慶應義塾普通部中学入試 | 解説動画つき2020年過去問分析と来年度に向けた対策 

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by 村中  公開: 更新:

2020年2月1日に慶應義塾普通部の入学試験が行われました。

コベツバでは、2020年の慶應義塾普通部入試で出題された算数の、解説動画・所感・難易度分析を公開しております。

また、合わせて2020年度の入試を受けて、来年度の受験生に向けて、慶應義塾普通部の入試傾向をデータ分析から把握し、合否を分ける単元・対策法を掲載しております。慶應義塾普通部を志望していらっしゃるご家庭の保護者様・お子様は是非ご覧ください。

1: 2020年慶應義塾普通部入試問題(算数)の問題/解答/解説

1-1: 2020年慶應義塾普通部入試の所感

 

全体感としてはレベルAが50%、レベルBが50%と大きく難化した印象を覚えました。例年70%程度のレベルAという構成の慶應でしたが、数問存在しているレベルBの比重が増えました。今年度の受験生は面食らったのではないかと想像します。ただし、合否を分けやすいレベルBの出題分野についての変更はなく、「速さ」「立体図形」「場合の数」という構成です。
また、他に変化した部分で言いますと、速さと場合の数です。慶應の速さは線分図系中心でしたが、ここでは難関最難関の大きなトレンドであるダイヤグラムを自分で書かせることで効率的に解答できる問題を出題しました。また、慶應の場合の数は、これまで古典的な問題を独自出題する傾向が強かったものの、9番の「前の結果利用」などモダンな論点を出題することに変わった印象も持ちます。 以下、大問4番以降にコメントしておきます。

 

▼大問4番:ダイヤグラム

「休み、上下で速さが異なるという不規則な動きによって出発到着がばらける」→「ダイヤグラムの選択」ができたかどうかが重要な問題になりました。これまでの慶應は線分図系の難問を出題する傾向がありましたが、ここも大きなトレンドに合わせて変化した印象です。

▼大問5番:試行検証

数絡みの試行検証問題。稀に慶應でも出題があったもので、いきなり答えにたどり着くことができないものの試行検証をしながら進められるかどうかを問う問題でした。

▼大問6番:直角〇×

ここは中休み的な問題で直角〇×を振っていくことで処理することができます。

▼大問7番:展開図組み立て

立体図形において、展開図と見取り図の行き来の問題は伝統と言え、これは過去の傾向どおりの問題と言えます。

▼大問8番:間に入れる

入れる数が決まっているタイプの連続NGの問題は、各塾のテキストでもほとんど経験がなく面食らったかと思いますが、「最も多い数を基準に先においてしまって、連続させないように間に入れる」と考えて解く技術的な問題です。難しかっただろうと思います。

▼大問9番:前の結果利用の表

典型的な前の結果利用の表の問題です。自分で自由に使えるようになるまで学習してきた人にとっては見えやすい問題だったかと思います。

1-2: 2020年慶應義塾普通部入試の難易度分析

慶應義塾普通部の全体感・分析表

1-3: 2020年慶應義塾普通部入試の算数解説動画

今回の記事では、2/1実施の2020年慶應義塾普通部の入試算数の問題から、大問8番と大問9番の解説動画を配信いたします。

大問8番:

 

大問9番:

 

2: 慶應義塾普通部入試の基本データ

2-1: 慶應義塾普通部の偏差値(サピックス・日能研・四谷大塚)

以下が慶應義塾普通部の偏差値(80%合格ライン偏差値)です。

80%偏差値
サピックス 58
四谷大塚 64
日能研 64

2-2: 慶應義塾普通部 受験者数・受験倍率推移

以下の表が近年の受験者数・受験倍率推移です。

受験者合格者倍率
2020---
2019 594 180 3.3
2018 591 190 3.1
2017 546 190 2.9
2016 578 190 3.0

