栄光学園中入試の解体新書 | 過去問データに基づく算数傾向分析と対策

『栄光学園中学入試の解体新書』とは?

栄光学園中学の直近10年間の入試を解体・徹底分析し、一般の方からは非常に見えづらい入試および入試問題の特徴を明らかにすることを通じて、世間一般で言われている常識とは異なる考察をお伝えし、入試突破にあたっての体系的な指針を提供することを目的としております。

入試対策において「全ての科目、全ての分野、全てのポイントを対策すること」は時間と能力に余裕があればそれがベストです、でもそれはあくまでも理想論です。

現実は、時間との戦い・屈強なライバルたちの戦いであり、その為には、時間対効果が高いと考えられる勉強を入試突破に向けて戦略的に行う必要があります。

改めて丁寧に分析して判明したことは、栄光学園中学は出題分野における偏りがあり、どの分野で合否を分けているかが推測できる学校と言えます。

まだ志望校対策に腰を据えて取り組む前段階である5年生や、追加の学習の余裕がない6年生前半でも、志望校を意識し、頻出単元の応用・発展技術には積極的に手を伸ばしていくことで、6年生後半の志望校別特訓クラスのスタート時点でライバルと数段の差をつけることもできるでしょう。栄光学園突破の頂に向けて最短・最速で登って頂く為に、是非ご活用頂ければ幸いです。

最新の入試である、2021年の栄光学園入試の問題や解説動画速報、難易度・傾向分析などは以下からご覧頂けます。

【入試速報】2021年栄光学園中 算数解説動画と難易度分析・対策
【入試速報】2021年栄光学園中 算数解説動画と難易度分析・対策

1:2021年入試の基本データ

1-1: 栄光学園中学80%偏差値(サピックス/四谷大塚/日能研)

サピックス四谷大塚日能研
2021626766
2020626766

聖光学院につぐ神奈川御三家です。

1-2: 栄光学園中学の受験者・合格者数・受験倍率推移

受験者合格者倍率
20217762543.1
20207802633.0
20198452633.2
20187112862.5
20176902592.7
20166112642.3

受験者数及び受験倍率が極端に上昇して来ています。単年度の比較で見ると揺り戻しはあろうかと思いますが、明確な上昇トレンドがあり2019年には倍率3倍を突破しています。

2020年は増加が収まっていますが、それでも倍率は3倍を超えています。

こちらは推測になりますが、似たような立ち位置に東京の麻布の倍率がこの3年で一気に急進していることとぴったりと呼応しております。また、女子校戦線においても共学への流出という向かい風の中で、同じく女子御三家二番手のが2015年のサンデーショック年(桜蔭と併願できる)を除いて2019年がこの6年間で過去最高の受験者数になっている事実も含めて、「二番手×リベラル校への人気現象」と評価することができます。麻布も栄光も女子学院も入試日程を変えた等の変更は全くなく、あくまでも受験生・保護者の選択軸・志向性の変化が背景にあると考えられるからです。

1-3: 栄光学園中学の合格最低点・合格者平均点・受験者平均点

【4科目】

合格最低点合格者平均点受験者平均
平均147.1(61%)160.7(67%)138.3(58%)
2021155168.1143.9
2020141154.5130.9
2019142156.2129.9
2018143156.7135.2
2017159172.6149.1
2016140154.0134.2
2015150163.1145.1

難易度の振れ幅はあるものの、合格最低点はおよそ6割と言えるため、受験生は6.5割程度を目標の目安にすると良いでしょう。

「栄光の入試問題は思考力よりであり難しく得点や対策は難しい」と思っている方もいっしゃるかと存じますが、同じく2番手で難易度の高い麻布の合格最低点が55%程度、聖光学院の合格最低点が7割弱程度、であることを考えると、6割超えという数値は決して低くはないでしょう。しっかり対策した受験生は得点出来ていることが想像されます。

【算数】

合格者平均受験者平均
平均47.1(67%)37.5(54%)
202143.834
202047.938.1
201949.237.2
201844.136.0
201755.343.9
201641.832.8
201547.840.8

