【5年生の学び】学年断層を超えて

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by 村中  公開: 更新:

こんにちは。

今回は、学年の切り替わり時期ということで、「5年生の学習」というテーマでお話させて頂きます。

5年生は、中学受験算数の世界では最重要学年と位置付けられており、難関校突破に受験に必要な技術・知識を一気に毎週毎週学習していきます。

それは確かな理由があることですが、受け手側にある子供達や保護者様側にその理由が腹落ちして伝わっておらず、4年生までの学習の延長線上で構えていくと、5年生の中盤以降に成績が下降曲線に入っていく子供達が非常に多く現れます。それも確かな2つの理由があり、答案と得点、学習時間や方法を見ていくと、誰がどういう理由で落ちていくかも一定想像することさえ出来てしまいます。

ここでは、そういったケースに陥らないようにこれからの一年間をどのように学習していくべきなのかをお伝えさせて頂き、来年の今頃自信を持って最終学年のスタートを切れるようにして頂くことを目的にしております。

1: 中学受験に挑む子供たちの脳と5年生の意味

集団講師時代から何百人もの子供たちの学びに触れてきて気付いたことは、どれだけ賢い子供達でも1回聞いただけの技術を、そのまま自由自在に間違いなく使えることは、ほとんどない、という事実です。

α1にいる天才は違うのではないか等思うことがあるかもしれませんが、そんなことはありません。偏差値70前後であっても最低2回、ボリュームゾーンである偏差値55-65のゾーンでは通常3回、時間をおいて学習していくことで理解が深まり、更に忘却しなくなる状態になるのがほとんどでした。

一旦話を外して、中学受験難関校の数学の話をしましょう。

ほとんどの高校では高校2年までで、早いところでは高校1年で大学受験に必要な技術を習い終わります。高3では、実践演習と弱点補強、志望校対策がメインになります。その結果として、圧倒的な合格実績を叩き出していることはご存知の通りです。現在、東大の70-80%。京大の50%、国立医学部の合格者の大半が、中学受験難関校出身で占められているのは、もともと中学受験で鍛えられている子供達に、そこに合った形でのカリキュラムを学校側が敷いているからです。(授業の進度としてだけではなく、早いが故に応用的な問題まで中学や高校低学年時の学習でこなしてしまうのが、難関校です。入試がどのように変わろうとも、ほぼ動かないだろうと推測します。)

 

つまり、この層の子供達が「自分の手の内に入れて、技術を使いこなす」状態になるためには、ほぼ3回時間をおいて学習させる必要があると言うことになります。1回目ではそもそも使えないか、忘れてしまっている状態で、2回目であればまだまだ理解が甘い状態で間違って使ってしまうことがあり、3回目でようやく、「いつ使って、いつ使わないか」くらいまでもが体でも頭でも理解できるようになっていると言うのが一般的である、と多数の難関校合格者を見ていて思います。

子供が論点(新しい技術)を手に入れるまでの過程 もしかすると、保護者様は、

「1回聞いただけで全部わかってしまう天才だけが、難関校に入学できるのであって自分の子供では難しい」
「1回聞いてその時は分かっても、すぐに忘れてしまう自分の子供では難しい」

と、思う瞬間があるかもしれませんが、そんなことは全くない、と言う話です。

ごくごく一部の天才の話に尾ひれがついて話されているだけで、多くの難関校入学者もよくよく努力した結果、成績を向上させ、手の内に入れて使える技術を習得して、入試を突破していっているにすぎないと言うことです。

 

従って、受験学年である6年生の後半・夏休み以降になって「新しいことを初めて学習」したとしても、それは「本番では使えない」または「間違って使ってしまう」子供たちを沢山生みだすことになる、と算数の玄人指導者たちは、よくよく理解しています。

だから5年生が重要なのです。

「5年生の開始時期」から「6年生の夏休み前」までの時期にいかに多くのものに2回から3回触れておくか、が重要だと言うことになります。

カリキュラムやテキストに受験算数の香りがついてきます。
量も多くなります。

でも、それはサピックス(SAPIX)だけではありませんし、むしろ他塾の方が量的・質的に多く高い場合もあるくらいです。

あくまでも戦略的な学習カリキュラムとして提示されているものですから、しっかりと毎週毎週確実に身につけていく必要があると言えますし、マンスリーや復習テストと言う機会を活用して、2回目の学習としての「テスト対策」を兼ねた形での復習もかけていく必要もあります。

また、StandByでは、テキストに記載がないものの5年生時点でも触れておきたい技術を都度提示していくことで、子供たちに技術に触れる機会を提供し続けて行きたいとも考えています。塾やカリキュラムにはどうしても濃淡があり、応用的なものまで5年生で学習できるに越したことはないからです。

