豊島岡女子学園中入試の解体新書 | 過去問データに基づく算数傾向分析と対策

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by 村中  公開: 更新:

2月2日は豊島岡女子学園中学の第1回の入学試験が行われます。

この記事では、豊島岡の合格者数や平均点、合格最低点をご紹介した上で、豊島岡女子学園中学の入試傾向を徹底的なデータ分析から把握し、合否を分ける単元・対策法をお伝えいたします。

2020年の豊島岡中学入試で出題された算数の、算数解説動画・所感・難易度分析も公開しております。過去問解説も無料体験いただけますので、是非ご検討くださいませ。

尚、コベツバradioでは今回の記事の内容をより詳しく、わかりやすくお話ししております。保護者様からよくいただく質問についても回答しておりますので、志望者の方は合わせてご参照くださいませ。


(2020年12月7日追記)
以下の動画では、学校名が「としまおか」と聞き取れる部分もございますが、「としまがおか」が正式名称となっております。誠に申し訳ございません。

 

1: 2020年豊島岡女子学園中学入試問題(算数)の問題/解答/解説速報

1-0: 2020年豊島岡女子学園中学入試の算数問題&解答PDF

問題PDF
解答PDF

1-1: 2020年豊島岡女子学園中学入試の所感

 

全体感としては例年以上にレベルA(=基礎レベル)の量が少なくレベルB(=差がつく応用レベル)の問題が多かった印象です。それ故に算数で比較的差がつきやすい問題セットになったと想像します。特に3番から6番の難易度が高くなりました。
3番の速さは、関東圏で出題が低いものの、関西では灘・神戸女学院・甲陽学院での出題がある「差の比例」、5番は思考力「読解」の正確さを試す問題で、結局のところAの和に連動してBの具体的な位置を考える必要がないことが引っかかるポイントであったこと、6番の立体図形もさすが豊島岡の立体と思う断面図を自分で設定させて平面図形に帰着するという流れの発展的問題でした。
どれも出来不出来が分かれやすい設定に作られており、大問3問ともがこのようなケースだったことは非常に珍しく感じました。今後、豊島岡がこのレベルを引き続き出していくのかは注視しておきたいところです。

以下、大問ごとにコメントしておきます。

 

▼大問1番:小問集合

どの問題も典型的な問題で短時間でミスなくできるかが問われました。

▼大問2番(2):桁ごとに調べる

1-2番を通じて出来が分かれる問題は唯一この問題だったかと思います。丁寧に桁ごとに場合分けを行うとともに、3個が入らないように注意を払って進める必要があり極めてミスを誘いやすい作りになっている問題でした。

▼大問3番:差の比例

関東ではほとんど出題がない技術である「差の比例」。目にする機会が少ない為、面食らった人が多かったのではないかと想像します。ただし、差の比例とN回目を組み合わせた「N回目に出会う」という技術の前提となるものとして使う機会があり、そこで丁寧に学んだ人はクリアできたのかもしれません。豊島岡の先生がいかに勉強熱心かを示すそんな問題でした。

▼大問4番:割合の平面図形

難易度が上がった中盤から後半戦の中での中休み的な大問です。豊島岡は立体図形の難易度が高い反面、平面図形についてはそこまでレベルの高い問題は配置されていないことは今年も同じ。中チョウチョ補助線から等高図形→隣辺比という典型的な流れでおしまいです。ここは(2)まで含めて正解したい。

▼大問5番:思考力「読解」

Bの動きについて紛らわしいため、丁寧な読解が必要と判断して、通常以上に解像度をあげて文章を読んで定義をグリップする必要がある問題でした。結局、Bの動きはA次第で完全に確定してしまい、大きくAが通り過ぎる時もBは1歩ずつ歩みを進めることを握れるかがポイントでした。

