サピックス2023年冬期講習の日程・カリキュラム・学習方法(5年・4年)

サピックス(SAPIX)4-5年生は、12月25日頃から冬期講習が始まります。

この記事では、サピックス4年生・5年生の冬期講習の内容を説明した上で、特に注意してほしいNoや学習方法についてお伝えいたします。

年末年始の慌ただしい中ではありますが、講習はデイリーチェックがありませんし、次の定着確認のテストまでのスパンが長いこともあり、しっかりと身につけられないまま次に進んでしまうお子様もいらっしゃいます。コベツバの「スタンバイ SAPIX(サピックス解説・対策)」ではいつも通り解説動画・ポイント動画に加えて、平常授業のように定着を確認することができる「冬期模擬デイリーチェック」も公開しておりますので、定着確認にご活用ください。

また、以下の動画(音声のみ)では、現4年生・現5年生の保護者様に向けて、冬期講習・1月組分けテストに向けて、どのように学習を進めたら良いのかについてお伝えしております。

例年、よくいただくご相談や疑問にも答えておりますので、合わせて是非ご覧ください

▼5年生 冬期講習の概観と各NOの注意点

 

▼4年生 冬期講習の概観と各NOの注意点

 

▼1月組み分けテスト平均点・難易度・対策(5年生・4年生共通)

 

コベツバでは、上記の記事でもご紹介しておりますように、冬期講習の解説・ポイント動画・定着確認の冬期デイリーチェックに加え、「1月組分け対策」もご好評を頂いております。

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今回お話ししますサピックス7月組分けテストの概要・平均点・対策については、以下のラジオでもご紹介しておりますので、よろしければご視聴ください。【6年生】0:28から再生【5年生】1[…]

もくじ

サピックス5年生の冬期講習

冬期講習(5年生)の日程とボリューム

【ボリューム】
国算 各4コマ 理社 各2コマ

【授業日】
首都圏:6日間
12/26~12/29,1/4,1/5

関西圏:3科目の場合5日間、4科目の場合6日間
12/25~12/29,1/4,1/5

と、進行していきます。4年生、6年生と違い、5年生は、毎日算数授業があるわけではありませんから、できる限り学習の積み残しがないように次に進むことができれば良いですね。

冬期講習(5年生)のカリキュラム・詳細

それぞれのナンバーの詳細は以下からご覧ください。

冬期No1「数に関する問題」

冬期講習のNO1は「数に関する問題」です。

今回の「数に関する問題」は、主に「N進法」について学習します。「N進法」は中学受験の中でも触れる機会が少ない為に、いざテストや入試で出題された場合に正答率が落ちる傾向がある分野ですので、定期的に復習して完全に身に付けておく必要があります。2019年の渋幕を例に挙げるまでもなく、中堅から最難関まで出題がありますので、苦手なままにしておくことはできないということも付け加えておきます。

▼N進法:A-3、B-1、B-3、C-1、C-2、D-1

僕たちが普段使っている数の世界は「0-9までの10個の数の世界」で、それを10進法と言います。だからこそ、数字の各位は、右から「1の位」「10の位」「10×10の位」「10×10×10の位」と並んでいます。N進法とは「N個の数でできた数の世界」であり、その位は同様に、「1の位」「Nの位」「N×Nの位」「N×N×Nの位」と並ぶことになります。

解法の手順としては、

「N進法と判断する」→
■番目の数からその数列(規則)の数に直す=10進法→N進法:逆割り算
■その数列(規則)の数から番目の数に直す=N進法→10進法:位取り

が、基本となります。

初めはやや混乱することも多いかもしれませんが、慣れると完全なワンパターンで解けてしまいます。

サピックス算数教材:ウィンターサポート[C 2番(N進法の利用(3))]問題解説

 

▼ニセN進法:D-3

有名どころだと、過去に麻布で出題がある問題です。綺麗なN進法と問題のN進法との入れ替え表を書いて、
「番目(10進法)」⇄「N進法」⇄「ニセN進法」と行き来することによって解くことができます。

 

▼GCM/LCMからの逆算・積の組合せ探し:A-1、A-2

逆割り算の形で整理したあと、2つの整数の積から2数を求める場合、約数セットで表現して和に注目して解く問題です。また約数セットの和は平方数に近づける(右に進む)ほど小さくなることも知識として知っておきましょう。

