「マンスリー確認テスト」は、ご存知の通りサピックスで約1-2ヶ月に一回の頻度で実施され、「クラス・コース昇降」にダイレクトに影響する為、保護者様もお子様も大変関心が強いテストです。ただ、内容は驚くことに「デイリーチェック」「基礎力定着テスト」で出題される内容・レベルのものが約8割を占めており、「定着さえ出来ていれば」高得点・高偏差値を取ることが可能です。
ここでは、「サピックス マンスリー確認テスト」の分析を通じて、一見すると難解に思ってしまいがちな「マンスリー確認テスト」の内容が、「デイリーチェック」に出題されているものとあまり変わりがなく、それらを正しく得点するだけで高得点・高偏差値を取ることが可能であり、「決して難しいものではないこと」に実感を持って頂きたいと考えております。
1: マンスリー確認テスト(サピックス)の目的
マンスリー確認テストの教育上の狙いは、「長期記憶への定着確認」となります。
毎週の「デイリーチェック」で理解を測りながら学習してきたものが、1-2ヶ月後にしっかりと定着しているかどうか、を測る機能を持っております。
また、余談ですが、サピックス(SAPIX)の中で、最も塾内の合格実績に相関しているテストであると言われているものです。それもそのはず、入試など、「範囲が膨大なものは、定着された知識・技術の総量」でほとんどの場合、決着する為です(一部、思考力を要求する問題の比重が高い学校はあれど)。「マンスリー確認テスト」が、1-2ヶ月スパンでの定着確認を問うものである為、そこで定着できていることが、そのまま半年一年経過しても、忘却せず定着している可能性が高い為です。
続いて、保護者様、お子様にとっての「マンスリー確認テスト」の適切な活用の仕方としては、
範囲内にある論点が、一定の時間を経ても定着しているかどうかを測ること
「マンスリー確認テスト」を、ベンチマークとして、計画を立てて日々復習を行なっていくこと
の、二つとなります。
また、5年生〜6年生前半の「マンスリー確認テスト」においては、時期や回により多少のばらつきはありますが、おおよそ、
約55%の得点率が平均点、偏差値50
約70%の得点率で偏差値60
4年生の場合は
約60%の得点率が平均点、偏差値50
約70-75%の得点率で偏差値60
と、なっております。
つまり、70%~75%の得点を獲得することで、SAPIXの上位1/10に入ることができる為、まずは「マンスリー7割〜7割5分」を目指していくことが、ほとんどの方にとって重要な目標になろうかと思います。
最後に、マンスリー確認テストと同じ範囲付きテストである「復習テスト」について言い添えておきましょう。
こちらは実力テストである組分けテストが実施される月に行われる、範囲付きテストであり、マンスリーとは違いクラス昇降がありません。クラス昇降がないからといって、侮ってはいけません。マンスリー確認テストと同様に、「範囲内にある論点が定着しているか」を測る機会であり、当たり前ですが、復習テストの範囲になっている単元も重要なものばかりだからです。よって、マンスリー確認テスト同様しっかりベンチマークしテストに臨む必要があります。
2: マンスリー確認テスト・復習テスト(サピックス)の分析
一般的にほとんど同じような形式・難易度で毎回の「マンスリー確認テスト」「復習テスト」は構成されております。
以下は、複数回のマンスリー確認テストを分析した結果になります。
マンスリー確認テストの教材別配点
【5年生〜6年生前半】
基礎力トレーニング:40点
デイリーサピックス:110点
【4年生】
基礎力トレーニング:50点
デイリーサピックス:100点
マンスリー確認テストの難易度別配点〜基礎力トレーニング〜
【5年生〜6年生前半】
易しい:35点
やや難しい:5点
【4年生】
易しい:50点
※易しい=教材掲載問題から、数値、または文章の主語・述語・目的語が変わったもの
マンスリー確認テストの難易度別配点〜デイリーサピックス〜
【6年生(前半まで)】
★1つ〜★2つの数値・言葉替え:70点
やや応用(数値・言葉替えではない):30点
発展:10点
【5年生】
★1つ〜★2つの数値・言葉替え:90点
応用(★3つまたは応用問題):20点
【4年生】
★1つ〜★2つの数値・言葉替え:85点
応用(★3つまたは応用問題):15点
※数値・言葉替え=教材掲載問題から、数値、または文章の主語・述語・目的語が変わったもの
と言う結果になっております。
▼4年生・5年生
「デイリーチェック」で出題されなかった「★3つまたは応用問題」と考えられる問題が、4-5年生は、合計15~20点分、が出題されています。これはこの回だけではなく、毎回似たような傾向で3-5問程度は、比較的難易度の高い応用問題が出題されております。