▼大問6番:断面図の設定

豊島岡の立体は同一論点の出題が少なくバラエティが豊富で、かつ他校でもあまり見ない応用問題を出題する傾向がありますが、今年もその傾向を踏襲してきました。ただ、一段引いて見ると「投影図」「断面図」の設定はこれまで複数回に渡って出題されており、立体を精緻に把握する際に「断面図」「投影図」を使わせることは学校のテーマであることが伺える問題だったと言えます。ポイントさえつかむことができれば答えまでの距離は遠くないことも例年通り。豊島の立体を攻略するためには、頻出テーマと幅広く技術を身につけ、経験を積んでいくことが重要であると言えます。

1-2: 2020年豊島岡女子学園中学入試の難易度分析

豊島岡女子学園中学校の全体感・分析表

1-3: 2020年豊島岡女子学園中学入試の算数解説動画

今回の記事では、2/2実施の2020年豊島岡女子学園中の入試算数の問題から、大問3番の解説動画を配信いたします。

大問3番:

 

2: 豊島岡中学入試の基本データ

2-1: 豊島岡中学の偏差値(サピックス・日能研・四谷大塚)

以下が豊島岡中学校の偏差値(80%合格ライン偏差値)です。

80%偏差値
サピックス 60
四谷大塚 70
日能研 67

2-2: 豊島岡中学 受験者数・受験倍率推移

以下の表が近年の受験者数・受験倍率推移です。

倍率(2月2日)の推移

受験者合格者倍率
2020 986 402 2.5
2019 1000 393 2.5
2018 1018 396 2.6
2017 999 397 2.5
2016 1009 403 2.5

豊島岡は毎年、補欠合格が40名ほど出ており、第1〜3回通して20〜25名出ています。

2-3: 豊島岡中学 合格最低点・受験者平均点・合格者平均点

以下の表が合格最低点等とその得点率を示したものです。

2月2日(4科目)

合格最低点合格者平均点受験者平均
過去5年間
の平均
199.2(66.4%) 216.3(72.1%) 187.1(62.4%)
2020 207 223.36 195.61
2019 205 219.49 193.57
2018 207 225.8 196.7
2017 187 205.2 175.3
2016 202 220.9 189.7
2015 187 203.3 171.9

2月2日(算数)

合格者平均受験者平均
平均 71.7 59.2
2020 68.95 56.52
2019 66.6 57.6
2018 74.75 61.27
2017 75.9 64.5
2016 79.06 63.86
2015 64.8 51.2

4科目でみると通常通りの豊島岡となりました。

しかし算数をみると2020年は、平年より低い受験者平均点となりました。

2016年〜2018年の算数は比較的易しかったのですが2015年・2019年・2020年は難しくなっており、2年連続少し難易度の高い技術が出題されていることから、難易度が少し上がっているのではないかと想像されます。

3: 豊島岡女子学園中学の傾向と対策

3-1: 豊島岡の合否を決める科目 算数

合格者ー受験者 算数の合格寄与度
4科目 算数
2020第1回 27.75 12.43 44.8%
2019第1回 25.92 9 34.7%
2018第1回 29.1 13.48 46.3%
2017第1回 29.9 11.4 38.1%
2016第1回 31.2 15.2 48.7%
2015第1回 31.4 13.6 43.3%

そもそも豊島岡の合格者と受験者の平均の差は30点(300点満点中)となっており、相当受験者と合格者の差が少ない学校です。

合格者と受験者の差30点のうち、算数でついた差は、約8点〜13点となっており、合格寄与度はおおよそ40〜45%となっております。そもそも豊島岡の合格者と受験者の平均の差は30点(300点満点中)となっており、相当受験者と合格者の差が少ない学校です。 そもそも算数の配点が300点中100点と女子校の中では高い水準になっていますが、合格者と受験者の差30点のうち、算数でついた差は、約8点〜13点となっており、合格寄与度はおおよそ40〜45%となっております。

