【サピックス4年生・5年生】志望校診断サピックスオープン(SO)の概観/平均点/分析/対策

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by 村中  公開: 更新:

ここでは、4、5年生で実施される実力診断サピックスオープン・志望校診断サピックスオープン(SO)について詳細に分析し、これまで何度も受けて来たマンスリー確認テストや組分けテストと比較した上で違いを明らかにし、その対策方法や結果の活かし方について記載させて頂きます。今後の学習のご参考になれば幸いです。

また、5年生まにで実施されるサピックスオープンは、4年生〜5年生5月に実施される「実力診断サピックスオープン」と9月/11月に実施される「志望校診断サピックスオープン」の2種類がありますが、実は形式・傾向 (技術・思考力の比重と難易度)共に大きな違いはありません。

ただし、「志望校診断サピックスオープン」はその名の通り、選択した志望校への合格確率が算出されることが特徴で、第1〜第4志望までは、2月1日~3日の午前入試は同日程の学校を重複して選択できないことから、実際の入試プランも考えながらの選択となります。親子ともに本番の日が1年と5ヶ月後に迫っていることを意識するきっかけとなるでしょう。

▼お知らせ

コベツバでは4年生・5年生サピックスオープンやマンスリー確認テストの全問解説動画と分析表を配信中です。

サピックス4年生 実力診断サピックスオープン動画解説・分析(10月14日実施)
サピックス4年生 実力診断サピックスオープン動画解説・分析(10月14日実施)

サピックス5年生第1回志望校診断サピックスオープン全問解説動画と難易度・思考力分析(9月1日実施)
サピックス5年生第1回志望校診断サピックスオープン全問解説動画と難易度・思考力分析(9月1日実施))

1: 実力診断・志望校診断サピックスオープン(SO)概観(平均点・難易度・ABの割合)

5年生の実力診断・志望校診断サピックスオープン(SO)の平均点は例年210点代〜230点代となっており、通常のマンスリーが280点〜300点、通常の組分けテストが260点〜280点程度であることを考えると、平均点がもっとも低いテストになっております。

一方、4年生の実力診断サピックスオープン は平均点は例年260点〜290点代となっており、通常の組分けとほとんど同程度か少し高い程度です。

一体全体どれほど難しいテストなのであろうか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは、サピックスオープン(算数)について細かく分析を進めてまいりますが、まずサピックスオープンについてお話しさせて頂く前に、「技術と思考力の関係」についてお伝えさせて頂きます。

1-1: 技術と思考力の関係

大きく分けて中学受験算数の問題には、「知識・技術を習得」できていれば解決できる問題と、「思考力を要求する」問題とに区分されます。前者は、学べば学ぶほど脳内にストックされていき、訓練していけば「頭をあまり使わずに」解答できるようになるものです。反対に後者は、どれだけ知識や技術を武装していてもゼロベースで整理したり、試行・検証したり、誘導を解釈したりすることが求められるものです。 勿論、実際の入試では特に「数の性質」「場合の数」の分野を筆頭に、「技術と思考力のハイブリッド」の問題も多く出題されており(学校例を挙げると渋谷教育学園系や、桜蔭)、そういった問題では知識・技術と思考力を共に要求してくるものです。さながら、問題の密林に分け入っていって、密林から脱出する車を発見するようなもので、密林に分け入っていく力(思考力)と、車(技術)の双方を要求している感覚を覚えます。

また、サピックスオープンは、6年生になるとAとB(思考力)のテストが分かれるものになりますが、5年生までは分かれておらず1つのテストの中でAタイプ・Bタイプの問題が同居しており、問題ごとにその評価がついている構造になっており、これはそのまま「技術的問題への対応力」と「思考力問題への対応力」と判断することができます。

1-2: 各学校で求められる「思考力」の種類

曖昧な言葉である「思考力」は、中学受験算数で求められる要素として分解すると、下記のA-Eまでの5つの要素に分解することができます。

           
             

A: 「出来るはず」と信じられるハート

             

B: 読解力

             

C: 整理能力

             

D: 誘導に乗る・解釈する力

             

E: 推論と検証の力


           

また最難関校6校別にそれぞれ要素の要求度度合いを表にしたものが以下になります。
(印がついていない能力も全く求められないというわけではありませんので、くれぐれも誤解のないように解釈ください。)