冬期No2「平面図形」

冬期講習のNO2は「平面図形」です。

今回の「平面図形」は、主に「図形の移動」について学習します。「図形の移動」はサピックス全体のカリキュラムでも経験する回数が比較的少なく、実際に過去問の正答率が低くなる傾向がありますので、特に意識して取り組んで欲しい単元です。学校的に言うと、出題が多い学校はダントツに駒東でその難易度も非常に高いです。駒東志望者は、他校受験者の数倍意識して取り組む必要があります。

▼円の転がり移動の作図(外回り):A-1、B-1、C-1、C-3、D-1

「地面が終わる場所=崖っぷち」で垂線を引いて行って結ぶのが基本操作です。中心の移動距離の場合は半径を垂線、通過範囲の場合は直径を垂線とすることで答えに向かって行くことができます。

慣れないうちは丁寧に書いて行って、慣れて行って省略をして行くと良いでしょう。難問になればなるほど実際に細かい部分を書く必要が出てくるものがほとんどです。

サピックス算数教材:ウィンターサポート[C 3番(壁にそって転がる(1))]問題解説

(1)

(2)

 

▼円の転がり移動の作図(内回り):A-2、A-3、B-2、C-3

内回りですが、中心の移動距離はただの直線になり簡単ですが、円の通過範囲になった瞬間に一気に難易度が上がります。求め方としては、回って行く図形の中央部分の空白地と図形の四隅の円が踏めない場所を出して、全体の面積から引くことで求めにいくことが多いです。

 

▼相→面:A-4、B-3、C-2

おうぎ形の相似形は「中心角が同じであれば相似」となります。これらの問題は「半径の比=相似比=弧の長さの比」と「相→面」を使うことであまり苦労なく解くことができますので、計算が面倒な場合、細かな解法に工夫の余地が残っている場合があり、確認が必要です。

冬期No3「比と割合」

冬期講習のNO3は「比と割合」です。

今回の「比と割合」は、主に「食塩水と商売」について学習します。基本的な事項は一度学習済でありますが、その復習から入って応用問題まで到達していきます。割合の文章題は難関校では開成・桜蔭の出題比率は非常に低いものの、女子中心に上位帯でも出題がある分野であり、女子学院・豊島岡、あるいは慶應での出題頻度は高く、またその難易度も高い為、志望者は力を入れて学習する必要があります。

▼食塩水分数・食塩水の面積図:A-1、A-2、A-3、B-2、D-2、D-3

両方の解法に習熟しておく必要があります。フローチャートは食塩水分数で整理を行って進行するのに使うことと、面積図は全体量が不明の場合でも使う用途があり、どちらか一方だけ使える状態は非常にもろい状態であるということを知っておきましょう。

サピックス算数教材:ウィンターサポート[B 2番(たくさん売る(1))]問題解説

 

▼フローチャート:B-3、D-1、D-2

食塩水の応用問題で頻繁に使う整理方法の技術です。基礎になるのは食塩水分数で濃度と分数を書いて進行します。難問になると分子=食塩の量がわからない為、「これ以上書くことができない」と止まってしまうとアウトです。

重要なことは「わからないことはわからないままにして、◻︎や◯でおきつつ、最後まで書き切ってしまう」ことで、書き切ってから後ろから戻して解くパターンの問題が多いのが特徴です。

 

▼水入れ(連発)→全体量と濃度の逆比:A-2別解

「水入れ」「蒸発」のように食塩の量を変えない変化の場合、全体量と濃度が逆比になります。サピックスでの学習機会は少ないですが他塾ではクラス帯によらずほぼ全員が学習している技術の為、触れておきましょう。

 

▼等量交換:C-1

食塩水の入試問題で頻繁に出題され続けているのがこの「等量交換」です。「変わらないもの3つ」を押さえることと、「100g交換と比例」の解法を身につければ簡単に解けてしまいます。今後何度も出題され続けるものの、なかなか正答できるようにならない論点の為、ここで頑張って身につけておきましょう。

 

▼原・定・売、多数売りの表:A-4、A-5、B-1

商売の基本的な整理方法です。確実にマスターしておきましょう。

 

▼売れ残った商品を売って考える:C-3

腐った卵を売る問題として記憶してほしい有名な応用問題です。腐ったものを追加で売った場合、その販売金額がそのまま利益に追加されていくということがポイントになります。

 