3-2: 豊島岡の算数 出題レベルと戦略

過去の豊島岡入試(10回分)の出題レベルの統計が以下のようになっております。

尚、レベルAは受験者の多くが正解させられる問題、レベルBは合否を分けるような合格者のみが得点できる問題、レベルCは合格者でも得点できない問題です。

レベルAはほぼ完答。レベルBは3分の1程度合わせることで合格最低点を少し上回ることができ、ここのラインが受験生が目指すラインになるでしょう。

レベルAが60%と言うことで決して難しい問題が多いわけではありません。しかしながら、受験者平均と合格者平均が非常に近いことから、1問・2問で合格不合格が決まっており、それはレベルA1問のミスであったり、レベルBを後1問解けるかどうかと言うとことにかかっているでしょう。

レベルAを隙無く固めるために、分野を網羅的に応用的なものまで固めておきましょう。

次に、ではレベルAを固めた上で、それで合格できるのかと言うとそう言うわけではありません。

豊島岡は問題数に対して制限時間が厳しいため、合格者でも本当にレベルAが必ず完答できるわけではなく、1問は間違える可能性はあるため、やはりレベルBの問題でもしっかり狙っていく姿勢が必要です。

しかしながらレベルBの問題がそこまで多いわけではなく、また、小問集合の中でレベルBが出てくるため、様々な分野のレベルBが出題される可能性があります。もちろんよく出題される分野はあるのですが、それ以外の応用技術もしっかり抑えておく姿勢を持っておいて欲しいです。

3-3: 豊島岡の算数の頻出分野(レベル別)

次に分野別に出題傾向を捉えていきましょう。

先ほどと同じく10本分の過去問から集計した出題割合です。

女子最難関の桜蔭のデータと重ねて捉えてみましょう。

青が豊島岡、赤が桜蔭です。

「速さ」「立体図形」と言った出題分野に被りがあり、分野としては共通していると言えるでしょう。(ただし傾向は異なります)

一方、桜蔭では「平面図形」「文章題」がほとんど出題されないのに対して、豊島岡では相応に出題されています。

より詳しく、レベル別にみていきましょう。

まずはレベルAから。

文章題・平面図形などを中心に出題されていますが、幅広い単元が出題されています。

速さに関しては、これまではレベルAのものが中心でしたが、難易度を上げてきている印象ですので、今後はレベルB(合否を分ける問題)の頻出分野となっていく可能性もあるでしょう。速さの難化傾向は女子御三家に共通したトレンドと言えるでしょう。

また、平面図形や文章題は桜蔭ではほとんど出題されない問題ですから、桜蔭併願者は対策が疎かにならないように注意しておきましょう。

次にレベルBです。

レベルAは塾の授業にしっかりついていくことで得点できる学校なのですが、合否を分けるのはこのレベルBです。

立体図形・論理推理だけでレベルBの3分の1を占めており、この2分野は必ずどちらかまたは両方が出題されています。この2分野の徹底対策は豊島岡志望者に必須と言えるでしょう。

最後はレベルCです。

立体図形がレベルCのほとんどを占めています。逆にレベルB頻出であった論理推理がほとんどレベルCにありません。つまり、立体図形には「解き易い〜絶対解けない問題」まで様々なレベルがありますが、論理推理は「全く手も足も出ない」可能性が低いと考えられます。

ここまでの傾向をまとめると、レベルAは各塾のテキストを応用的な問題まで含めて抑えておくことが重要です。苦手な分野をできるだけ作らないことで、痛い失点を防ぎましょう。

コベツバでは中学受験算数の標準的な技術を網羅的に体系的に学習できるコベツバweb授業を配信しています。5年生・6年生で単元ごとの学習で抜け漏れを防ぎたい方にお勧めです。

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さて、その上でレベルBが数問取れるかどうかで合否が決まりますし、それは「立体図形」と「論理推理」を鍛えることが最も近道です。

3-4: 豊島岡の合否を決める「立体図形」対策

圧倒的に「切断系(または求積)」の立体図形が出題されます。(逆に桜蔭や女子学院が好む展開図系の立体図形はほぼ出題されません)

必要となる技術は一定高度かつレアであるものの、「技術を知ってさえいれば得点できる」問題が多く、豊島岡ボーダーラインに並ぶお子様であれば解けるだろう問題が出題されています。