求められる思考力の種類:男子校

筑駒開成麻布聖光学院栄光早実
出来ると信じられるハート
読解力
整理能力
誘導に乗る、解釈する力
推論と検証の力

求められる思考力の種類:女子校/共学

桜蔭渋幕渋々
出来ると信じられるハート
読解力
整理能力
誘導に乗る、解釈する力
推論と検証の力

A:「出来るはず」と信じられるハートは、各学校共通ですが、そのほかの要素は各学校それぞれの特色があることがお分かりいただけるかと思います。

学校共通で実施されるサピックスオープンではやはり問題数の限界もあることから、要求される各要素の割合は毎回に異なります。
(テストによっては、読解力と誘導に乗る・解釈する力を求める開成に寄せた問題もあれば、整理能力を求める桜蔭に寄せた問題もあるということです。)

そのため、各学校別の適性を丁寧に測定するには、過去問や学校別サピックスオープンをまたざるを得ないのだとも思います。(当たり前ですが)

尚、コベツバでは実力診断・志望校診断サピックスオープンの解説と分析を当日中に実施いたしますが、その際にも、Bタイプの各問題が一体どの要素を必要としていた問題であったか お伝えさせていただきます。思考力を要求する最難関校を目指される皆様はご参照ください。

1-3: サピックスオープンの「A:技術」と「B:思考力」

サピックスオープンの過年度の複数回を分析した上で、150点満点のテストの内、「技術⇆思考力比重」のグラフを出してみました。

図1

おおよそ思考力を要求する問題が40%の出題となっており、ほとんどの場合、後半4-5番の大問以降が思考力が要求される問題という構成で、本番の入試とは違い明確に線引きされています。また後述させて頂きますがサピックスオープンは5年生で受験するテストの中では最も思考力比重が高いもの(4年生は組分けと同程度思考力比重が高いもの)になっており、それが故に「なんとなく難しい印象」を持ってしまうものになっています。ただ、それでも思考力比重は高くても40%であり、異常に多い訳ではないことも改めて触れておきます。

1-4: サピックスオープンの難易度

次に、「技術」問題の中での難易度比重のグラフです。

図2

全体の約60%を占める「技術的問題」のうち、難易度A・B・Cで区分すると、90%前後つまりほとんどの問題が非常に易しいレベルAで構成されていることが伺えます。皆さんの中には、もっと技術的にも難しい印象を持つかもしれませんが、それはどちらかというと「範囲が無いテスト」であるが故に「忘却」していることが原因となります。後述させて頂きますが、「マンスリー確認テスト」は、より「応用的技術=B」の比重が高いことに比べると、「サピックスオープン×技術」の出題意図としては、あくまでも「浅くても良いので、技術が広くカバーされているか」どうかを問う構成になっていると言うことができます。

さて、ここまで見ていくと、技術60%×技術難易度A90%=54%と言うことで、「真面目に学習・復習していくこと」と「ミスなく正答」することさえできれば、最低でも55%は到達できると言うことになります。勿論、そこにもハードルはあるのですが、算数が苦手な方でも最低限そこまでは到達できる内容になっていると言うことをお伝えしておきます。

1-5: 志望校診断サピックスオープンの判定算出方法(5年生の志望校診断サピックスオープン)

ご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、5年生後半以降のサピックスオープンでは、各志望校の判定が算出され、その算出方法としては、以下のようになっております。

           
             

1: 科目別毎にABタイプの比重割合が決まっており、全受験者の得点をABタイプ×科目(配点)で比重をかけ再度合計した上で、その中で評価したお子様の偏差値を算出

             

2: 過年度の合格力判定SOの平均偏差値・順位と実際の合否結果から、合格確率を算出(10%刻み)


           

まず、1のAB比重ですが、学校×科目別のABタイプ比重の詳細は公表されておりません。ただし、「科目×難易度×ABタイプ表」からおおよその傾向をつかむことは可能です。

最難関校数校を例に挙げると、以下のようになっております。

国語
筑駒BABA不明
開成BABABA
麻布BABBB
聖光学院ABABAA
桜蔭BABAA
女子学院不明ABAA
渋幕ABABAB

次に2の合格確率の算出法ですが、その年度のサピックス偏差値(合格率80%偏差値)と一致することが一般的です。ただし、当該サピックスオープンでの志望者数・標準偏差によって、調整され多少前後することもあり、テスト毎の違いを踏まえた上での合格確率となっております。

