【サンデーサピックス(SS)特訓】志望校別SSの概要と単科講座(思考力/解法力)の選択基準・取り組み方

ここでは、9月からスタートするサピックス志望校別特訓「SS特訓」の志望校別講座・単科講座(解法力/思考力)の概観をご紹介いたします。

志望校別講座については、プリントの種類や講座の概要を、単科講座に関しては、子供達の学習状態や課題、及び志望校によってどちらの講座を受講すべきか、その講座の中でどのコーナーの学習を優先すべきか、というお悩みをお持ちの保護者さまに適切な情報をご提供させて頂きます。

▼お知らせ:
コベツバでは「スタンバイ SAPIX(サピックス解説・対策)」にて、SS特訓の単科講座・志望校別講座の全問解説を配信いたします。今週の各種プリントの概要はこちらからご覧ください

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今回の記事では、第14回SS特訓単科・志望校別のプリントの概観をそれぞれのプリント別にご紹介致しますが、SS特訓全般への取り組み方、復習テストに向けた学習法、やるべきことの優先順位は以下をご覧ください。 [sitecard s[…]

また、各学校の出題傾向をデータ分析の上、合格のための具体的な戦略をしめす「志望校別対策」シリーズも併せてご覧ください。

1: サンデーサピックス(SS)志望校別特訓・算数の概要

1:12から再生

ここでは、志望校別の教材と内容について、です。

まず、大前提としてコースの冠ごとに配布されるプリントが大きく異なります。また、二つの学校のコースがついている場合、2つの学校のプリントを配って双方を進めていく場合と、2つの学校が合体された対策プリントが配布される場合があります。

▼1:プリントの種類とターゲット校

続いて、よく利用されているプリントの一覧表を以下に挙げ、対象校を説明いたします。

プリント名対象学校
SSKA開成
SSOU桜蔭
SSAZ麻布
SSKT駒場東邦
SSKF慶應系
SSMU武蔵
SSFU雙葉
SSAE麻布・栄光
SSFEフェリス
SSTJ後半の応用部分、豊島岡をベンチマークとした志望校共通プリント
SSSJSSTJと半分重複がある、SSTJより易しい志望校共通プリント
SSKKやや応用的な論点が含まれた志望校共通プリント
SSKD/KW/KJSS系のプリントの中では、易しい問題が掲載されている、各講座の補充プリント
SSOG鴎友の割合あり平面図形をメインターゲットとした補充プリント
女子学院入学試験対策
(JG特訓)
模擬試験形式の女子学院対策。
女子学院対策(見開き一枚)女子学院の割合なし平面図形をターゲットとした補充プリント

よく利用されているのは以上のプリントです。ここから先は、系統別に特徴をご紹介していきます。

▼2:アプローチがあるかどうか

平常授業の教材と同様に、開成(KA)・桜蔭(OU)・麻布(AZ)と行った主要校では「SS-◯◯ アプローチ」があります。

当該校の過去問及びベンチマーク校の過去問の数値替えの問題で構成されており、やや論点別の編纂の意図を感じます。教室・クラスにもよるかと思いますが、主に授業で扱うものとなります。デイリーでは、上位帯はアプローチ自体も飛ばしていくクラスもあるかもしれませんが、SS志望校別では飛ばすことは考えにくい論点や問題を掲載しており、こちらも一部扱います。

▼3:サンデーサピックス(SS-◯◯)系のプリント

デイリーの「デイリーサポート」に該当するものです。冠の学校によって違いはありますが、おおよそ3〜4枚のプリントに1枚2〜4題の問題が掲載されています。

「SSKA(開成)」「SSOU(桜蔭)」「SSAZ(麻布)」「SSMU(武蔵)」「SSFU(雙葉)」「SSKT(駒東)」「SSFE(フェリス)」「SSWA(早稲田)」「SSKF(慶應普通部)」「SSAE(麻布栄光)」など主に1日校の難関校に対してSS◯◯プリントが用意されています。

コベツバではこれらのうち「SSAE(麻布栄光)」以外の全てのプリント解説を予定しております。

それぞれ、当該コースに在籍している偏差値帯のお子様にとって「やや難しい〜かなり難しい」内容となっており、毎週のサンデーサピックスが受験に向けた最後の壁となります。

尚、アプローチがある開成・桜蔭・麻布ですが、アプローチで扱った問題の数値替えは全問掲載されており、またアプローチには掲載されていない問題も数問掲載されています。つまり、問題バラエティとしては、「サンデーサピックス>アプローチ」となっておりますので、アプローチを取り入れている学校ではこちらがメインの教材になります。