算数の合格者平均得点率は、4科目の合格者平均より高く、受験者平均得点率は4科目の受験者平均より低く出ています。

算数で大きな差がついていることが想像されます。

1-4: 栄光学園中学の科目別配点と試験時間

点数制限時間
国語70点50分
算数70点60分
理科50点40分
社会50点40分

配点としては、やや算国に傾斜した配点となっています。

1-5: 栄光学園中学の算数の合格への寄与度

合格者ー受験者算数の合格寄与度
4科目算数
平均23.21043.1%
202124.29.840.5%
202023.69.841.5%
201926.31245.6%
201821.58.137.7%
201723.511.448.5%
201619.8945.5%

年度によってばらつきがあるものの、合格者と受験者の得点差の約半分弱が算数によってついていることがわかります。

「4科目別合格寄与度」

算数国語理科社会
平均43.1%23.3%19.4%13.9%
202140.5%25.6%16.5%16.9%
202041.5%22.9%20.3%14.8%
201945.6%22.8%19.8%11.8%
201837.7%27%22.3%13%
201748.5%20%18.7%13.2%
201645.5%21.7%19.2%13.6%

算数以外の科目は、国語・理科が合否を分けていることになるものの、それでも算数の半分程度の合格寄与度です。

2: 栄光学園中学の算数概観

2-1: 栄光学園中学の算数 単元別出題比率

出題分野に合った+αの対策が必要

栄光学園中の2011年から2020年までの過去10年間の配点を推定・集計した、入試問題の分野別出題シェア・比率は以下のグラフのようになっています。
(なお、正確な配点は公表されていないため、あくまでも推定値での算出となります。)

出題得点シェアが高い順に

このようになっており、数の性質、論理・推理、場合の数、立体図形の主要4分野だけで全体の5割近くを占めています。

数の性質は麻布、聖光、開成などの他校と比較して出題頻度が高めであり、論理・推理の分野が特に高めに設定されています。論理・推理は麻布でも速さに次いで2番目(ここ6年で11%)に頻出の分野ですが、それと比べても特に多めに出題されています。

そして、特筆するべき点はなんといっても「文章題(割合有)」と「平面図形(割合有)」の出題頻度の低さ(それぞれ4%程度)でしょう。これは麻布、開成とも共通している部分ですが、難関校では、通常の集団塾のテキストにおいて30〜40%程度の比重を置かれているこれらの分野からの出題頻度が低いということで、栄光学園中学を志望する受験生は、+αで志望校別の対策をしていく必要があります。

また、例えば平面図形の出題が低いからといって、学習を軽視してはいけません。立体図形の問題を解くためには平面図形のレベルでの理解が大切になってくるためです。
そして、麻布や開成などで出題率トップである分野「速さ」については、栄光では頻出分野とは言えないように思えます。しかし、図形・点の移動や水と水グラフといった別の分野でも、速さの技術を使うことも少なくないため、こちらもあまり軽視して良いわけではありません。

2-2: 栄光学園中学の算数 難易度比較

直近10年間で出題された問題を難易度レベル別で分けると、以下のような比率になります。

A=基礎レベル/ミスなく合わせたい
B=応用レベル/出来が分かれる
C=発展レベル/出来なくても問題ない

レベルABが占める割合が90%と高く、開成と比較するとレベルCの出題頻度はそこまで高くありませんが、麻布と同程度で、聖光と比較するとレベルCの出題比率が高いため注意が必要です。

栄光学園の直近6年間の算数の合格者平均得点が68.1%、受験者平均が54.5%であることを考えると、A問題を堅実に正答し、B問題を半分近く正答すれば、70%となり十分合格可能ラインに到達できることがわかります。

レベルCの問題に挑んで時間をかけてしまうことなく、問題文の読み違え、計算ミスといったケアレスミスをしていないか、しっかり見直しを進めながら手堅くレベルAを取りきり、自分の目標とする得点に合わせてレベルBを取れるようにしていきましょう。

2-3: 栄光学園中学の算数 難易度×単元比率

3-1、3-2において、出題の多い単元と全体の難易度比率を示しました。ここからは、単元ごとの難易度について見ていきましょう。

まず、「A=基礎レベル/ミスなく合わせたい」問題です。

全体的な出題比率と比べて、レベルAの中で占めている比率が高いのは、「数の性質」や「水と水グラフ」の分野です。数の性質は頻出分野であるため、栄光受験生ならば、対策を練って挑めているのではないかと思われます。
逆に、占めている割合が低いのは「場合の数」や「論理・推理」の分野で、この単元は斬新な問題が作られやすいという特色があり、しっかり誘導に乗らないと序盤から進め方が分からなくなってしまうことがあります。

