【6年生前半戦】土台の完成度を上げ切る旅

view数2191

by 村中  公開: 更新:

こんにちは。

今回は、学年の切り替わり時期ということで、「6年生前半戦の学び」というテーマでお話させて頂きます。

何百人もの子供たちを見て来て思うことは、6年生の学びは、大きく前半戦と後半戦に分かれます。そして、前半戦でつまづいたまま、後半戦で仮に1:1でプロ家庭教師についたとしても厳しい難易度の高い戦いになってくることがほとんどです。入試問題を完全に予測することができない以上、確率論の中での対策は、どこまで行っても薄氷の中でピラミッドを積んでいくことになる為で、あまり保護者様にもお子様にもさせたくないことではあります。

勿論、家庭教師のプロの時代には、6年生の後半戦にそれはそれはチャレンジしがいのある挑戦がいくつもありましたが、どこまでも確率論の域を出ないこともあり、6年生開始段階でこの記事を見て頂いているコベツバの皆様としては、やはり前半戦を乗り切って順調に後半戦に入って頂きたいと考えております。

全ては、子供達の希望を叶えるために。

1: 6年生前半戦の中にいる子供たちの状態

6年生前半の実力テスト(サピックスであれば組分け/SO)においては、偏差値55-65の層のお子様の成績は大きく上下します。その原因は明らかで、人間の脳構造の問題によるもので、子供達自身に何の非もありません。なので、責めないであげてください。

中学受験の優秀層と言われる人間、最終的に偏差値55-65、つまり一般の同年代の65-75(10人に一人から500人に一人の出現率)の脳構造であっても、2-3回同じ論点を時間を空けて学ぶことで、ようやく「自分の手の内に入れる」ことができます。

それまでは、学習した技術も「表面的に理解できたけど、趣向を変えられるとわからない・気づかない状態」「うっすらわかっているけれども、生分かりであることを子供自身が自覚できるので、積極的に使いたがらない状態」にあります。

子供が論点(新しい技術)を手に入れるまでの過程の図

スポーツや芸事でも同様です。習いたての四回転ジャンプや、スルーパスをヒリヒリするような試合・実践環境の中でうまく成功できる人間は、そうそういないのです。よくよく子供達を見て来た保護者様ならお気付きの通り、「一般の世で天才」と言われる彼・彼女にしたところで、あくまでも「ヒト」なのです。

一回で自由自在に活用できる魔法使いなど、世の中のどこにも存在しないのです。ほんの一部の例外を除いて。そしてほんの一部の例外の話が尾ひれをついて話されているだけで、筑駒・開成・桜蔭・渋幕どこも大天才だけで構成されているわけでは全くなく、皆努力や努力の方法を「自分の力」に変えて力をつけて来ているのです。

話を戻します。
つまり、算数において2-3回技術を学んでいない彼・彼女たちは、技を実践で使える状態にないのですね。単にそれだけのことです。

ただ、保護者様はここで注意が必要です。

「1年後に合格できる可能性を持った子供達」の多くは、ほとんどが「解答やヒントをもらえれば」、「わかった」と言って、すぐに正しく解答まで至ることができる状態にある、ということです。本人たちの認識は、「出来ていた問題」と思いがちですが、残念ながらその状態は、「自分で独力で、初見の問題を分かって、解ける」という状態とは、大きな違いがやはりあります。

ヒントをもらって「わかった」気になってはいけない

つまり、「独力でその問題のとっかかり」を見極めて判断することができていないということを強く自覚するべきなのです。

プロスポーツに例えましょう。

試合後にビデオを見て、このタイミングでシュートすればよかった、あのタイミングでパスをすれば勝てた、とコーチが話して「ああ、確かにそうだよな」と思うことと、「試合の中で、自分で気づいて実行できること」との差はものすごく大きいはずです。

前者はプロの選手であれば誰もが、「そうだ」と気づくはずです。でも、実際の試合の中ではほとんどの選手は気づかずにやり過ごすことを繰り返すのです。

つまり、「独力で気づく」と「独力では気づけない」の差は、大きいと思うべきなのです。

仮に子供達が直しをして、「分かっていた問題だ」と言っても、冷静でシビアなコーチとして「出来なかった事実」を突きつける必要があるということを、まずは保護者様は強く認識しておいてください。入試が終わった翌日にコベツバの解説動画を見て、本人が「そういうことか、これは分かっていた」と言っても、何の意味もないからです。

多くの子供達に特に6年生前半に頻発する状態ですが、これは6年生の前半になぜ解消する必要があるのでしょうか。

次の章では、前半戦で解消すべきだという理由についてお話させて頂きます。

2: 「土台の完成度」は、なぜ前半戦までにあげる必要があるか

多くの保護者様は、受験生の6年生一年間全体を見て行った経験はほとんどないかと思いますが、サピックスを含めた集団塾の6年生の予定を大まかに切り出してご説明させて頂きます。 まず、大きく「6年生前半期」と「6年生後半期」の、二つの時期に分けてご説明させて頂きます。

▼6年生前半期

まず、夏休み開始直前までの時期を「前半期」と切り分けます。

多くの塾で志望校別特訓が本格的に開始されるのは夏休み前の7月か夏休みからとなります。それまでにあった場合でも、どちらかというと算数の内容的には汎用性が高い偏差値帯で輪切りした内容の学習が中心となります。

サピックス(SAPIX)では、GWに実施されるGS特訓という単発のものを除くと、やはり夏休みから開始となります。

逆に言いますと、それまでの期間は受験学年とは言え「余裕がある期間」となります。後述しますが、ここの期間が「最後の余裕がある期間」である為、これまでサピックスがカリキュラムで提供してきた「復習スパイラルの抜け漏れ」を、家庭主導で埋めていくことができる最後の時間になります。