▼積同士の差→面積図:C-2

この問題自体は色んな解法で解けるのですが、ここで是非身につけて欲しいのは面積図の技術です。「差と積同士の差がわかっている場合に面積図を書く」ということで綺麗に対応することができます。この発想は色々な場面で形を変えて出現してきますので、ここで是非触れておきましょう。

冬期No4「速さに関する問題」

冬期講習のNO4は「速さに関する問題」です。

今回の「速さに関する問題」は、主に「速さと比」について学習します。「キョリ一定」「時間一定」を中心に一度学習した内容ではありますが、一部新しい論点である「時間一定折り返し型」「速さの和で距離一定」「速さの差で距離一定」と言うポイントも学習します。
また、更に小4で学習済の「平均速度」も含まれていて、盛り沢山の内容ではありますが、それでもこれらは中学受験算数の主要単元である「速さ」の基本であることは間違いなく、今後は基礎トレでも扱うレベルのものがほとんどです。丁寧に自分のものにして受験学年である小6に上がってもらいたいと思います。

▼同時刻同記号・時間一定:A-1、A-2、C-4、D-1、D-3

時間一定を使う為の事前準備として「同時刻同記号」を書いて整理する習慣を身につけましょう。それが出来れば時間一定を感覚ではなく、論理的に気づいて検証することができます。

サピックス算数教材:ウィンターサポート[C 4番]問題解説

 

▼キョリ一定:B-2、C-2、C-3、C-4、D-1、D-3

線分図で丁寧に整理されていると、縦に揃っている部分を比較することで「キョリ一定」に気付きやすくなります。ここでも時間一定と同じく技術に難しさがあるというよりも、「気付くことができるか」に難しさがあり差がつきやすい為、線分図での整理方法を身に付けることが大切です。

 

▼速さの和・差で距離一定:A-3、B-3

6年生前半で学習する応用的なポイントの導入となる問題です。出会いや追いつきをそれぞれ「速さの和」「速さの差」でとらえて距離一定に持ち込む方法について身につけてもらいます。難関・最難関校はこの論点を深めた形の問題を出題することがあり、上位帯は特に意識して身に付ける必要があります。

 

▼時間一定折り返し型:B-1、C-1

通常の時間一定と違って線分図が折れることで視覚的に距離を把握しにくくなる部分に難しさがあります。ただ、和に注目してあげると綺麗に端から端までの何本かとしてとらえることができるので、それだけと言えばそれだけです。こちらも上位校での出題が目立つ論点です。

 

▼平均速度:B-4、D-2

平均速度の往復の典型的な問題です。平均速度の往復問題の場合、「距離を勝手に決めて良い」ということがポイントであり、距離を速さのLCMでおいてあげると、すぐに答えに到達することができます。

コベツバの「サピックス解説対策のスタンバイ」では、サピックス冬期講習の全問解説、ポイント動画、理解を深める類題、模擬デイリーチェック(後ほど説明)を配信しております。

それぞれのNoの各問題の注意点等は(それぞれのNoの▶をクリックした先の箇所にて)紹介させていただいておりますが、以下、新しく習う2つの要注意ポイントをご紹介させていただきます。

1:N進法の学習

今後の授業で、体系的に学習する機会はほとんどありません。(もちろん土曜特訓の演習や1年後の6年生No34では登場するものの、しっかり身につけられているお子様は一部に留まっている印象です)

しかし、近年では御三家以外の難関校(御三家受験者の併願校)の入試に出題されることが多く、当該出題年度の学校の算数平均点が下がりやすい傾向にあります。

少しN進法に関連する問題が出題された学校×年度をご紹介いたします。具体的に見てみましょう。

・早稲田ー2015年第1回
・聖光学院ー2016年第1回
・豊島岡ー2015年第1回
・渋谷教育学園幕張ー2019年第1回

それぞれ、直近の一次入試(渋幕以外は二次入試)の中で相当受験者平均が低い入試です。 もちろんN進法以外にも難問が揃ったとはいえ、今年度の『コベツバ過去問動画解説』のN進法の正答率が簡単なものでも30〜50%の中に入っていることを考えると、少なからず影響があったのではないかと推測することができます。

難関校では、5年生で習うような通常の「N進法」、少し応用である「ニセN進法(これは昨年度から追加された内容になります)」だけではなく、より発展させた「0なしN進法」が出題されることもありますから、今回の単元のテキストレベルの「N進法」はどんなお子様でも、難関校を狙うお子様は「ニセN進法」も含め、スラスラできる状態に仕上げておく必要があるでしょう。