(一例:筑波大学附属駒場中学のサピックス合格80%偏差値は70であるものの、5年秋時点では志望者も多く標準偏差も合格力判定SOより大きくなりやすい=差が開きやすく高偏差値の人数が多いことから、偏差値72以上を合格率80%とする)

ただし、当たり前ですが、5年生秋現時点の「合格可能性」はあくまでもその時点の順位・偏差値でしかありません。その後の学習次第では全く異なった結果となることを踏まえた上で1つの目安として受け止めましょう。

2: 実力診断・志望校診断サピックスオープンとマンスリー・組分けとの違い

2-1: 思考力比重

続いて、5年生サピックスの他テストとの比較に入ります。

以下のグラフが、各テストの「技術⇆思考力シェア」を表すグラフになります。

図3

当然ながら各テストの中でもシェアは一律ではなく、回ごとにブレはあります。その上で、過年度の複数回テストを分析した結果、全体としては上記のような構成となりました。

当然ながら、範囲があるマンスリーが最も思考力比重が低く、そこから組分け、サピックスオープンの順に思考力比重が高くなっています。組分けについては、回ごとにブレが大きく、例えば前回7月の組分けのように思考力比重が約4割とサピックスオープンと同比率の時もあれば20%程度という時もあります。ただ、それでも最大でもサピックスオープンと同じ40%が上限になっていると推測されることは付け加えておきます。

なお4年生については、サピックスオープンが毎年1回のみの開催であることから平均を取ることは差し控えますが、構成としてはほとんど組分けと同程度〜少し多い程度の思考力が問われます。理由は4年生の組分けテストはまだまだ習っている技術が少ない中、差をつけるため普段から思考力要素の多い問題が出題されているため、サピックスオープンになってもあまり変わらない、ということになります。

続いて、技術難易度についての比較です。

2-2: 難易度比重

思考力問題を除いた技術的問題のうち、その技術レベルを表したものです。レベルBがデリサピの★3つレベルと考えて頂くと良いでしょう。

図4

まず、すべてのテストにおいて、技術レベルCの問題をほぼ出題していないことが伺えます。これは4年生や6年生の場合、このようにほぼゼロとはならないのですが、基礎技術を徹底的に習得する5年生(と4年生後半に実施される実力診断サピックスオープン )においてはあくまでも学習内容から出題されていることが伺えます。

次に、やはりレベルBの出題はマンスリーが高く、それもそのはず、マンスリーはその目的が「学習範囲の技術の定着」である為、思考力比重が低い反面で、応用レベルの技術を習得できているかを最も問う機会になっていると言えます。

組分けのレベルBのブレがあるものの、マンスリ—よりは低くサピックスオープンよりは高い。これは6年生でも同様の傾向におり、サピックスオープンA(非思考力タイプ)の技術難易度は非常に低い構成になっています。

さて、ここまでで3つのテストの違いを含め、サピックスオープンを理解して頂けたかと思いますので、その上で対策へと話を進めていきます。

3: 志望校診断サピックスオープンに向けた対策(日々・直前)

これまでお話させて頂いた内容をまとめますと、サピックスオープンは、

1: 思考力比重が4割と最も高い

2: 6割の技術的問題のレベルは低いものが9割(ただし、範囲は無い)


というテストであるということが言えます。

まず、現時点で「絶対にAタイプ校しか行かない、受けない」と思っておられるお子様・保護者様もいらっしゃるかもしれませんが、その場合であっても5年生時点では「思考力を鍛えるに越したことは無い」ことは改めてお伝えしておきます。算数の問題で要求される思考力は大きく「読解」「整理」「試行・検証」「誘導」の4つに分けることができますが、特に「読解」「整理」自体が弱い場合、「単に見掛け倒しの普通の技術的問題」という状況にさえ、手が出なくなったりしてしまう可能性があるからです。

特に最難関校の中でもAタイプ寄りである、女子学院志望者の方に多くいらっしゃる印象で、マンスリーの偏差値は60前後であり、技術自体は概ね問題なく身につけられているものの、例えば7月の組分けテストの5番・6番あたりで点を落としている場合は、本来は問題を解く力自体はあるものの「長い話で心が折れた」「パッと見たときに知っている問題に見えなかったので難しい問題だと思った」という状況になっていることかと思います。