2-3: 慶應義塾普通部 合格最低点・受験者平均点・合格者平均点

残念ながら、慶應義塾普通部は合格最低点・平均点を公表していません。

また、慶應普通部は補欠合格候補者が毎年60名程度いらっしゃいますが、実際の繰り上げ合格者数は発表されておりません。

3: 慶應普通部の算数概観

3-1: 慶應普通部の算数 問題構成

試験時間は40分。100点満点で、大問9〜10題構成です。
大問9題編成と聞くととてつもなく重いように感じられますが、大問といっても、早稲田に代表される他の男子校のように、問題文が長く、小問(3)まであるようなものではありません。
慶應普通部では基本的に1、長くても2題となっています。「大問」と呼んではいるものの、他校でいう小問集合のようなものです。
そのため、小問数でカウントし直すと、直近5年は以下のようになります。

20202019201820172016
大問数9910109
小問数1314131414

(2017年算数大問5の速さを小問2とカウントした場合)

大問5題構成の早稲田は小問15−17題程度なので、「慶應がとりわけ問題量が多いわけではない」ということがわかります。
しかし、時間制限は早稲田が60分であるのに対して慶應普通部は40分となっており、1問あたりにかけられる時間はかなり減少します。

また、確定事項としては、毎年大問1は四則演算の計算問題2題から構成されています(2014年では3題構成ですが、計算は2題です)。
近年では、(1)が与えられた式の計算、(2)が式の完成(逆算)というパターンが続いています。
大問2以降は年度によって分野が異なっており、出題が確定しているものではありませんが、出題分野の偏りは存在します。以下で見ていきましょう。

3-2: 慶應普通部の算数 分野別出題割合

慶応普通部の過去10年間(2010年〜2020年)の配点を推定して集計した、入試問題の分野別出題シェアと出題比率のグラフは以下のようになります。
(なお、正確な配点は公表されていないため、あくまでも推定値での算出となります)

出題得点シェアが高い順に

といった形になっています。

「注目したいことはまず、場合の数の出題の多さ」と言いたいところですが、まず第一には立体図形、平面図形(割合有、無)の合計が30%近いことが挙げられます。早稲田(43%)ほどではありませんが、それでも出題頻度が高いです。これらの分野は単体として小問を作成しやすい、という事情が理由として考えられます。

逆に、規則性の出題はここ11年で0回、水と水グラフも0回、図形・点の移動の出題も少ない傾向にあります。
これらは他の学校で大問として(1)〜(3)・(4)までといった連問で出題されやすい分野ですが、慶應普通部ではそのように長い大問は出題されないため、作問しにくいのではないかと考えられます。

3-3: 慶應普通部の算数 分野別難易度比較

慶応普通部は早稲田よりも簡単?

慶應普通部の直近11年間で出題された問題を難易度レベル別で分けると、このような比率になります。

A=基礎レベル/ミスなく合わせたい
B=応用レベル/出来が分かれる
C=発展レベル/出来なくても問題ない

ここから、慶應普通部の問題は基礎レベルの問題が多く、難問奇問は少ない上、それによって勝負は分かれないということがわかります。
早稲田についても基本的に同様の傾向にありますが(第1回の直近7年でレベルA,B,C順に46.2%,50.2%,3.6%)、慶應の方が大問が短く(3)まで問題を広げていくといったことがないためその傾向は顕著で、基礎的な問題が占める割合が大きくなっています。

慶應では合格最低点などが公表されておらず、正確なデータが出ていませんが、合格者のレベルから65%から75%は求められてくると考えられています。

つまり、とにかくレベルAの問題を取り切り、(同じレベルの難関校と比較すると)数少ないレベルBの問題をどれだけ合わせられるかという勝負になります。レベルBの中で自分のできる問題を選り好みしている余地はありませんから、レベルAを完答した上で、いかにレベルBの少し応用的な技術問題に対応できるかどうかが勝負の分かれ道になります。

また上記の条件に加えて、早稲田と慶應普通部では小問数があまり変わらないにも関わらず、慶應は試験時間が40分であり、早稲田の2/3しかありません。

同じレベルAの問題であっても3分で解かなければいけない状況と、2分で解かなければいけない状況では、正答率が大きく変わってくるので、慶應普通部も早稲田と別の軸での難しさがあることが見えてくるでしょう。