2: 学年断層に落ちる子供たち

4年生から5年生に上がるにあたっての壁は上記の「学習上の量的な壁」以外にもう一つの壁が存在します。

それは、「書く力」の壁です。

4年生までの低学年算数は、基本的には「速さ重視」「正確さ重視」だったかと思います。手を動かさずに早く解答に至ることを良しとする学習にどうしても振り切れてしまいがちになります。その結果として生まれるのが、「書けない子供たち」です。

書いて解きたくない男の子

誤解のないように申し上げますと、字が汚い、絵が汚い、と言う個人の特性とは全く関係ありません。算数のよくできる男の子で、「字が汚い、絵が汚い」でも「必要な図や式を書くことができる」子供達は、非常に多く、至る所に存在します。

あくまでも「書く学習」を教わっていないか、教わっていたとしても頭の回転力が高いが故に「書かずにできるので、書く習慣を持ち得ていないが」為に、結果として「書けない」のです。

「書けない」ことで、何が5年生以降で生じてくるかと言いますと、

作図を用いる単元・問題ができない
書いて整理する単元・問題ができない
書くこととセットになっている技術を、そもそも習得できない

現象が生じる為、どこまでも成績が落ちていくことになります。

入試を筆頭に難関校の受験算数を何も書かずに合格点が取れると言うのは相当なツワモノで、普通にたくさんの「書く」と言う操作を通じて、思考の土台を築いて行き、正解にたどり着くのが入試は勿論のこと高学年の問題だからです。

放任主義の傾向があるサピックス(SAPIX)では、「書くこと」の重要性を徹底的に仕込まれる機会が少ない為、4年生や5年生の答案・問題用紙への書き込みを見ると、残念なことに「書くことへの指導の跡がない」ケースが非常に多く散見されます。

低学年時代の底の薄い問題で高得点を取ってきた成功体験があり、書くことに対する抵抗感が逆に形成されている子供たちも沢山いるのだろうと推測します。

私が動画配信をしているのは、答えやポイントに早く辿り着いて欲しい、ということだけではなく、「この先生でも、これだけ書いても答えに至っている」ということに気づいて欲しいこともあります。頭の中だけで早く解けることが良いとされる低学年算数から脱却して、人間が与えられた「書く」という武器を早々に身につけて、学年断層を是非超えて行って欲しいと思います。

これくらい書かないと解けない!

3: この1年間、行っていくべき学習方法は何か

ここまでで既に結論は出ています。

1: 毎週の学習をできるだけ完全に消化していくこと

2: 知識や技術にできるだけ広く、または深く触れ続けること

3: 「書くこと」に意識を向けて学習を行っていくこと

の3つとなります。

1: 毎週の学習をできるだけ完全に消化していくこと

毎週のデリチェ、マンスリーや復習テストという範囲のある学習内容で単元やポイントの抜け漏れを1つ1つ潰していくように学習しましょう。サピックス5年生で習う内容は「最低限」の内容です。「難しすぎる」ものはほとんどありません。

週間単位での「デリチェ」、月間単位での「マンスリー/復習テスト」で高得点を狙い続けること、また出来なかった問題や単元を必ず復習していくこと、これが何よりも大切です。

2: 知識や技術にできるだけ広く、または深く触れ続けること

上位帯中心の話にはなりますが、学習単元に合わせた応用的な技術にもできるだけ手を伸ばしておくと良いでしょう。前述のように触れる回数を増やしていくことで、早期に「手の内に入れる技術」を増やしていくことに繋がるからです。

3: 「書くこと」に意識を向けて学習を行っていくこと

宿題で答えだけ書いてある
図形の作図をしない

など、宿題のノートとしてそもそも良い状態にないかどうかを必ずチェックして行きましょう。

解き方が書いていないと入試で×をつけられるから、というのが理由ではありません。自分が高学年算数の問題の解答に行き着くために必要だから、です。

「ノートを見るだけで成績がわかる」という話ですが、チェックの機会がなかなか持てない場合、コベツバではテスト分析の中で問題への書き込みから「技術の定着度」や「書き方の度合いや、書き方の型」の習熟度合いをチェックさせて頂くことで、結果として「書く力の向上」に貢献できるようにさせて頂いております。

以上

5年生の新学年開始にあたっての学びの骨格でした。

少なくともコベツバの記事をお読みの皆様が5年生の学年断層に落ちないように、また、来年のスタートを非常に良い状態で切れるように、少しでもご参考になれば幸いです。

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