栄光学園中入試の解体新書 | 過去問データに基づく算数傾向分析と対策

『栄光学園中学入試の解体新書』とは?

栄光学園中学の直近11年間の入試を解体・徹底分析し、一般の方からは非常に見えづらい入試および入試問題の特徴を明らかにすることを通じて、世間一般で言われている常識とは異なる考察をお伝えし、入試突破にあたっての体系的な指針を提供することを目的としております。

入試対策において「全ての科目、全ての分野、全てのポイントを対策すること」は時間と能力に余裕があればそれがベストです、でもそれはあくまでも理想論です。

現実は、時間との戦い・屈強なライバルたちの戦いであり、その為には、時間対効果が高いと考えられる勉強を入試突破に向けて戦略的に行う必要があります。

改めて丁寧に分析して判明したことは、栄光学園中学は出題分野における偏りがあり、どの分野で合否を分けているかが推測できる学校と言えます。

まだ志望校対策に腰を据えて取り組む前段階である5年生や、追加の学習の余裕がない6年生前半でも、志望校を意識し、頻出単元の応用・発展技術には積極的に手を伸ばしていくことで、6年生後半の志望校別特訓クラスのスタート時点でライバルと数段の差をつけることもできるでしょう。栄光学園突破の頂に向けて最短・最速で登って頂く為に、是非ご活用頂ければ幸いです。

栄光学園中の最新入試の算数解説動画、難易度・傾向分析などは以下からご覧いただけます。

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2024年栄光学園中入試の基本データ

栄光学園中学偏差値(サピックス/四谷大塚/日能研)

 サピックス四谷大塚日能研
2024
2023616666
2022626765
2021626766
2020626766

聖光学院につぐ神奈川御三家です。

栄光学園中学の受験者・合格者数・受験倍率推移

 受験者合格者倍率
2025
20246622592.6
20237602592.9
20226852552.7
20217762543.1
20207802633.0
20198452633.2
20187112862.5
20176902592.7
20166112642.3

受験者数及び受験倍率の上昇が2019-2021年をピークに打ち止まった感がありますが、一時的な減少なのかまた再度上昇していくのかは不透明ではあり、来年以降の状況をみて判断する必要があると言えるでしょう。
一方で特筆すべきは、合格者数です。コロナ受験以降の2021年、2022年の合格者数が非常に少なく、倍率が2.3倍であった時の2016年を下回っており、合格者辞退率が減少していることが伺えます。
尚、ここからはあくまでも推測になりますが、関東圏の中での栄光学園の立地は東京から離れた場所に位置しており、かつ前受験ではありません。従って、コロナ以降で通学時間について気にされて回避されるご家庭が増えた結果、本命として栄光学園を受験する家庭の比率が増えたのではないかと想像します。

栄光学園中学の合格最低点・合格者平均点・受験者平均点

【4科目】

 合格最低点合格者平均点受験者平均
平均145.9 (61%)159.1 (66%)136.7 (57%)
2025
2024149161.6141.0
2023138150.7127.8
2022146157.8138.2
2021155168.1143.9
2020141154.5130.9
2019142156.2129.9
2018143156.7135.2
2017159172.6149.1
2016140154.0134.2

難易度の振れ幅はあるものの、合格最低点はおよそ6割と言えるため、受験生は6.5割程度を目標の目安にすると良いでしょう。

「栄光の入試問題は思考力寄りで難しく、得点や対策は難しい」と思っている方もいっしゃるかと存じますが、同じく2番手で難易度の高い麻布の合格最低点が55%程度、聖光学院の合格最低点が7割弱程度、であることを考えると、6割超えという数値は決して低くはないでしょう。しっかり対策した受験生は得点出来ていることが想像されます。

【算数】

 合格者平均受験者平均
平均45.4 (65%)35.6 (51%)
2025
202448.338.2
202339.831.2
202238.529.4
202143.834.0
202047.938.1
201949.237.2
201844.136.0
201755.343.9
201641.832.8

算数の合格者平均得点率は、4科目の合格者平均と同程度ですが、受験者平均得点率は4科目の受験者平均より低く出ています。

算数で大きな差がついていることが想像されます。

栄光学園中学の科目別配点と試験時間

 点数制限時間
国語70点50分
算数70点60分
理科50点40分
社会50点40分

配点としては、やや算国に傾斜した配点となっています。

栄光学園中学の算数の合格寄与度

ここでは、合格者と受験者との差が一体「どの科目が」「どれくらいの割合」で、他受験者との得点差を生み、合格に寄与したかを示す「合格寄与度」を独自に算出し、実際に合格した人は、受験会場にいた一般的な受験者と比べ一体何がどれくらい違ったのかを明らかにします。

まず、科目別の「合格寄与度」を、以下のような操作で算出しました。

1: 各科目の「合格乖離点=合格者平均点ー不合格者平均点」を算出

2: (各科目の合格乖離点)÷(全科目の合格乖離点)×100%で換算

結果は以下の通りです。

 合格者ー受験者算数の合格寄与度
 4科目算数
平均22.49.843.8%
2025
202420.610.149.0%
202322.98.637.6%
202219.69.146.4%
202124.29.840.5%
202023.69.841.5%
201926.312.045.6%
201821.58.137.7%
201723.511.448.5%
201619.89.045.5%