▼4:入学試験対策 / 模擬試験問題

「アプローチ×サンデーサピックス」がない学校ではこちらがメインの教材になっており、その代表格が「女子学院入学試験対策(JG特訓)」です。

また、「アプローチ×サンデーサピックス」がある学校でも、模擬試験の何回か分を使っているコースもありますし、その場合は現場の教室長の判断に委ねられていると考えることが出来ます。

このような模擬試験形式の導入は、冬期講習・正月特訓から多くのコースで利用されるようになります。

▼5:志望校共通プリント

冠のプリントが存在しないコースで利用されているプリントで、SSTJ/SSSJ/SSKKなどが代表的なプリントです。

◯まずSSTJ/SSSJ(コベツバでの解説配信あり)

これは近年配布されるようになったプリントです。
SSSJとTJでは問題の半分が同じなのですが、SSSJは基本〜標準程度のレベル、SSTJは標準〜応用(特に立体と場合の応用問題)のレベルとなるよう編集されています。SSTJは「豊島岡・女子学院および女子校」をイメージされて作成された印象を持ち応用的な立体図形や場合の数が最後に含まれていますが、最後の大問以外はどこの学校で出題されてもおかしくない入試頻出技術がまとまっていることから、他の難関校の志望校別特訓でも有効なプリントとして利用されています。

◯次にSSKK(コベツバでの解説配信あり)

こちらもやや応用的な論点が含まれたプリントで、特定のベンチマーク校は(あくまでも問題構成からの推測ではありますが)おそらくありません。こちらも中学受験の一般的な入試問題の練習として、難関校の志望校別特訓で利用されています。

◯SSKD/SSKJ/SSKW(コベツバでの解説配信あり)


SS系のプリントの中では、易しい問題が掲載されており、各講座の補充プリントという立ち位置で配布されることが多いようです。

▼6:その他のプリント(冠のプリント・分野別特化プリントなど)

冠コースごと、教室ごとに異なる可能性がありますが、それぞれ独自のプリントを配布して行っているところもあります。

◯「女子学院対策(見開き一枚)」(コベツバでの解説配信あり)

現在でもよく利用されているのは「女子学院対策(見開き一枚)」のプリントで女子学院の割合なし平面図形に特化したプリントです。

◯「SSOG」(コベツバでの解説配信あり)

おそらく鴎友の割合ありの平面図形をターゲットにしているのだろうと推測されるプリントですが、様々なコースで「割合あり平面を特訓する補助プリント」という位置付けで配布されています。

◯SEプリント(コベツバでの解説配信あり)

聖光学院を想定ターゲット校として考えられたプリントで、難易度は最難関レベル。開成との併願者が多いこともあり、開成コースで配布されることが多い。(2020年に大規模改訂)

◯土曜開成特訓(コベツバでの解説配信あり)

その名の通り、開成対策の土特用プリント。難易度はSS開成の日曜日版よりはやや劣るものの十分に難しく最難関レベルのプリント。2020年頃より配布スタート。

◯超図形特訓(コベツバでの解説配信あり)

前期の分野別補充プリントが論点別に図形を学習するプリントだとすれば、こちらは論点が様々に登場する図形の実践的な演習プリントで、標準と応用に分かれており、応用の難易度は高い。平常/土特で配布されることが多い。2021年より配布スタート。

◯最難関中プリント(コベツバでの解説配信あり)

最難関中の重量級の思考力問題への対策を狙ったプリントと考えられる。重量級の思考力問題が中心だが、まれに技術で解くことができる問題も混じっている。前期の土特で配布されるクラスもあるが、後期で配布されることもある。

そのほかにも、かなり古い時代の過去問研究を不定期に配布したり、例えば、「早実対策」「慶應特訓」「筑駒特訓」などの志望校プリントも配布されていることがあります。重要度はコースとプリントの内容ごとに異なり、それぞれ個別の判断が必要になりますが、先生から重要度に関するアナウンスがあろうかと思います。

▼7:復習テスト

基本的にはSS特訓の最後の3回(1月に実施)を除き、毎週行われるもので、内容は授業でメインで扱うプリントである「サンデーサピックス掲載問題」または「入学試験対策」(一部のSS特訓ではその他プリント)の数値替えの問題が出題されます。どのコースであってもメインに学習して欲しい教材から出題されていると考えられます。また、他塾と比較してもここまで丁寧な数値替えのスパイラル学習を行う塾も異例で、サピックスの一貫した方針への徹底度を感じますし、それが故に大きな実績を叩き出せているのだろうと推測します。

ただし、最後の三回であるNo12-No14は基本的にはどのSSコースでも、「実力テスト」です。問題用紙の形式も実際の入試を意識したものとなっており、本番に向けた総仕上げとなります。