2: 図形の移動(特に円の転がり)

「図形・点の移動」という単元は、図形の移動に特化している駒場東邦中学を除けば、決して入試問題で頻出トップ3に入るほどの分野というわけではありません。

それを反映しているからでしょうか。4年〜6年を通じて「図形・点の移動」は、「速さ」「文章題」「平面図形・立体図形」といった鉄板の単元ほど、取り扱われる機会が多いわけではありません。

だからと言って、もちろん本番で出題されないという訳では全くありませんし、もちろん今後の模試でも出題される単元ではあるのですが、やはり復習頻度が低いが故に、他の単元がよくできるお子様でも正答できない印象を持ちます。

実際に、『コベツバ過去問動画解説』の受験生の正答率データを見ましょう。

【レベルA得点率ワースト3分野】

単元名得点率
1図形・点の移動61%
2水と水グラフ66%
3文章題(割合なし)67%
4立体図形67%

【レベルB得点率ワースト3分野】

単元名得点率
1図形・点の移動35%
2立体図形38%
3水と水グラフ39%

レベルA、レベルBということは「合格者でも解けない難問」ではありませんから、できる限り取りこぼしを抑えたいレベルになるのですが、どちらとも「図形・点の移動」の得点率が最も低くなっています。

(カリキュラム変更の可能性はあるものの)おそらく冬期講習ではこれまでの図形の移動の復習に加え、円転がり(外回り・内回り)を習得することになるかと思いますが、復習頻度が少なく、結果として1年後も課題として残っている可能性の高い単元であるからこそ、丁寧に身につける必要があるでしょう。


以上、5年生の冬期講習はどれだけ時間がなくとも「図形の移動」「N進法」だけは、しっかり習得した状態で終えることが重要、ということになります。

コベツバではテキストの「ポイント動画・解説動画・類題」に加えて定着確認の「冬期模擬デイリーチェック」を公開しておりますので是非ご活用ください。

   
   
   
サピックス(SAPIX)算数テキスト全問動画解説 サービススタンバイ(StandBy) 「数年先まで予約不可能になったトッププロ家庭教師を一家に一台」
   
   
   

冬期講習(5年生)の具体的な学習方法

今回の講習は積み上げ式の夏期講習とは違いますから、必ずしも前回の内容を理解していなければ次でつまづいてしまう、ということはありません。

とはいえ、授業の記憶が薄れないうちにもう一度学習しておくことが結果的に最終定着までの近道であるのは当然です。

まず帰宅後はできる限り「デイリーサポートA〜D(お子様によってA〜C)」に取り組みましょう。(コベツバの「サピックス解説対策のスタンバイ」利用者の方は、掲載されている応用フラグを省いていただいても構いません。Dでも応用とは言えない問題が掲載されていることもございますので、ぜひ取り組みましょう。)

その際にはいつもご紹介させていただいているように「理解度記号(◎◯△×)」を振っておきましょう。

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そして、正月休みや冬期講習終了後に「1回目に△×」だった問題と、その類題(デイリーサピックス、またはコベツバ利用者はコベツバ類題)に取り組みましょう。

どうしてもその時間が取れないお子様や、さらに定着を目指すお子様向けにコベツバでは普段のデイリーチェックと似た形式の「冬期模擬デイリーチェック(テスト形式)」※サンプルはこちら を提供しておりますので、理解確認・定着にご活用ください。「サピックス解説対策のスタンバイ」は1週間無料で体験できます。

サピックス4年生の冬期講習

4年生の冬期講習は12月までの平常授業から比べると、難易度・量ともに負荷のかかる内容となっています。

一般的に、5年生からが中学受験に向けた学習量が増える時期ではありますが、4年生の冬期講習はその序章であり「そろそろ高学年に向けた本格的な内容になってきた」ことを感じる内容です。

例年、「この講習から難しくなった」「なんとなく過ごしていたら、講習の内容があまり身についていなかった」というお声を頂くことが多いのが4年生の冬期講習であり、習ったポイントがそのまま5年生の基礎につながることから、しっかり押さえておきたい講習になります。