2題構成の大問については、大問1の計算問題を除いた直近11年のうちの31題に関して
(1)レベルA  27題 レベルB  4題
(2)レベルA  12題 レベルB 18題  レベルC 1題
という形になっており、(1)はレベルAの可能性が高いため、制限時間内に解ききれなかった、あるいは計算ミスや問題文の読み間違えといった要因で落とさないように気をつけましょう。

そして、塾のテストのように、「後ろの大問の方が序盤の大問より難しい!」という決まりはどこにもありません。大問2がレベルBということもありますし、大問9がレベルAのこともあります。「素直に最初から順に解いていった結果、タイムオーバーで取れるはずだったレベルAを落としてしまった」といったケースは非常にもったいないので、堅実に解ける問題を選んで解き切りましょう。

3-4: 慶應普通部の算数 難易度×単元比率

3-2,3において多く出題されている単元と全体の難易度比率を示しましたが、それでは、この章では単元毎の難易度比較を記していきます。

まず、「A=基礎レベル/ミスなく合わせたい」問題です。

大問1で四則演算が2題出題されるということが決まっているので、出題比率が高いです。
これを除くと文章題や平面図形がやや簡単、立体図形がやや難解ということが見受けられますが、微差でしょう。
場合の数のレベルAは出題割合と比べるとかなり少なめになっています。

次に「B=応用レベル/出来が分かれる」問題です。

場合の数のレベルBの問題が占める割合は、出題割合に対してかなり高めです。
これは、他校の通常の大問では場合の数は序盤で実験をして、後半で書き出しや計算を行うといったように分けられていることが多いのに対し、慶應では作問の都合上小問にあまり分けられず、ヒントなしで自分で指針を立てなければならないため難解になりがちである、というのが理由として考えられます。
また、立体図形は場合の数ほどではありませんが、若干難解です。

最後に「C=発展レベル/出来なくても問題ない」問題です。

レベルCに関しては、11年間で2題しか出題がありません。そのためデータとしてはさして気にする必要もないでしょう。

ここまでを通じて、「場合の数が若干難解である」ということ以外は、分野別で難易度が劇的に変わるということはあまりなく、また分野の偏りが少ないことが伺えます。

慶應普通部に関しては時間制限がとにかくシビアなので、「難易度を考えて解く問題を選ぶ」という指標よりも、「(計算量が少なそう等)早く解ききれそう」かどうかを指標に問題を選び、解いていくと良いでしょう。

4: 慶應普通部の算数の全般的な対策

3章でも触れましたが、慶應普通部の算数は各問題の難易度がそこまで高いわけではありません。しかし、試験時間が40分と他の学校と比べて短いにもかかわらず、大問数が多いです。
一つの大問に10分程度かけるような早稲田と違い、慶應では一つの大問にはどんなに時間をかけても5分程度で挑まなければいけません。(勿論、早稲田の大問は(3)まであるのが一般的なのに対して、慶應は大問が基本的に小問1つか2つ程度なのでひとつの大問にかかる労力は軽めです。)

それでは、大問3−5構成の早稲田のような『大問重めタイプ』に対する、大問2−9構成の慶應普通部のような『大問軽めタイプ』のメリットとデメリットを考えてみましょう。

【メリット】
・問題文の長さや設定が軽めで条件が少ない
・序盤から分からなくても(3)や(4)まで続かないので、将棋倒しのように壊滅するといった問題が起きない
・ある大問が解けなくても被害が小さい
・大問の数が多いので、好きなところから解くことができる

【デメリット】
・1つの大問にかけられる時間が少ない
・ヒントが少ない(序盤の問題が解法の指針になりうるため)
・じっくり考えて難しい問題を解きたいタイプは向かない

以上のことを意識して、対策を練っていきましょう。

大きく2つの方針

◯1:レベルAをほぼ完答する
◯2:レベルBで1問でも多く得点する

があり、それぞれの方法をお伝えします。

4-1: (レベルAをほぼ完答するために)問題構成を把握する

まず試験が始まったらすぐ、全体を確認しましょう。各大問の問題文は1−4行程度なので5秒程度でサラッと見ていくことができます。

4-2: (レベルAをほぼ完答するために)早く解けそうなものから解く

問題構成を確認した後、得意な分野の問題や簡単そうな問題から解きましょう。
『どうせ時間内に全部解き終わって見直しも完璧だよ』という方はする必要はないですが、ほとんどの受験生はそのようにはいかないはずです。
その場合は前の問題から順にではなく、早く解けそうなものから解くようにしましょう。