2: サンデーサピックス(SS)算数単科講座「解法力」と「思考力」

11:58から再生

2-1:  算数単科講座「解法力」と「思考力」のテキスト・テスト比較

まずは下の比較表をご確認ください。

SS特訓 算数解法力と算数思考力のカリキュラム比較SS特訓 算数解法力と算数思考力の難易度比較

●テキスト

勿論、校舎やクラス帯によって授業で扱うものや課題として与えられるものは異なるかと思いますが、掲載されているものを分析すると以下になります。

両方に掲載されているもの:「図形問題の特訓」

解法力のみ掲載されているもの:「サンデーアプローチ」「Sunday Sapix(A-E)」「解法力発展演習」

思考力のみ掲載されているもの:「思考力算数(1-4)」

と、なります。

また、後述しますが「解法力発展演習」と「思考力算数(1-2)」は全く同じ問題となりますので、逆に言いますと「思考力講座」にしか掲載されていないものは「思考力算数(3-4)」のみとなります。

●テスト

解法力講座は復習テスト、思考力講座は実力テスト、です。

テストの作り方からも、

SS特訓算数解法力講座は「知識・技術の養成・再入力」を目的にしたものであり、同じ問題や類似の問題が出題された場合に速く正確に技術を取り出して解決に導くことができるようにするためのものであること。

思考力講座は「問題に向き合う中で思考力を培う」ことを目的にしたものであり、その問題の解法自体を覚えることに意味はなく、初見の問題への「読解・推論・試行と検証・整理」の能力を問題に向き合う中で身につけていくものであること。

と考えていることが伺えます。

以下では、それぞれの内容ごとに説明していきます。

2-2: サンデーサピックス(SS)特訓 算数単科講座テキストの難易度

●SS単科:図形問題の特訓

平面図形分野の応用〜発展レベルで構成されています。これまでテキストでは見かけなかった切り口や応用問題の掲載も多く、関西の最難関校からの転載も数多く見られます。

一筋縄で行かない平面図形の問題への対策に効果的ですが、反面でそもそも平面図形の基礎をしっかりと身につけられていない場合や、そもそも偏差値60未満の学校を志望している子供達については、一部の例外を除いてここまでやる必要を感じないことも事実です。(勿論問題を選定してやるのは、有だとは思います。こちらの選定についてはサピックス テキスト解説・対策サービスStandByにて解説動画と共に配信いたします)

従って、あくまでも成績上位者向けの内容であることを理解した上で取り組んで頂くと良いでしょう。

●SS単科:Sunday Sapix

「土曜特訓Weekly SapixのXに近いもの」と言えば理解しやすいかと思います。

土特のXは①②③でしたが、ここではA-Eまでがあることが違いです。また、土特Xと同じく1つのNO=1つの分野・単元で揃えられており、基本的には「これまで学習してきた内容の復習」がメインになります。

ここまでまた復習か、と思うかもしれませんが、それこそが重要です。

偏差値55以下の学校の問題は、7-8割がSAPIXのデイリーサポートの知識だけで十分に解けてしまうからです。そこを徹底しているからこそSAPIXは強い塾であり続けているのだと思います。

また、偏差値60以上の学校であってもこの基礎レベルを落としてしまうと、もはやライバルとの戦いにおいて、リカバリーが効かなくなりますのでどこまで行っても基礎の抜け漏れを無くしていくことが重要なことには変わりはありません。

●SS単科:思考力算数(解法力発展演習)

「思考力」という名称ではありますが、SO(B)のような筑駒・開成・麻布を想定したものとは異なり、他の難関校までも視野に入れた思考力問題が掲載されています。

上記に掲載された表を再度確認頂ければお気づきの通り、それが故に「読解」「誘導」の力点が低くなり、「整理」が上がると共に、単純に思考力だけではない「技術的な応用問題・発展問題」も数多く掲載されている印象です。

実際に中学入試におけるほとんどの学校で問われるのは、技術と思考力がミックスされて要求されるものが多いことは事実であり、開成・麻布独自の「読解」「誘導」に比重がかかった思考力問題は、あくまでも志望校別SS特訓でやってください、という意図であると解釈します。

また、SS特訓解法力講座における「解法力発展演習」は、思考力講座の思考力算数の1-2をそのまま掲載したものであることも付け加えておきます。そうすると、「SS特訓 思考力講座ってなんだかボリュームが少なくて損だな」と思う方がおられるかもしれませんが、そんなことはありません。

ただでさえ時間がない中、「授業の中で思考力問題に真剣に取り組む時間をとる」ということ自体に強い意味合いがあります。解法力講座では、解法力発展演習に十分な時間を授業中に使うことはほぼできないだろうと推測するからです。