もちろん「受講してみたら難なくクリアできた」に越したことはありませんが、全体像や注意点をご紹介させていただきます。

冬期講習(4年生)の日程とボリューム

【ボリューム】
国算 各6コマ 理社 各3コマ

【授業日】
首都圏:6日間
12/26~12/29,1/4,1/5

関西圏:3科目の場合5日間、社会はこのうちの3日間
12/26~12/29,1/4,1/5

と、進行していきます。

夏期講習と比べると、期間も短く、また間に数日間の休みがあることから「意外と楽だな」という印象を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

違いとしては、夏期講習が前半の3分の2程度は復習メインであったことに対し、冬期講習は多くの新しいポイントを習っていくことです。

とは言え、これは4年生冬期講習に限った話ではありません。5年生の特に夏以降は「講習と言えども、平常授業と同様(時々、それより難しい)内容も次々に習得するのが当たり前」の世界になりますので、今回の講習を通じてご家庭それぞれの「サピックスの講習の乗り切り方」を掴んで欲しいと思います。

冬期講習(4年生)のカリキュラム

まず、冬期講習で習うNo1~6までの家庭学習の重さ(新しい内容が多いか、難易度の高い技術が入っているか)と入試重要度で評価すると以下のようになります。

講座名重さ入試重要度
冬期No1「平面図形①」
冬期No2「数のせいしつ」
冬期No3「平面図形②」×
冬期No4「場合の数」
冬期No5「立体図形」
冬期No6「総合(01-05の復習)」

それぞれのナンバーの詳細は以下からご覧ください。

冬期No1「平面図形①」

冬期講習NO1は「平面図形①」です。

まず、4年生の冬期講習は、通常よりも進度が早く難易度も高く、毎年つまずいてしまう子どもたちが沢山出てくることになります。内容的にも5年生以降に直結する内容も多いため、頑張って消化していくことが重要になります。

今回の「平面図形①」においても、多くの重要なポイントを学習します。
「等積変形」「等積変形(道)」「等高図形」「半分パズル」「合体」など、特に後半は6年生のSS特訓でも扱う内容になり、レベルは非常に高く注意が必要な単元になります。

以下ポイントごとにコメントします。

1: 等積変形:p5-1番、p11、p16、p19-1番、p22-1番

まずはp5の基本形を身に付けるところからです。平行線に囲まれた三角形の場合、底辺を固定して頭をずらしていっても面積が変わらない、という性質をイメージして自由に使えるようになる必要があります。

後半のp11では、「平行の発見」から開始して、その平行線を活用して等積変形をかけることでようやく面積を求めることができるという問題です。割合を使わない平面図形の難問と言えば真っ先に上がるテーマであり、学校的にも女子学院で複数回出題されています。

サピックス算数教材:ウィンターサピックス[p11 2番(等積変形②)]問題解説

2: 等積変形(道):p7、p20

道の等積変形は、「はじっこに寄せる」という考え方が基本の解法です。下にずらしても右にずらしても重なっている部分の面積が変わらない為、自由に寄せて考えることが可能です。その結果、欲しい面積を長方形や、長方形-長方形として求めることができます。

入試での出題頻度は高くはないものの、忘れた頃に出題されるもので、過去には桜蔭でもこの論点が出題されたことがあります。

3: 等高図形:p5-2番、p19-2番

テキストでは等積変形と分類されてしまっていますが、使う問題のパターンや味わいが違う為、別の解法として学習すべきものです。割合が入った後の平面図形でも非常に多用する考え方であり、丁寧に身につけておく必要があります。

4: 直角注目の分割:p9-1番、p21-1番

直感的にも解けてしまいますが、「なぜ、そのように分割するのか」を押さえておかないと、いざテストで出題された場合に、「反対に分割して解けない」ケースが発生する論点です。三角形の面積の底辺と高さは直角の関係にあることから、逆に「直角から三角形を見つける」というのがテーマになります。

5: 半分パズル:p13-1番、p23-1番

長方形や平行四辺形で、その図形内の1点と頂点が結ばれた図形を見たときに使う考え方です。「高さの和」の考え方を使って半分になることを理解した上で、自由に使いこなしていくことが求められます。難関校での出題も多い重要な考え方です。

6: 合体:p15-1番

難解なポイントで、ちょうど2年後に受講することになるSS特訓の難関校向けの「図形問題の特訓」でよく見かけるポイントです。「離れた場所の等しい二辺→足して180°を見つける」という条件が揃えば、合体を探しにいくことができるようになることが重要です。過去に渋幕での出題があり、類題もつけておきます。