「4科目別合格寄与度」

 算数国語理科社会
平均43.8%23.3%19.7%13.6%
2025
202449.0%25.2%15.0%11.2%
202337.6%21.0%24.5%16.6%
202246.4%23.5%20.4%10.2%
202140.5%25.6%16.5%16.9%
202041.5%22.9%20.3%14.8%
201945.6%22.8%19.8%11.8%
201837.7%27.0%22.3%13.0%
201748.5%20.0%18.7%13.2%
201645.5%21.7%19.2%13.6%

算数の合格寄与度が過去10年間で約44.8%と非常に高く、同じ神奈川県でこちらも非常に算数の寄与度が高い学校である聖光学院の46.8%とほぼ互角という結果となりました。つまり、科目全体の差のおよそ半分は算数でついていると言え、合格の為には算数で得点することを避けて通れないことが分かります。

栄光学園中学の算数概観

栄光学園中の算数 単元別出題比率

まず、大きな単元別に算数の過去11年間の配点を想定し、集計した入試問題の分野別出題シェアと出題比率のグラフが以下となります。(実際の正確な得点は分かりかね、あくまでも想定値での算出となります。)

「数の性質:19.3%」「論理・推理:16.1%」「場合の数:15.5%」「立体図形:12.9%」と上位4つの分野で63.8%と強い偏りを示しています。また、「規則性」「文章題(割合有/無)」「平面図形(割合有/無)」の出題がほぼ無いことも特徴と言えます。

尚、出題分野以外の非常に大きな傾向としては「思考力問題(※)」が大問4問のうち、3問以上出題されていることが特徴です。上記の「論理・推理」「場合の数」は勿論のこと、「数の性質」や「立体図形」の分野においても思考力問題が出題されることが多く、日本国内の難関校の中でこれほど思考力に偏った出題をする学校は他にないという独自の路線を貫いています。反面で大問1問分、技術系の問題を出題されるケースもあること、上記の思考力の中でも技術を前提にした上での思考力問題の出題があることから、技術を使う難問に対しても習熟しておくことが望ましいとも言えます。

※「思考力問題」とは「算数の汎用的な技術」では解決できない、「読解」「整理」「試行検証」「誘導」の大きく4つの能力が問われる問題のことと、コベツバでは定義しています。

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栄光学園中の算数 難易度比率

この11年間に出題された問題を以下のように難易度レベルで表現しました。

A=栄光受験者の大半が正答できる問題
B=栄光受験者の中で、正答できるかどうかが分かれる問題
C=栄光合格者でも出来ていない人が多いと思われる問題

その結果、A・B・Cの全体の比率としては以下のグラフのようになります。

レベルAの出題が11年間の平均で38%と非常に低く、渋谷幕張の43%、灘中の1日目40%を下回るラインになっております。特に2021年、2022年と難化が続いており、レベルAの比率が下がっている傾向があります。

また、レベルBの比率が49.2%と約50%を占めることから、レベルAの問題をミスなくクリアできる子どもではなく、あくまでもレベルBの応用問題に対応することができる子どもに来て欲しいという学校側の強い意思を感じる出題と捉えることができますし、算数で差がついている理由は出来が分かれやすいレベルBの出題が多い為であると解釈することが出来ます。

栄光学園中の算数 難易度×単元比例

では、続いて難易度レベルごとに出題単元のシェアを見ていきます。

まず、「A=栄光受験者の大半が正答できる問題」です。

上位4つは「数の性質」「論理・推理」「立体図形」「場合の数」と全体の上位4つと変わらず、「立体図形」と「場合の数」の順序が入れ替わっただけの結果となりました。栄光学園の大問は、(1)や(2)はレベルAから開始してくれる為、ほぼ全体の比率通りにレベルAの問題が出題されているに過ぎないと解釈することが出来ます。

続いて、最も重要な「B=栄光受験者の中で、正答できるかどうかが分かれる問題」です。

こちらも、上位4つは「数の性質」「場合の数」「立体図形」「論理・推理」と全体の上位4つと変わらず、レベルAと同じく順序が入れ替わっただけの結果となりました。ただし、一点だけ補足しておきますと、「論理・推理」の比率がやや落ちているのは、次の「レベルC・D」の出題が比較的多い為、他の主要3分野に比べてレベルBの出題比率が少なった結果であると解釈することが出来ます。勿論、それでも上位4番目に位置しているということです。

最後に、「C=栄光合格者でも出来ていない人が多いと思われる問題」です。

上から順に「論理・推理:34.4%」「場合の数:17.7%」「速さ:16.7%」「数の性質:10%」となっております。特徴としては上述のように「論理・推理」が非常に多いこと以外に、「速さ」が初めて登場していることから、「速さ」は出題が多くない割にレベルCの問題が多い難易度の高い単元であると捉えることが出来ます。