2-3: サピックス SS特訓 算数単科講座の選び方

SS単科 思考力・解法力選択マトリックス

次に、どちらの講座を取るべきかということをお話します。

まず、大きくマンスリーとSO(A)の平均偏差値を持ち偏差値として、この持ち偏差値が60以上かどうかで分類します。

▼「マンスリー・SO(A)の持ち偏差値が60未満の方」のマトリックス

マンスリー・サピックスオープン Aの偏差値が60以下

結論は「解法力講座一択」です。

その上で、

志望校偏差値60以上:図形問題の特訓にも取り組む

志望校偏差値60未満:図形問題の特訓には取り組まない

という、違いになります。

▼「マンスリー・SO(A)の持ち偏差値が60以上の方」のマトリックス

マンスリー・サピックスオープン Aの偏差値が60以上

志望校が思考力重点校→「思考力算数」「図形問題の特訓」

志望校が思考力重点校以外の偏差値60以上の学校→「解法力」「図形問題の特訓」

志望校が偏差値60未満の学校→「解法力」

という、違いになります。

3:相談コーナー

3-1: 冠が複数あるコースはどのような内容になるの?

23:10から再生

3-2: SSに関する1週間の家庭学習のイメージ

25:11から再生

3-3: おみやげプリントや授業で扱わなかった問題の扱い

32:55から再生

3-4: SS復習テストで得点が取れない場合/初見のテストで得点が取れない場合

復習テストが得点できない(34:10から再生)

初見問題が得点できない(37:10から再生)

3-5: 思考力と解法力の選択で迷う場合

39:25から再生

3-6: SS配布プリントの優先順位を教えて

お子様と志望校、志望校プリントによりますが、基本的には志望校をターゲットとした志望校別プリント(クラスによっては共通プリント)が優先になります。

次に高度な図形問題が出題されることが多いサピックス偏差値58以上の最難関校(筑波大付属・慶應中等部・女子学院除く)は図形の特訓に取り組みましょう。

そうでない場合は、解法力A-Eに取り組みましょう。

ただし以下に当てはまるお子様は、SS単科解法力A-Eが最優先される場合があります。

ケース1:土台が固まっていないので、SS単科解法力A-Eの内容も怪しい上、志望校別プリントが難しすぎる。

以下の記事でもご紹介しております通り、土台が固まっていない中で、どれだけ実践演習を重ねても、なかなか身につきません。そう言った場合は、一時的に実践的なSS特訓よりも6年前半テキスト復習やコベツバweb授業などで体系的な復習を行うべきですが、そう言った判断はなかなか難しいでしょう。

それであれば、まだ単元×難易度別に復習することができる解法力A-Eに取り組んで基礎的な論点を思い出していきましょう。

ケース2:志望校別プリントが、自分の志望校ではない

例えば、豊島岡や女子学院志望であるものの、SSOU(桜蔭)が配布されている場合などは、かなり傾向が異なりますので志望校別プリントではなく、解法力A-E・図形の特訓(豊島岡の場合は有効)・平常授業・過去問を優先させましょう。

同様に、志望校が渋谷幕張の場合は、SSKTやSSKAが配布されていることが多いかと思います。そのような場合は、SSプリントは一定程度有効であるものの、志望校の癖とはやはり異なります。このような場合は、図形の特訓と、過去問や(手前味噌ではありますが)最難関むけTop Gun特訓などで志望校への技術を固めましょう。

4:サピックスSS特訓算数の問題解説

コベツバでは、サピックス解説・対策サービス”StandBy”にて、最難関合格率8割超えの家庭教師よりSS単科講座およびSS志望校別講座(ほぼ全てのコース)の解説動画を配信する予定です。

SS志望校別に関しては主要なプリントとなっていることの多い、KA・土曜開成特訓・AZ・OU・KT・MS・FU・FE・KF・WA・SE・TJ・SJ・OG・KK・JG特訓・女子学院対策(SSKD/SSKJ/SSKWについては、No9まで)配信を予定しております。

※大変恐れ入りますが、SSAE、EIプリント及び、アプローチ、復習テストの解説配信は予定しておりません。

◯ 授業でわからなかった、解き方を忘れてしまった問題について帰宅後や翌日に解き方を理解できるまで学習する
◯ それぞれの問題の重要問題を知り、効率的に家庭学習を行う

といった目的で、すでに各校舎のα1層多数を含むサピックス6年生の家庭学習の必需品としてご利用いただいております。

   
   
   
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またコベツバでは全国難関校の過去問解説も配信中でございますので、志望者の方はご活用ください。

少しでも参考になれば幸いです。

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