冬期No2「数のせいしつ」

冬期講習NO2は「数のせいしつ」です。

今回の「数のせいしつ」は、夏期講習以来の登場となる約数倍数の復習から入って新しいことを学ぶ内容です。そもそも夏期講習以来のため、約数倍数の解法自体を忘れてしまっている人がかなり多いかと思いますので、まずは特に「数の基本問題②」から丁寧にポイント・類題と合わせて学習してもらうことが重要です。

今回は、上記復習に加えて「LCM(最小公倍数)セット(基本)」「平方完成」「GCM(最大公約数)/LCM(最小公倍数)からの逆算」と、それぞれ数の性質では非常に有名で出題頻度の高い論点を学習します。特に「LCM(最小公倍数)セット」と「GCM(最大公約数)/LCM(最小公倍数)からの逆算」については、この内容で終わりではなく、まだ更に応用していったものを5年生・6年生で学習して積み上げていくことになりますので、ここで外してしまわないように1段目をしっかりと積んでほしいと思います。

以下ポイントごとにコメントします。

1: LCM(最小公倍数)セット(基本):p7、p20

電球がついたり消えたり、という有名な問題ですが、一度ついてからまたつくまでを繰り返しの周期として考えて、LCM(最小公倍数)のセットとしてその内訳を書くことで答えを求めることができます。電球の問題自体で言うと、「注意して上下を揃えて書くこと」がミスせず正解するために重要ですが、LCM(最小公倍数)セットと内訳を書く、というより大きな解法の方が今後は重要になってくることも付け加えておきます。

サピックス算数教材:ウィンターサピックス[p7 2番(ついたり消えたり)]問題解説

2: 平方完成:p9、p21

一見するとパズル的な思考力問題に思えますが、全く違います。論理的に発想の飛躍なく解くことができなければ、この問題は解けたとは言えません、「たまたまできた=たまたまできないが発生する」と考えて、いつでもどう聞かれても解くことができる解法を身に付けることが重要です。

3: GCM(最大公約数)/LCM(最小公倍数)からの逆算:p11、p22

難関校・最難関校でも出題が多いこのタイプの問題ですが、今回は基本です。

・逆割算の形で整理して書く
・GCM(最大公約数)で割った後の2つの数は互いに素である
・積から2つの整数の組合せ=約数セット


ということで解くことができます。

冬期No3「平面図形②」

冬期講習NO3は「平面図形②」です。

今回の「平面図形②」は、怒涛のように続く冬期講習の中では、易しめの復習の内容も多いやや中休み的な単元になります。それでも新しいことをいくつか学習することにはなりますので、頑張って付いていきましょう。

以下ポイントごとにコメントします。

1: 同じところ付け足し:p9、p21

「離れた部分の面積が等しいか、差がわかっている」問題において、まず疑うべきは「同じところ付け足し」です。同じところ=同じ面積を付け足しても、面積の差は変わらないことを利用して、求めやすい形にしてしまうことがポイントです。今後、何度も何度も見る論点ですので、丁寧に身につけておきましょう。

サピックス算数教材:ウィンターサピックス[p9 1番(等しい部分)]問題解説

2: 円周と弧の長さ、円とおうぎ形の面積:p3、p5、p11、p16、p18、p19、p22

p11 1~2番については、本質的には新しい内容ではありませんが、弧の長さ・面積から中心角や半径を逆算で求める問題です。直感的にやるのではなく、丁寧に立式することさえできれば決して難しくありません。

冬期No4「場合の数」

冬期講習NO4は「場合の数」です。

今回の「場合の数」は、新しい技術的なことを一気に学習する内容になります。問題自体は、これまで学習した問題を扱いつつ、別解中心に高学年及び入試まで使い続けることになる技術を習得してもらうことになります。

まず第一に「組合せ=C(コンビネーション)の利用」から入って、「少ない種類のものを並べる」で「イチイチ問題」を「Cの利用」を使って解けるようにしてもらいます。
近年、イチイチ問題の応用発展問題が難関・最難関校で出題されることが多いため、最低限の技術は早い段階で習得することが望ましいためです。

次に、そのまま、和分解の基本としての「和→組合せ→並べる」と、さらに「ピヨピヨ」まで学習してもらいます。学習することが多いため、時間がない場合、「ピヨピヨ」はNO6の総合単元で学習することで持ち越してもらっても構いませんが、小6になると基礎トレでも見かける問題になり、多用します。