ただし技術を知らなければ、全く手も出ない可能性があるため、何よりも幅広く立体図形を抑えること」が重要です。

とはいえ、豊島岡は過去出題されたものと似た味わいの問題はあまり出題しません。そのため、過去問をやり込みさえすれば必ず解けるようになるわけではなく、他校の過去問や塾のテキストで幅広く技術を押さえていく必要があるでしょう。

女子校で豊島岡のように切断系をゴリゴリと出す学校はあまり見かけません。そのため、傾向が似ている他校の過去問は、男子校ではあるものの「海城」「甲陽学院」となります。

「桜蔭や渋幕でも切断系の問題は出題されるのでは?」と思われる方もいらっしゃると思います。

しかし、桜蔭の立体図形は「展開図系も出題されること」から豊島岡の立体図形対策としては費用対効果が高くはありません。また桜蔭の入試問題の何よりの壁は「答えまでがひたすら遠く、計算や整理が煩雑であること」です。豊島岡とはずいぶん味わいが異なるため、豊島岡のために桜蔭の過去問に取り組むことは効果がないわけではないものの、直結するとは言い難いです。

次に渋幕ですが、渋幕の立体図形は灘をベンチマークとしており、豊島岡よりさらに高度な技術が出題され、立体図形好きの男子に求めるような切れ味のある問題が多いです。豊島岡志望の女子にとってはかなり高い壁に感じられるかと思います。

そういった意味ではちょうど良い似たレベルの過去問はやはり「海城」「甲陽学院」で、豊島岡合格を確実にされる場合は是非取り組んでおいて欲しいと思います。(コベツバ過去問動画解説にて解説動画を配信しています。)

3-5: 豊島岡の合否を決める「論理推理」対策

論理推理は大きく「数パズル系」と「問題を読み込んだ上でルールを把握して一手ずつすすむタイプ」に分かれます。

女子学院や麻布は「数パズル系」を好む傾向にあり、こちらは一定の発想が必要になる問題なのですが、「問題を読み込んだ上でルールを把握して一手ずつすすむタイプ」は「読解・整理・誘導・試行検証」が盛り込まれている問題です。

その中でも豊島岡はしっかりと1歩1歩進めることができれば解ける問題であり、とはいえ、簡単すぎるほどではなく、一定の複雑性があり、受験生にとって少し手強いと感じる問題です。

麻布や栄光の論理推理は、一握りの算数男子だけが試験内で解けるような難問が出題されることがあるのですが、決してそんなことはなく、繰り返しになりますが「しっかり取り組めば解ける問題」なのです。

出題者の意図としては、「論理推理にアタックするハートのある受験生」であれば、「手が届く論理推理」を出題することによって、「論理推理は私には無理」と頭から思っている受験生をフィルターにかけることなのではないかと思います。

これまでに出会った論理推理は苦手だったお子様も、豊島岡の過去問を通じて論理推理アレルギーを緩和していくことができると思いますし、それができるお子様をまさに合格させたいと言う意図を感じます。

慣れてしまえば、立体図形よりも得点源にできる分野ですから、志望者の方は論理推理を捨てることなく進んで欲しいと思います。

4: 豊島岡女子学園中学志望者向けの対策・動画サービス

最後にお知らせとなります。

中学受験コベツバでは、上記の分析・出題傾向を踏まえて、豊島岡女子学園中学志望の子供たちを対象に、以下のサービスを配信をしておりました。

●1:サピックステキスト解説・SS解説・テスト解説の『StandBy(スタンバイ) for SAPIX』

サピックス(SAPIX)算数テキスト全問動画解説サービス『StandBy(スタンバイ)』を始動
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●2:コベツバ過去問動画解説


トッププロ家庭教師によるライバルに差をつける技術を学べる解説動画と、過去問に取り組むご家庭を支える、問題難易度・重要度分析・お子様の苦手分析機能。

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以上です。

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