次に、「B=応用レベル/出来が分かれる」問題です。

全体的な出題比率と比べて、レベルBの中で占める割合が高いものとして、まず「場合の数」が挙げられます。レベルCにおける場合の数の比率(後述)が全体的な出題比率とあまり変わらないことから、「場合の数」は序盤の問題で少し捻られていることがあっても、後半の問題が「難解で解けなくても良い問題」というわけではなく、出来不出来が分かれる分野であることがわかります。
また、「数の性質」も、レベルAと同様レベルBにおいても高い比率を占めます。レベルCでは低いことから、「数の性質」の分野は、他の分野と比較して高い得点率を維持しやすい分野だと考えられます。そして、「論理・推理」はレベルBでも相変わらず低くなっています。この分野は安全に得点できる問題数が少ないようですね。

最後に、「C=発展レベル/出来なくても問題ない」です。

出題比率に比して圧倒的に「論理・推理」が高いですね。終盤の問題まで解ききることは難しいでしょう。対策については後述します。
そして、頻出ではありませんが「速さ」の分野も、出題比率を考慮するとかなり終盤の問題が難しいようなので、注意したいところです。

3: 栄光学園中学の算数の全般的な対策

3-1: 全体の構成を把握する

栄光学園の算数は、2015年以降、基本的に制限時間60分、大問4題の構成になっています。
しかし、それ以前や2017年でも大問5題であることを考えると、今年度も4題である保証はありません。
「試験本番で第4問まで解き終わって安心していたら実は第5問があった!」となると大変ですので、試験開始直後にまず30秒〜1分程度をかけて大問の構成や出題範囲を把握するように心がけましょう。

3-2: 長文の問題に慣れる

栄光学園の算数は問題文が長く、設定が複雑なものが多いため、漏れなく条件を処理していく必要があり、集中力も要求されます。
問題に詰まったら「まだ使ってない条件の確認」や「各問題のつながり」を意識しましょう。(1)が(2)(3)のヒントになっていることも多く、出題者がなぜその小問を作成したのかが見えてくるはずです。特に頻出の「論理・推理」の問題では、しっかりと問題の誘導に乗ることが大切です。
また、他の学校と比較して、大問1つあたりの小問の数が多いため、解けるところまで解くことで得点を稼ぎやすい構成だと言えます。

3-3: 時間配分に気をつける

3章で、特に「論理・推理」や「速さ」の分野の終盤の問題は合否を分けない難問である可能性が高いことを示しました。これらの大問を考えに考えて時間を費やしてしまうのは要注意です。
2分程度考えても解決の指針すら立たないようならば、すぐに一旦飛ばしましょう。
ある大問に時間を費やしてしまうと、ただでさえ問題文が長いので、次の大問の設定の理解が間に合わず、簡単なレベルABを落としてしまいかねません。

3-4: 解く順番

受験本番では、「テスト時間が半分過ぎたのにまだ目標の半分も得点できていない!」といった場合は非常に焦ってしまいますし、ミスの発生にも繋がります。
そのため、他校では得意な順、時間的コストが低い順、あるいは解法が分かりきっている順に解くことを推奨しています。
しかし、栄光学園では、早めに取り組んでおくといい問題として「問題文が長いもの」という基準も有用です。
特に「論理・推理」の問題は、終盤から取り組むと問題の設定を満足に処理しきれずに落としてしまいかねないので、序盤に取り組むと良いでしょう。しかし、4-3で書いた通り、時間のかけ過ぎには十分注意が必要です。

4: 栄光学園中学の算数の分野別対策

4-1: 論理・推理

他校と比較しても特に出題頻度が高いです。
栄光では終盤の問題が捨て問になることが多い分野ですが、とにかく誘導に乗ることを意識しましょう。
平面図形の分野において「円があったら中心に向かって線を引けばいい!」と処理できるような、「こうすればできる」といった鉄則のようなものはなく、解き方は様々であるため、問題文を有効活用しましょう。
ある問題が解けても、全く同じ設定の問題が再度出されるわけではないので、「処理能力の向上」と「問題のつながりを意識する」ための訓練を積んでいきましょう。