更に、色ぬりの基本として、「隣り合う場所が多いところから先にぬる」という原則を学んでもらいます。

以下ポイントごとにコメントします。

1: 組み合わせ(Cの利用):p7、p9-別解、p11-別解、p20、p21-別解、p22-別解

これまで、組合せの問題を、「順列でかけてから同じものの個数で割る」と考えてきましたが、今後はこれを一気にC(コンビネーション)を活用して解いて行ってもらいます。

サピックス算数教材:ウィンターサピックス[p7 2番(組み合わせ)]問題解説

2: 少ない種類のものを並べる:p11-別解、p22

イチイチ問題を計算で解く解法になります。立体のイチイチ問題などでは、イチイチを書いていくことが困難であったり、時間短縮のために活用できる必要があります。勿論、通常のイチイチ問題の解法もできたうえで、是非ここで身につけておきましょう。

3: 和→組合せ→並べる:p9、p21

何個かを何人かに分ける問題で活用します。まず、組合せを探してから、次にその組合せを並べるという流れで解答していきます。使うことができる問題の幅が広く、多用する解法になりますので、是非ここで確実に身につけておきましょう。

4: 分ける(ピヨピヨ):p9-別解、p21-別解

何個かを、何人かに、1個以上分ける問題で活用します。理解して使える使えないの判断に難しさはありますが、正しく使うことができれば相当に早く答えに到達できる解法です。ただし、この方法を使えるのは、6以上に分けない場合だけです。サイコロが6の目までしかないので、たとえば7と1に分ける場合が出てしまうなら、ピヨピヨは使えません。

5: 隣りが多い場所から決める:p13、p23

色ぬりの基本的な考え方と言える解法です。隣が少ない場所から決めてしまうと場合分けが発生したり、数え忘れが起こってしまうため、基本的な構えとしては、まずこの考え方を身につけて臨んでもらうことが重要です。知ってしまえば決して難しくありません。

冬期No5「立体図形」

今回の「立体図形」は、「柱体」です。

「柱体の性質・体積・表面積」を学習しますが、「なんとなくできたからいい」という解法で進んでいった場合、後々に大きな差につながり、応用・発展問題への対応力を失ってしまう単元となり、丁寧に解法を初心に戻って学習する姿勢が求められます。

柱体の問題は、

・見た立体が「柱体である」と判断する
・底面と高さを捉える
・底面積・底面の周りの長さ・高さを求める
・体積=底面積×高さ、表面積=底面積×2枚+側面積(底面の周りの長さ×高さ)


という手順で求めに行くことがまずは基本になります。

特に、側面積を1面ずつ手作業で求めてしまうことを型として持ってしまうと、時間がかかり、かつミス発生率が高まるだけではなく、そもそも解けない応用問題も出題されることが頻繁にありますので、注意が必要です。

以下ポイントごとにコメントします。

1: スリーバイツー:p3-1番(3)、p18-1番(3)

直方体や立方体を組み合わせてできた立体の表面積は、スリーバイツー(3方向×2面ずつ)という解法を使います。今回の問題では立方体の角を取り除いても、表面積そのものに変化がないという結論でしたが、このこと自体も知っておくと良いでしょう。

2: 柱体の体積・表面積:p3-1番(2)、p5、p7、p9、p11、p18-1番(2)、p19-p22

柱体であると判断できれば、底面が三角形であろうが四角形であろうが五角形であろうが、円があろうが全て同じ解法になります。何も難しくありません。慌てて飛びつくのではなく、必ず「柱体かどうか」を判断して、底面積・(表面積の場合は)底面の周りの長さ・高さを求めてから、処理できるようになりましょう。

サピックス算数教材:ウィンターサピックス[解答解説p5 入試問題に挑戦]問題解説

3: 平均の策:p13、p23

柱体の柱を切断した立体は、「底面積×平均の高さ」で体積を求めることができる解法です。2年後、6年生の夏以降に多くの立体切断の問題を解いていく時に大活躍します。上から見た図で捉えて柱の長さを書いていく書き方まで身につけておくと良いでしょう。

冬期No6「総合(01-05の復習)」

冬期講習NO6は「総合(01-05)」です。

今回の「総合(01-05)」は、一気に学習してきた冬期講習の復習が中心になりますが、一部新しい論点も学習します。

また、復習といってもこのNOの内容だけでは、当然ながら冬期講習で学習してきた多くの内容の全論点を網羅できているわけではありません。各NOの復習については今回とは別に進めていく必要があることも付け加えておきます。

