夏期集中志望校錬成特訓(カキシ)の特徴/優先順位/学習法/各プリントの難易度

9月から始まるSS特訓の前哨戦となる「夏期集中志望校錬成特訓(通称 カキシ)」。
今回の記事では、特訓の位置付け、学習法、各種プリントの難易度や特徴をお話ししてきます。

尚、中学受験コベツバでは、夏期集中志望校錬成特訓で配布される各種プリントの解説を配信しております。

コベツバradioからは「受験生、残り半年の戦い方」ということで夏期集中志望校錬成特訓も含め、よく頂くご相談にお答えしておりますので、受験生は合わせてご覧ください。

1:夏期集中志望校錬成特訓とSS特訓の関係

例年保護者の方から「夏期集中志望校錬成特訓」と「SS特訓」はどのように捉えたらよいのでしょうか?というご相談を多くいただきます。

まず、多くの校舎では「夏期集中志望校錬成特訓」と同じ名前のプリントを「SS特訓」で扱います。該当するプリントがない場合は難易度・傾向が類似するプリントを「SS特訓」で扱います。

問題の難易度も同じ程度なので、講座名は異なるものの、完全にSS特訓と同じ位置付けの、一貫した教材と考えても良いでしょう。

また、「SS特訓」・「夏期集中志望校錬成特訓」共に、NO1個1個で完結型の講座です。そのNOの中の分野が決まっており、様々な論点の問題が入っている実践的なプリントです。

体系的に学んできたこれまでの平常授業とは異なり、前から勉強しなければ理解が進まない、ということは決してありません。学習の際は順番を問わず学習することができる教材です。毎日連続の講習期間では到底消化できない方がほとんどだと思いますので、あとでまとめて復習してもなんら問題はありません。

ここまでは「2講座はほとんど同じ」というお話をさせて頂きました。

2つの講座の違いをあげるとすれば、それは、「アプローチ編」「復習テスト」の有無です。

最難関校のSS特訓では(開成KA・桜蔭OU・麻布AZ・駒東KT)、「アプローチ編」と「サンデーサピックス」の2種類のプリントが配布されます。授業では「アプローチ編」、似た過去問を数問ずつ集めたものを扱います。そして家庭学習では、「サンデーサピックス」、これは「アプローチ編」で扱った問題の数値替え問題に取り組みます。

また毎週日曜の講座になりますので、先週の内容の数値替えの復習テストが実施され、これが席次を決めることになります。

夏期集中志望校錬成特訓には「アプローチ編」「復習テスト」がありませんが、連続する講習であるため復習の時間が取れないことからこのような構成となっているのだと考えられます。(その分、間違えた問題の類題を探すのが少し難しいかもしれません)

2:夏期集中志望校錬成特訓の重要度

例年「我が子の志望校と今のレベルからみて、夏期集中志望校錬成特訓にどこまでパワーをかければ良いでしょうか?」というご相談をいただくので、判断の基準となる内容をお伝えしていきます。

志望校別講座のそもそもの目的は、中学受験の基礎・標準技術が固まったお子様に向けて、志望校の特徴に合わせて新しい技術を身につけたり、すでに身につけた技術の磨きをかけていくことにあります。

ここで、重要なことは2つ

1 : 志望校別特訓は、原則的に中学受験の基礎・標準技術が固まったお子様を対象とした内容であること

2 : 一部のコースでは新しい技術、今後二度と出会うことのない解法を使って解決する問題を取り扱うこと

まず前半、中学受験の基礎・標準技術が固まったお子様を対象とした内容、という部分についてお話ししていきます。

これまでの記事でもお話しして参りましたが、6年生前半(どれだけ遅くとも秋まで)では、志望校対策のそもそもの前提となる「中学受験の算数で、どの学校で出題されてもおかしくないような基本・標準技術」を固めておくことがもっとも重要な学習の目標になります。

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なぜなら志望校別対策というものは、そもそも一定の土台の技術を理解してる前提で以下の3つのいずれかの目的を持って行うものだからです。

・取り出す技術を見分ける

・すでに知っている技術を組み合わせて使う

・ある分野においてさらに発展的な技術を習得する

土台の技術がしっかり身についていない中、「取り出す」「組み合わせる」「新しいものを積み上げる」ことは至難の業であることは想像に難くありません。

以前、過去問の取り組む時期についてお話させていただきましたが、「志望校対策の前に行うべき土台作り」というコーナーで触れた内容になります。以下引用。

・・・、傾向外で難易度Aのものが出題され間違えてしまうと、一気に致命傷に陥ってしまいます。6年生前半までの分厚い基礎(「基礎技術」or「応用技術」)を固めてきたのはそこをカバーする意味合いがあります。

既にこれまでの学習範囲の基礎において、「出来ない分野」「苦手な分野」が明確にあるのであれば、潰しておく時間を取っておくことは最優先になり、「まだ過去問を始めるのは早い」と言われるのは、結局のところその部分をカバーしてから始めた方がいいと言うことになる為です。

つまるところ、志望校別に特化する以前に、これまで習った分野に苦手分野があったり技術が完成していない場合は(目安:デイリーチェック8割以上)、夏期志望校別錬成特訓の内容の復習より先に、6年生前半までのテキストの総復習または、コベツバweb授業(詳細はこちら)で技術の総固めを優先させましょう。