そのため、最低限の「読解」「整理」の力を持っておくこと、「少なくとも苦手意識がない状態にしておくこと」は重要です。

その上で対策としては、「技術」「思考力」に分けて記載させて頂きます。

難易度の高いものではなく、「デイリーサピックスの★1個から★2個・デイリーサポートのA-Cまでの内容」でほぼ構成されていることになります。従って、「新学年が開始して以降の通常レベルの問題の定着網羅性をいかにあげていくか」が大きな方針になります。

これまでデリチェ前やマンスリー対策前に問題を解いていった中で、◎◯△×の記号を振っていれば、 以下の表の順序で見直し・復習を行っていくことを勧めます。

図5



1: 「苦手or得点が悪いNO」の「△×」

2: 「苦手or得点が悪いNO」の「◯」

3: 「苦手意識なく、得点も悪くない」「直近一ヶ月より以前のNO」の「△×」

4: 「苦手意識なく、得点も悪くない」「直近一ヶ月より以前のNO」の「◯」

5: 「苦手意識なく、得点も悪くない」「直近一ヶ月以内のNO」の「△×」

という順序になります。

デイリーチェック・マンスリー時点でも定着できていない自覚や、定着できていなかった結果が判明しているNOを優先し、その次に忘却している可能性の高い一ヶ月より前のNOに向かっていく流れになります。ただし、現実にはそれほど潤沢に時間はない方がほとんどかと思いますので、1あるいは2まででも終わればまずまず順当だと思います。

5年生のテキストでは「思考力の養成」が最も良いものになります。

「入試問題に挑戦」は前回NOの技術を用いた応用問題が中心で、一部思考力も要求するハイブリッド問題も入っております。「思考力アップ」も思考力の養成の次に良いものですが、こちらも一部技術寄りのものが掲載されていることもあり純粋思考力だけに寄せたものでない場合があります。

更には、一定の量を取り組むことも重要ですが、それ以上に取り組み方も重要です。ここでは取り組み方についてお話しさせて頂きます。

まず、いくつか典型的な誤った取り組み方を記載させて頂くと、

A: 時間をかけすぎているor逆に時間をかけなさすぎる。

B: 答えを見て分かった気になったまま、解き直さない。

C: なぜそうするのかを自分で説明できないまま、解き直している。


という場合において、取り組み方の是正が必要です。

●A:「時間をかけすぎているor逆に時間をかけなさすぎる。」

基本的には問題に向き合う時間は1問10分です。(問題によって違いはあるものの)最大でも25分です。入試は勿論、サピックスオープンでもそれ以上の時間をかけてしまっては得点の最大化ができなくなります。一定で見切ることを体で身につける為にも時間をかけすぎない、ことは必要になります。

また一方で、整理や試行検証を全くせず1-2分など早すぎる時間で諦めることもNGです。通常の技術問題と向き合い方を変える必要があるのに、同じように「すぐに答えが出てこないから無理」というような型ができている可能性があり、それではいつまでも出来るようになりません。まずは、最低限、「整理する=分かっていることを書く、まとめる」ことから開始していくことで、次第に問題に「入っていく」ことができます。

●B:「答えを見て分かった気になったまま、解き直さない。」

これは技術問題でも同じですが、「分かる」と「出来る」には違いがあります。また、実際にやってみたら、実は細かな部分を分かっていなかったことに気づくことは多いです。本当に自分で出来るかを確認してはじめて「分かった」と言えます。

往往にして思考力問題は重たいし、再現性が低いのでついつい解き直しをさぼりがちになりますが、本当に分かったかの確認の為にも必ず解き直しをするようにしましょう。

●C:「なぜそうするのかを自分で説明できないまま、解き直している。」

いわゆる「操作を覚えて」いる状態です。思考力の本質とは、1つ1つ遭遇する分岐路において、自分のコンパスを持って進むべき方法を正しく判断・選択していくことに似ています。正しい道がわかってそれを自分の頭を使わずに通っていくと、結局いつまでも自分のコンパスを磨くことはできません。言葉で書くのが面倒であれば「口に出してブツブツ言う」でも構いません。「●●ということは、●●」「●●と●●があるので、●●は違う」など、これまで出会った思考力の高い子供たちの中にそういった子供たちも数多くいました。大学受験改革を意識してか、最難関校を中心に「根拠が理解できているか」を試す「論理・推理」の問題が近年増加傾向にあり、こういった学習が1年半後に勝負を分ける可能性があることも付け加えておきます。

以上

5年生のサピックスオープンの分析と対策を記載させて頂きました。
今後の学習のご参考になれば幸いです。

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