 仮登攀の前に(志望校対策の前に行うべき土台作り)

そもそも仮登攀を行っていく前段階で「既に6年生前半までの範囲で、課題を認識している」場合は、先にそこを固める必要があります。

これまで見てきたように学校ごとに「難易度、分野」には明確な違い、明確な傾向があります。ただし、「傾向」はあくまでも「傾向」に過ぎません。せいぜい60-80%を掴んだものでしかない、とも言えます。

逆に、残りの20-40%は傾向の範疇に収まらないものが毎年のように出題されており、そこでは対策外の地力が要求されます。つまり、「6年生前半までの学び」の幅広い内容の定着度と言うことになります。

勿論、傾向外で難易度Cのものであれば、皆が出来ないのである種仕方がないものの、傾向外で難易度Aのものが出題され間違えてしまうと、一気に致命傷に陥ってしまいます。6年生前半までの分厚い基礎(「基礎技術」or「応用技術」)を固めてきたのはそこをカバーする意味合いがあります。

既にこれまでの学習範囲の基礎において、「出来ない分野」「苦手な分野」が明確にあるのであれば、潰しておく時間を取っておくことは最優先になり、「まだ過去問を始めるのは早い」と言われるのは、結局のところその部分をカバーしてから始めた方がいいと言うことになる為です。

早い段階で「仮登攀」を行っても、いつまでもレベルAの問題で、それぞれ異なる分野で出来ていないとなった場合、分野ごとに絞った形の縦の対策を打ち込みづらくなるからです。指導者としても、狙った分野が例え完璧であっても他分野のレベルAで複数落としていくと点数が読みづらく非常に不安定な状態になるからです。

それ故に、早い人は8-9月から「仮登攀」に入っていくものの、数ヶ月の間、焦らずに「6年生前半の復習」を徹底した後に11月頃から「仮登攀」=志望校対策に入っていくことでも、間に合うケースも多い、と言うことを伝えておきます。

4: 「登攀」準備(志望校に特化した深い対策)

さて、「仮登攀」の上で、「どの分野がどれくらい出来ていないのか」をあらかた掴んで頂いた上で、今後数ヶ月間行っていく志望校対策が「登攀」準備となります。

この「登攀」準備がこれまでの「異なる分野を毎週学習していく横学習」とは異なり、「分野ごとの縦学習」が中心となります。

これまでは、ほとんどの塾では、毎週異なる分野を学習してスパイラル構造で少しずつ固めてきました。この方法は長期記憶への定着性が上がる反面で「特定分野を集中的に克服する・引き上げる」ことが困難な特徴があります。

「登攀」準備はあくまでも「分野を特化」することで、努力が報われる可能性が高い「分野」に集中していくものです。

まずは、分野選択からです。

中学受験算数の分野は、「四則演算」を除くと、大きく12個の分野に分かれております。

「数の性質」「規則性」「文章題(割合無)」「文章題(割合有)」「平面図形(割合無)」「平面図形(割合有)」「立体図形」「水と水グラフ」「速さ」「図形・点の移動」「場合の数」「論理・推理」

です。

原則的には、志望校の出題が多い分野から選択していきます。中学受験コベツバで「解体新書」を作成している学校についてはそちらをご確認頂き、無い学校については赤本の巻頭についている分野ごとの比重表を参考にします。

▼開成中学の解体新書
▼桜蔭中学の解体新書
▼麻布中学の解体新書
▼女子学院中学の解体新書

次に、「どのレベルから対策すべきか」を決めます。決め方については、「仮登攀」で過去問に取り組んだ時のA・B・Cの正答率で判断します。

目安としては、

▼Aで多くの得点を落としていることが多い分野→1から
▼Aでたまに間違う分野→2から
▼Bで得点を落としていることが多い分野→3から

という判断を行います。

1:テキスト5年生後半レベルから
2:テキスト6年生前半レベルから
3:テキスト掲載が6年生前半までに無いレベルから

の三段階で考えて、手をつけていきます。

1と2については、当該分野のテキストNOだけを引っ張ってきて網羅的にやっていくことや、そのNOのテストをもう一度やることで不足しているものを洗い出した上で、克服していくことが出来ます。
(StandBy6年生には、「On the Road」と言う分野別×ポイント別に編集した問題・動画解説がありますので、それを活用していくことが可能です。)

また、3については、最難関校のケースがほとんどです。それが故に各塾の志望校別のテキストや講座が存在していると言うことになります。あくまでも「これまでに学習していないもの」だからと言うことです。そして高度な技術を求める最難関校になればなるほど「これまでに学習していないもの」の論点の量は多く、ストレッチが大きく求められることになります。

各塾の志望校別特訓は単元が異なるものが集めたものであることが多く、また単元が統一されていたとしても、1論点(ポイント)に対して問題は1問(数値替え含む)であることがほとんどです。つまり、6年生前半までの体系的な学習とはかなり違い、実践の中で高度な技術を身につけていく必要があるのです。

(中学受験コベツバでは、志望校別「Top Gun」特訓という最難関校向けに体系的に高度な技術を確実に手に入れられるよう編集した問題・動画解説がありますので、合わせて活用していくことをお勧めします。)

最難関中算数対策「Top Gun特訓」始動〜筑駒・開成・麻布・桜蔭・渋幕〜
最難関中算数対策「Top Gun特訓」始動〜筑駒・開成・麻布・桜蔭・渋幕〜

登攀準備として、直前期を除くまだ時間に余裕がある段階での対策としては以上になります。

繰り返しになりますが、あくまでも現段階での過去問の使い方は、「仮登攀→登攀準備に繋げる→登攀準備として志望校対策を行う」こととなります。

また直前期残り2ヶ月の段階になれば、直前期における過去問の使い方についてお伝えさせて頂きますが、まずはここまでをご確認頂いた上で年内の期間を志望校合格に向けて確実に前進して頂ければ幸いです。

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