夏休みまでが家庭主導の学習ができるラストチャンス

▼6年生後半期

夏休み開始以降の時期を「後半期」と捉えます。

「後半期」の特徴は、本人や保護者様、あるいは指導者たちが「気がつけば、入試を迎えていた」というくらいに、一気にジェットコースターのように展開していく印象を持つからです。

それもそのはずで、夏休みは来る日も来る日も「授業」「宿題」に追われ続け、夏休み明けの秋以降は、常に「志望校対策」ということで、過去問を意識しつつ、その合格点への到達を主眼に「必然的にこなすべき課題」に追われ続けることになるからです。志望校ボーダー層以下の子供達は、「やった方がいい課題」「やり直し」に合格圏内の子供達よりも時間がかかることもあり、落ち着いて根本から見直していく時間をとる精神的・物理的余裕はない状況におかれます。

やることが膨大で途方に暮れる女の子

つまり、個人主導・家庭主導で子供達1人1人に応じた形での「弱点補強」をやっていく余裕は全くなく展開していくことになり、指導者が関わって、子供主導・家庭手動で取り組む場合、「足元の課題の何を捨てるのか」とセットで提案をして、家庭も本人もそれに合意をとった上で進めなくてはならず、一筋縄では行かない形になります。

と、なると話は簡単で、いかにして前半戦終了時点で「後半戦の志望校のジェットコースターにうまく乗れる状態を作り上げるか」が重要になります。

3: 「土台の完成度」をあげるために、今から私たちができること

では、前半戦開始時点で「志望校のジェットコースターにうまく乗れる状態」を作り上げるために、今から何をすべきなのか、についてお話させて頂きます。

抽象的に言いますと、算数においては「技術・知識の土台を完成させること」です。

最難関校でも50-70%、難関校では70-80%は、技術で決まります。最難関校という位置付けの聖光学院を例にあげると、その8割は技術でカバーできます。

その基本となる技術は、5年生までのテキストで教えられる技をいかなる角度で聞かれても答えられることができるのか、で決まります。ここに塾ごとの差は2-3割ほどしかなく、あくまでもその定着度合いで差がついているのが現状です。SAPIXの実績が優れているのは、第一にそもそも母集団の質が高いことを除くと、スパイラル方式を採用し、家庭手動での復習を最小限に抑えても、それでも子供達が定着できている状態を比較的実現できていることに強みがあります。テキスト(デイリーサポート/サピックス、他)自体の論点の網羅性や発展度合いは、算数の玄人から見ると、むしろ一般的でありすぎるレベルとも言えます。

その上で、では「塾のスパイラルに乗る」だけでいいのか、というとそんなことはありません。人間ですから知識の定着度合いには、どうしても濃淡は存在しますし、前述の通り、6年生の前半までで技術・知識の抜け漏れを無くす為の最後の家庭主導での期間でもあるからで、ここでの抜け漏れは、「夏休み以降の塾のエスカレーター」に乗って行った先にある入試直前期の最後の伸びを妨げることになってくるからです。

 

■ ■

 

その上で、「復習スパイラルの抜け漏れ」には、二つのものが存在します。

一つは、サピックス側がカリキュラムとして提供しているものの、「本人の理解不足または忘却によって定着がしていないもの」

もう一つは、難関校志望者中心に、「サピックスが提供しているカリキュラム自体の抜け漏れで、でも他塾では提供しているもの」。ライバルたちが、他塾、あるいはダブルスクールや家庭教師・個別指導で学んでいる技術・知識を埋めていくということを指します。

▼ ▼

前者は、弱点(未定着ポイント)のあぶり出しとその解消がテーマになります。

弱点(未定着ポイント)のあぶり出しは、マンスリー・復習テスト・組分けテスト、あるいは土曜特訓や実力型のテストでの「周囲との理解の差」によってあらわになります。正答率で判断しても良いでしょうし、頻繁にクラスが変わることもあり、同じくらいのお子様との主観的に感じる理解の差も分かってくるかとも思います。

同レベルの子よりも理解が劣る単元は徹底的に復習しよう

他の同レベルのお子様ができているのに、お子様ができていない単元・論点を発見し次第、そこが掲載されているテキストや論点に戻って、1つ1つ潰していく作業になります。

繰り返しになりますが、「聞いたら理解できた」は、「出来た」とは言いません。それも「出来ていなかった」とカウントし、復習をかけにいく選択を取ることが良いでしょう。

▼ ▼

まず、後者の優先度合いは、前者よりは優先度としては劣ります。ただし、最難関志望者は貪欲に手を伸ばして欲しいところです。

前者が最優先になり、その上でサピックスで学習していないものの入試の基本となるものの学習を行って頂きたいと思います。

市販のものですと、「中学への算数」を発行している東京出版の中堅校向けの問題集である「プラスワン問題集」、またより基礎的であるものの網羅的に論点が掲載されている「基礎固め問題集(数・図形・文章題)」がお勧めです。

また、StandByでは毎週のテキストでの追加ポイントや、土曜特訓で出会う問題に合わせたポイント解説で、追加的な技術・知識を提供し続けていきます。更に、コベツバでは、StandByだけでなく、最難関志望者向けのサービスをいずれに開始したいと考えております。

最後は宣伝になってしまいましたが、中学受験コベツバを見て頂いている皆様にとって、少しでもお力になることができれば幸いです。

新着記事
新着記事
more
人気の記事
サイトTopへ戻る