そうすることで、残りの時間に余裕が生まれ、少し時間がかかりそうな問題を後でじっくり考えて解くことができますし、最悪捨てることができるので、得点を最大化できます(仮に時間がかかる問題を先に解いた場合、時間制限を意識して焦る上、解けなかった場合にはその時間は返ってきません。解ききれたとしても、そうして簡単な問題を残してタイムアップという形になると非常に損です。)

では、どのように意識すればそのような問題を選ぶことができるでしょうか?

①指針がたつ
②計算量や処理量が少ない
③自分の得意な分野
④2題構成の大問の(1)

の4つのポイントを意識しましょう、4-1に書いたように、幸いにも普通部の問題文は短いため、問題の把握はしやすいです。
①について、指針も思いつかないものは、考えている時間が無駄になってしまうので、他の問題を解いて着手しましょう。
②について、結局その問題を解き切ることに決めたならば、いつ解いたとしてもかかる時間は変わらないのですが、単純に計算量が少ない問題の方が速く解けるため得点効率も良く、計算量が多いというのはただそれだけで計算ミスのリスクとなります。
③について、場合の数以外は分野ごとの難易度差はそこまでないため、自分が得意なものを選択しましょう。
④について、2題構成の大問の(1)は簡単なことが多く、2題構成の問題を丸ごと捨ててタイムアップというのは非常に勿体ないです。他の大問では解ききれなかった際途中点はつきませんが、2題構成の大問では(1)が解けた時点で点数がつくため、単純に得です。

また、問題を選ぶというのはあくまで『手段』なので、選ぶという行為にあまり多くの時間をかけないように注意しましょう。

4-3: (レベルAをほぼ完答するために)瞬発力をつける

瞬発力をつけるということは、問題文の把握→指針を立てる→処理する のサイクルを速く回していくという意味です。
慶應普通部は問題文が短く、把握のスピードにはそこまで個人差は出ないでしょう。指針をすぐ立てられるようにするためには、普段から体系的に解法やポイントを整理しておきましょう(速さなら、どういう問題でダイヤグラム、線分図、比を使うのか、など)。

計算力に関しては普段から問題を解くことは勿論、複雑なものは後でまとめて計算するなど(簡単な例としては、円周率の3.14などは逐一計算せず、最後にまとめて計算します)計算の工夫を意識しましょう。

4-4: (レベルAをほぼ完答するために)解いた問題を合わせる。

一度で計算が確実に合えばそれに越したことはありませんが、その確率はあまり高いとは言えないでしょう。ミスが目立つ人は必ず見直しをしましょう。
『この問題は計算ミスしただけ』という軽い認識で終わらせる人がいますが、それは注意確認を怠ったためです。緻密に分析すると、自分がどういう問題でミスをしやすいのかが把握でき、危ない部分は慎重に解くなり見直しを徹底するなりで対策を取ることができます。

5: 慶應普通部中学志望者向けの対策・動画配信サービス

最後にお知らせとなります。

中学受験コベツバでは、上記の分析・出題傾向を踏まえて、慶應普通部中学志望の子供たちを対象に、以下のサービスを配信をしております。

●1:サピックステキスト解説・SS解説・テスト解説の『StandBy(スタンバイ) for SAPIX』

サピックス(SAPIX)算数テキスト全問動画解説サービス『StandBy(スタンバイ)』を始動
サピックス(SAPIX)算数テキスト全問動画解説サービス『StandBy(スタンバイ)』を始動

●2:コベツバ過去問動画解説


トッププロ家庭教師によるライバルに差をつける技術を学べる解説動画と、過去問に取り組むご家庭を支える、問題難易度・重要度分析・お子様の苦手分析機能。

最難関・難関過去問解説動画スタート
最難関・難関過去問10年分 全問解説動画

●3:中学受験算数の分野別動画教材と参加型確認テストの「コベツバweb授業」



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