栄光学園中学の算数分野別の対策

では、以下では合否を分けることになるレベルBの上位3つの分野である「数の性質」「場合の数」「立体図形」のそれぞれについての対策について見ていきます。

栄光学園中入試の「数の性質」対策

○難易度:難易度は高く一筋縄でいかない問題ばかりですが、他の頻出分野に比べると比較的レベルCの問題が少ない特徴はあり、頻出単元の中ではまだ解きやすい印象があります。

○傾向:2015年の「消費税の規則的解法」、2017年の「等分点」等、技術的なポイントをコンセプトに出題されることもありますが、技術的問題よりも思考力問題の出題比率が高いことが特徴です。技術については応用・発展系の技術が出題されており、思考力問題では「試行検証」を要求する問題が多いのが特徴です。

<栄光学園中 2015年3番>

(1)(2) 解説動画

(3) 解説動画

(4) 解説動画

○対策:傾向に合わせて、対策を行うことが可能です。技術面では応用・発展系の技術の習熟が効果的です。上記の2つの論点は、それぞれ前者は「灘」「甲陽学院」、後者は「麻布」「筑駒」などで過去に出題されたことがあり、高度な技術を学習しておくことで対応可能になります。コベツバではTopGun特訓で学習するような技術となります。

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〜筑駒・開成・聖光・渋幕・麻布・桜蔭・栄光・灘・久留米附設・東海〜コベツバのTop Gun特訓では、上記の最難関の学校で必要とされる発展技術をポイント動画という武器とその練習問題・テスト問題で練習する型で身につけられる講座を配信し[…]

また、「試行検証」系の思考力問題については、中長期で訓練していくことで少しずつ磨いていくことが出来ます。コベツバweb授業の「思考力テスト講座」を使って年単位で鍛えていくことが良いでしょう。

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コベツバweb授業夢中になる算数、始めようわからないから苦手...を「できるから、好き」に、できる子はさらに「武器[…]

栄光学園中入試の「場合の数」対策

○難易度:難易度は非常に高く、小問の最後はほぼレベルCが登場します。従って、取れるところまで進んで得点を獲得していく構え方で臨むことになります。

○傾向:技術的な解決が可能な問題の出題はほぼありません。あくまでも思考力問題として出題されています。思考力問題の中で要求されているのは、「場合分け」と「試行検証」が多いことが特徴です。尚、「試行検証」については上記の「数の性質」の分野と共通して要求されており、学校側のこだわりとして捉えることが出来ます。

<栄光学園中 2016年3番>

(1) 解説動画

(2) 解説動画

(3) 解説動画

(4) 解説動画

○対策:こちらも思考力問題に対しての中長期的な特訓を続けていくことが重要です。「場合分け」「試行検証」系の思考力問題に取り組んでいくことと、優れた人の解決方法を見て学んでいくことで、段々と考え方の型やコツを習得していくことで、少しずつ出来るようになっていきます。「数の性質」の思考力問題の対策と同じくコベツバweb授業の「思考力テスト講座」が有効です。

栄光学園中入試の「立体図形」対策

○難易度:難易度Cの問題が他の頻出分野よりも少なく、レベルAとBが中心となっており、他の分野以上に得点しやすい傾向があります。ただし、それでも全ての小問を正答することのハードルは高いということも付け加えておきます。

○傾向:技術と思考力の融合タイプの問題の出題がメインで、一般的な難関校で頻出とされる立体切断系の問題の出題は今の所ありません。使われている技術は、技術そのものが発展的なものもあれば、技術自体は基本であるものの、使い方の切り口に難しさがあるものが多い印象です。また、技術的な問題から入って段々と思考力問題へと小問が展開していくタイプの大問も多いです。

<栄光学園中 2012年2番>

(1) 解説動画

(2) 解説動画

○対策:立体図形系の技術のうち、「切断系」を除いた上での技術であることと、思考力への展開が考えられるタイプの技術を押さえておく必要があります。過去には、「辺を切って展開図」「柱体の表面積」「→補助線」「正四面体の三角方眼転がり」を使う問題が出題されており、「展開」「転がり」「表面」というのが鍵になっている印象です。これらの問題は技術や知識を身につけた上で、それでもその場で自分の頭で考える必要がある為、栄光の好みであると判断することが出来ます。いずれにせよ「切断系」以外の立体図形の難問にあたっていくことで訓練していくことが出来ます。

類似する他校の問題はありませんので、栄光過去問の立体図形を抽出して20年分取り組むか、コベツバ生はコベツバweb授業およびトップガン特訓で鍛えていきましょう。

栄光学園中学志望者向けの対策・動画サービス

中学受験コベツバでは、上記の分析・出題傾向を踏まえて、栄光学園中学志望の子供たちを対象に、以下のサービスを配信をしております。毎年、多数の栄光学園志望者が算数強化を目的にコベツバを活用して、栄光学園中に合格しています。

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