2020年4番(1)

栄光中学2020年入試の4番(1)

(2)

栄光中学2020年入試の4番(2)

(3)

栄光中学2020年入試の4番(3)

(4)

栄光中学2020年入試の4番(4)

(5)

栄光中学2020年入試の4番(5)

●栄光学園中学のハイレベルな論理・推理問題は、塾の毎週の思考力問題でももちろん対策可能ですが、思考力の要素を「数・パズル型問題」「読解」「整理」「試行検証」「誘導」に分解・体系化したこちらのサービスで体系的に強化することが可能です。

●最難関志望校別動画特訓「TopGun特訓」

TopGun特訓スタート
最難関中算数対策「Top Gun特訓」始動

4-2: 数の性質

約数倍数の問題であれば、素因数分解して〜といったテクニックがありますが、栄光学園の数の性質の問題は、そういった技術とは別に、「問題文読み取り能力」が求められることが多く、序盤の問題では手を動かしての実験を要求されることがあります。

2017年2番(1)

栄光中学2017年入試の2番

(2)

(3)

4-3: 立体図形

栄光学園では平面図形はほとんど出題されませんが、立体図形は頻出分野です。
立体図形は中学受験に限らず大学受験まで得意不得意が分かれる分野で、空間把握能力が高い人は即座に理解できても、そうでない人にとってはどうしてもイメージするのが難しくなりがちです。
その際の注意点は、なんといっても「3次元は2次元で考える」、つまり、立体を上から見たり、横から見たり、展開図を書いてみたりという試行錯誤のステップを通じて、いきなり立体そのものを考える」のではなく「一旦平面で考えてから立体のイメージを固めていくと良いでしょう。
特に栄光学園では展開図の問題が繰り返し出題されていますので、有効な手法です。

2019年2番(1)

栄光中学2019年入試の2番(1)

(2)

栄光中学2019年入試の2番(2)

(3)

栄光中学2019年入試の2番(3)

(4)

栄光中学2019年入試の2番(4)

5: 栄光学園中学志望者向けの対策・動画サービス

最後にお知らせとなります。

中学受験コベツバでは、上記の分析・出題傾向を踏まえて、栄光学園中学志望の子供たちを対象に、以下のサービスを配信しております。

●1:サピックステキスト解説・SS解説・テスト解説の『StandBy(スタンバイ) for SAPIX』

サピックス(SAPIX)算数テキスト全問動画解説サービス『StandBy(スタンバイ)』を始動
サピックス(SAPIX)算数テキスト全問動画解説サービス『StandBy(スタンバイ)』を始動

●2:コベツバ予習シリーズ解説

予習シリーズ+各種問題集の全問動画解説。ポイントと一緒に学ぶことで深い理解と得点アップにつなげよう!

予習シリーズ テキスト解説とテスト対策
四谷大塚予習シリーズ テキスト解説とテスト対策

●3:最難関志望校別動画特訓「TopGun特訓」

栄光学園中学志望者がライバルから頭1つ突き抜けるための発展技術を体系的に学ぶ。5年生・6年生対象。

TopGun特訓スタート
最難関中算数対策「Top Gun特訓」始動

●4:コベツバ過去問動画解説

栄光特有の「長大な問題文」「独特な出題分野」への徹底対策。

最難関・難関過去問解説動画スタート
最難関・難関過去問10年分 全問解説動画

●5:中学受験算数の分野別動画教材と参加型確認テストの「コベツバweb授業」

栄光志望のライバル達も多数利用中!「数の性質」「論理・推理」「立体図形」等、躓きやすい分野別ポイントをトッププロ家庭教師が解り易く解説。

中学受験算数オンライン教材「コベツバweb授業」
中学受験算数の分野別教材「コベツバweb授業」

以上です。

来年度以降の志望の方にとって、少しでも今後の算数の学習のご参考になれば幸いです。

中学受験コベツバは、栄光学園を志望されている小学生とその保護者様をエンパワーし続けられる存在になるべく引き続き頑張って参ります。

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