ただ、逆に言いますと、
「4ー5年生はデイリーチェックと同レベルの問題が125点-135点分、出題されている」ということです。
そこから数問ミスをしたとしても、110点-120点は最低限取らなくてはいけない問題構成になっていると言えます。少なくとも難易度的には。(繰り返しになりますが、5年生で110点を、4年生で120点を取れれば、回によりますが、7割を超えますので、偏差値60以上になります。)
▼6年生
また、6年生は一見すると応用の割合は増えておりますが、あくまでも本当の意味での発展問題は毎回10点前後で、「テキストの数値・言葉替えではないが、入試まで1年を切った6年生ならばすでに習っている知識で十分得点できる問題」=「やや応用問題」が30点分出題されています。
1年後に迎える入試はテキストの数値替えや言葉替えではもちろんありませんので、そのような問題にも十分対応できるようになってほしい、という意図から出題されているのでしょう。つまり、
「デイリーチェックと同レベルのものを含め、6年生であれば得点できる問題が140点分出題されている」
ということです。もちろんミスやテキストと見た目が異なる問題で少し点を落としてしまったとしても120-125点は十分に得点することができるはずです。
これが、マンスリー確認テストの実態です。
どうでしょうか?
決して手が届かないレベルではないように思えるのではないでしょうか?
はい、その通りです。
私が、過去に家庭教師として指導させて頂いた数多くのサピックス(SAPIX)5年生達は、最初のクラスがどこかに依らず、マンスリー確認テストや復習テストは7割〜7.5割得点を達成できるように発達させることが出来ていました。
それほど難しい話ではありません。
それでは、どのような対策を行っていたのでしょうか?
以下に続けさせて頂きます。
3: マンスリー確認テスト・復習テスト(サピックス)の対策
最も入試結果と相関すると言われる「マンスリー確認テスト」。
その対策には、大きく二段階あります。
1: 「デイリーチェック」(4年生は基礎定テストを含む)で、9割を取り続けられるようになること
2: 「復習スパイラル」を、日々の学習計画に織り込むこと
です。
まず、
1: 「デイリーチェック」(4年生は基礎定テストを含む)で、9割を取り続けられるようになること
については、過去の記事
デイリーチェックの目的・分析・対策
デイリーチェックの学習・管理方法詳細を、ご参照頂けます様宜しくお願い致します。
ここでは、
2: 「復習スパイラル」を、日々の学習計画に織り込むこと
の概要について、ご説明させて頂きます。
「マンスリー確認テスト」は、1-2ヶ月に一回実施されます。
その結果、保護者様・お子様で頻繁に発生しがちなケースは、
1: 直前になって慌てて復習をしていく為、物理的な時間が不足してカバー出来ずマンスリーを迎えてしまう。
2: デイリーチェック時点から時間が経過しすぎている為、復習しようとした時には完全に忘れてしまっている為、復習時間が想定以上にかかる。
というものです。
お心当たりがあられる保護者様も、多数いらっしゃるのではないでしょうか?
従って、どうするかということですが、
1: 毎週の学習計画の中に、過去の復習の時間を織り込んでいくこと
2: マンスリー前には、過去の復習時にチェックした箇所だけ復習すること
と、なります。
まず、1 によって、デイリーチェックから時間が経過しすぎることなく再度復習の機会を持つことで、長期記憶への定着を促すことができます。(詳しくはエビングハウスの忘却曲線理論によりますが、ここでは割愛させて頂きます。)
また、その際に「マンスリー前に念の為、再度復習した方が良いもの」をチェックしておき、2 の時に、数少ないそのチェック部分だけを再度復習することで、マンスリーの範囲の論点を完全に潰した上で、テストに臨むことができるのです。
詳細は続きの以下の記事に記載させて頂きますが、これが概要となります。
一夜漬けのように一気に復習するか・できるかではなく、あくまでも「日々の積み重ね」で勝負が決まり、「その『日々の積み重ね』の中に、いかに効率的に復習の機会を盛り込むか」ということが、鍵を握るということです。
そして、どれだけ優秀であっても、子供達はまだ小学生。その管理はあくまでも補助者であり、かつ教育のプロではない保護者様に委ねられてしまっている、ということです。私たち「中学受験コベツバ」は、そのような保護者様のお力になるべく、引き続きこのような情報を発信させて頂く予定です。
今後とも宜しくお願い致します。