以下、新しいポイントごとにコメントします。

1: 台形ペケポンの等積変形:p5-2番、p19-2番

難易度の高い問題で扱われることがある論点です。通常の三角形の等積変形を応用した論点ですが、発見しづらい特徴を持っているため、台形を×で区切った時の左右の面積が等しいということを活用する論点であり、×の形から視覚的に発見して行くヒントを持ってもらうことが重要です。

サピックス算数教材:ウィンターサピックス[p5 2番(平面図形①)]問題解説

2: スーパー三角形:p7-2番(2)別解、p20-2番(2)別解

もちろん、普通に解くこともできますが、ここでは「おうぎ形を三角形としてとらえて解く」解法も紹介しておきます。後々、牛が動く問題の応用問題で使用するケースがあり、このポイントを使えない場合、非常に計算が煩雑になってしまうことがあります。ここで一度触れておきましょう。

重要かつ難易度が高い内容も多く含まれますので、年末年始のお休み期間に忘れないうちにしっかり復習した上で、後半の授業に臨むことが重要です。

特筆すべき単元はNo4「場合の数」とNo5「立体図形」です。5年生中盤頃から成績低下のご相談を頂くことがあるのですが、その背景の1つとしてこの2単元の「技術習得不足」が挙げられます。

4年生のテキストのレベルであれば、場合の数はそこまで工夫をせずとも書き出しに頼って正解を出すこともできるでしょうし、立体図形の場合「なんとなく」であったり「1つ1つ計算する」方法で解くこともできるでしょう。

だからこそ、本来4年生で習得すべき技術を身につけることがないまま、高学年に進んでしまう、というお子様がいらっしゃいます。

この2単元については、ちょうど冬期講習でポイントを掘り下げていく段階ですから、「1つずつ数えたり、計算しているが故にいつもより時間がかかり過ぎていないか」「最初の答えで間違えることが、これまでに比べて多くないか」という点に注意しながら取り組んで欲しいと思います。

コベツバでは高学年に繋がる解法を意識した、ポイント動画・テキスト解説動画・類題、に加えて定着確認のための「冬期模擬デイリーチェック」を公開しております。4年生は秋以降の文章題から多くのご登録があり、冬期講習も帰宅後早々解説動画とともに学習されておられるメンバー様が多数いらっしゃいますので、是非お試しください。

   

   
   
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冬期講習の具体的な学習方法

1: 思考力問題以外は、できる限り取り身につけて

基本的には普段の学習と変わりませんが、Noから次のNoまでの期間が少ない分、普段もっと時間をかけて学習している子供達にとっては「何を減らすか」が鍵になってくるだろうと想像します。

一つは、「頭脳トレーニング」「冬の思考力アップ」「入試問題に挑戦」を時間がない中では、省いて行くことです。それらは貯めておいて学年の切り替わり時期にやっても影響はほとんどないと言えるからです。

反面で、他の問題群については、サピックスがいつもそうであるように問題数も非常に絞られていますので、基本的には応用まで含めて頑張って身につけてもらいたいと思います。

理由は、一度目は「応用」ということで学んだものが、5年生では「標準」に出てくることが多いからです。「応用」で一回目を経験していると、その時には曖昧な理解であっても2回目の時に十分に理解が進むのが人間だからです。

2: 帰宅後の学習スケジュール

講習から帰宅後「復習しよう!」に取り組みましょう。

間違えてしまった問題だけは、出来るだけそのままにせず関連するステップ①~③(StandBy利用者はStandBy類題)を抜粋して取り組みましょう。

ここまでは次の授業までに行って欲しい学習です。

次に、冬期講習はデイリーチェックがありませんが、もちろん新しい内容を数多く習うわけですから、復習と定着確認が重要です。

正月休みや冬期講習終了後には、すでに終了したNoの「ステップ①〜③」「復習しよう!」「StandBy類題」のどれかを利用し、網羅的な復習を行いましょう。(総合01-05の単元で復習できるのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、全ての論点を扱っている訳ではありませんし、逆に新しく習う内容もあります)

その時間がどうしても取れない場合でも、StandByにて通常のデイリーチェックと類似する形式の「冬期模擬デイリーチェック(配点付き)」※サンプルPDF(問題)を提供しておりますので、いつものテストの感覚で取り組んでみて、出来の悪いNoだけはもう一度復習しておきましょう。