次に後半部分についてお話ししてきます。

まず、夏期志望校錬成講座・SS特訓は大きく分けて2つの難易度に分けられます。

A:6年生前半までに習った技術で解決できない問題(難問)を扱うコース

B:6年生前半までに習った技術で解決できる問題を扱うコース

A、前者に該当する志望校(プリント名)は、「開成(KA)」「桜蔭(OU)」「麻布(AZ)」「駒東(KT)」です。

これらのコースに在籍し、冠の学校を目指される方は、特訓で出会う1問1問が貴重な学びの場であり、その1問を習得していない場合、そもそも解き方を知らない状態になってしまいます。「夏期志望校別錬成特訓で扱った解法は今後二度と出会わないかもしれない」という可能性があるのです。

つまり、『もし取り組まなかった場合は、同じプリントに取り組んだサピックス生であれば解ける問題が、自分は解けない』ということになりかねません。

いますぐである必要はないものの、2月1日の最終段階では、配布されたプリントの問題は「次に出たら解ける」状態に仕上げている必要があります。

「夏期志望校錬成講座を受講された時点では、まだ土台に不安がある」という場合は、今は保留にしておいた上で、仕上がってから、徹底的に復習したほうが良いでしょう。

B、後者に該当するコースは「開成(KA)」「桜蔭(OU)」「麻布(AZ)」「駒東(KT)」以外の全てのコースです。

具体的にプリント名(メインの対象学校)をあげると以下のようになります。

・NaFU(雙葉)
・NaJF(女子学院・雙葉)
・NaFE(フェリス)
・NaMS(武蔵)
・NaKF(慶應)
・NaSF(慶應SFC)
・W(早稲田)
・SE(聖光学院)
・NaX
・NaSK

これらのプリントは確かに現時点では難しいプリントもあるものの(特に雙葉・武蔵・慶應・早稲田・聖光学院)、実は「これまで習った技術・それらを組み合わせた問題」か、または「これから習う少し応用の技術」で構成されています。

ここからのSS特訓(単科・志望校講座)や後期の平常授業でもほぼ必ず出会う技術ですので、Aに該当するコースのように「夏期志望校別錬成特訓を逃したら二度と出会えない」という問題はほとんどありません。もう少し突っ込んだお話をすると「取り組めばもちろん力になる。けれども、取り組まなかったからといってライバルに大きく引き離される内容ではない(他で十分カバーできる)」ということになります。

土台が固まった方にとってはちょうど良いレベルのコースであり、SS特訓の前哨戦としての腕慣らしになるものの、「夏期志望校別錬成特訓が難しい」と感じらるお子様もいらっしゃるかもしれません。「論点がバラバラの問題を取り出す訓練をする」ことが実践的な特訓の特徴であるので、基礎が固まっていないお子様にとってはなかなか1問1問で技術を身につけることは難しいでしょう。

繰り返しになりますが、その場合は、夏期志望校別錬成特訓の復習の前に、まずは、土台固めに集中しましょう。

3:夏期集中志望校錬成特訓の学習方法

普段の平常授業と同じように「やり直し→1週間以内に忘れないように復習」という順番で学習を行います。

コベツバの動画解説サービスを利用されている場合、具体的には以下の流れになります。

1:全ての問題をまず取り組む。

2:わからない問題はポイント動画や解説動画をみて、もう一度自分で解いてみる。

3:重要なポイントで間違ってしまった場合は、できれば類題に取り組む(※)

4:2で扱った問題や、1で解けたもののスラスラ解けなかった問題は、1週間〜2週間以内、つまり忘れないうちにもう一度復習する。

※ 類題を解いておきたいお子様は、最難関志望校特訓『TopGun特訓』や、受験生にとって標準技術を固める無料で使える「コベツバweb授業」で同じポイントの問題に取り組みましょう。

4:夏期集中志望校錬成特訓で配布される各種プリント

4-1:プリントの種類と難易度

プリント名冠名難易度
NaKA開成非常に高い
NaOU桜蔭非常に高い
NaAZ麻布高い
NaMS武蔵普通
NaJF女子学院・雙葉と思われる少し簡単
NaSF慶應SFC少し難しい
NaFU雙葉高い
NaKT駒東高い
NaKF慶應普通〜少し難しい
W早稲田普通
NaSK特になし簡単
SE聖光学院少し高い
NaFEフェリスー (未撮影のため不明)
NaX特になしー (未撮影のため不明)
E栄光ー (未撮影のため不明)

4-2:プリント解説動画の視聴方法

コベツバでは、サピックステキスト解説サービス『スタンバイ SAPIX(サピックス解説・対策)』にて、上記のプリントのうち、NaFE,NaX,E以外のプリントは全て7,500円(税込)にて解説を配信いたします。
NaFE,NaX,Eのプリント解説は大変申し訳ございませんが、配信がございませんのでご注意ください。

解説をご希望の方は、「スタンバイ SAPIX(サピックス解説・対策)」からご購入いただくことが可能です。
※夏期集中志望校錬成特訓(カキシ)開始後、NO1 は無料でご覧いただけます。