南山中学校女子部入試の解体新書 | 過去問データに基づく算数傾向分析と対策


『南山中学校女子部入試の解体新書』とは?

南山女子の直近5年間の入試を解体・徹底分析し、一般の方からは非常に見えづらい入試および入試問題の特徴を明らかにすることを通じて、世間一般で言われている常識とは異なる考察をお伝えし、入試突破にあたっての体系的な指針を提供することを目的としております。
入試対策において「全ての科目、全ての分野、全てのポイントを対策すること」は時間と能力に余裕があればそれがベストです、でもそれはあくまでも理想論です。
現実は、時間との戦い・屈強なライバルたちの戦いであり、その為には、時間対効果が高いと考えられる勉強を入試突破に向けて戦略的に行う必要があります。まだ志望校対策に腰を据えて取り組む前段階である5年生や、追加の学習の余裕がない6年生前半でも、志望校を意識し、頻出単元の応用・発展技術には積極的に手を伸ばしていくことで、6年生後半の志望校別特訓クラスのスタート時点でライバルと数段の差をつけることもできるでしょう。南山女子突破の頂に向けて最短・最速で登って頂く為に、是非ご活用頂ければ幸いです。

南山中の最新入試の解説動画速報、難易度・傾向分析などは以下からご覧いただけます。

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南山中学女子部入試の基本データ

南山中学女子部偏差値(四谷大塚/日能研/浜学園)

 四谷大塚日能研浜学園
2025
20246361
20236361
20226361
2021636056
2020656156

南山中学女子部の受験者・合格者数・受験倍率推移

 受験者合格者倍率
2025
20246841923.56
20236861743.94
20226911724.02
20216811744.05
20206561753.83
20196901803.97
20186411773.72
20176591753.82
20167231744.16

南山中学校女子部の合格最低点得点率・合格者平均点・受験者平均点

【4科目】

 合格最低点得点率合格者平均点受験者平均
平均62.0%538.0(67%)436.6(55%)
2025
202459.3%522.8420.6
202362.1%537.1441.3
202267.8%581.5481.4
202159.9%520.2419.7
202064.0%554.8452.3
201959%514.8414.8
201865.6%561.6465.4
201759.4%516.8411.4
201660.9%532.7422.7

南山の合格最低ラインは約6割です。

【算数】

 合格者平均受験者平均
平均131.7(66%)99.2(50%)
2025
2024131.795.3
2023130.598.2
2022159.2128.3
2021110.286.7
2020147.2111.3
2019127.689.7
2018142.8115.4
2017128.197.5
2016108.470.5

算数は4科目合計に比べて、合格者と受験者の間で得点率の違いが大きくなっています。合格者平均が約66%ということから、4科目と同様6割程度を目指すものの、実際は6割弱でも他科目が足を引っ張らなければ合格最低点に届くことでしょう。

南山中学校女子部の科目別配点と試験時間

 点数制限時間
国語200点50分
算数200点50分
理科200点50分
社会200点50分

最難関校は算国に傾斜配分されていることが多いのですが、南山は完全に4科均等型になっています。

南山中学校女子部の算数の合格寄与度

ここでは、合格者と受験者との差が一体「どの科目が」「どれくらいの割合」で、他受験者との得点差を生み、合格に寄与したかを示す「合格寄与度」を独自に算出し、実際に合格した人は、受験会場にいた一般的な受験者と比べ一体何がどれくらい違ったのかを明らかにします。

まず、科目別の「合格寄与度」を、以下のような操作で算出しました。

1: 各科目の「合格乖離点=合格者平均点ー不合格者平均点」を算出

2: (各科目の合格乖離点)÷(全科目の合格乖離点)×100%で換算

結果は以下の通りです。

4教科の配点がどれも200点満点の均等配分ということで、各科目の寄与度はどの教科も20%を超えており、バランスが求められていることが伺えます。算数の寄与度についてですが、2021年は問題が難化した為に23.4%という低い結果になっておりますが、2017-2021年度の5年間の平均は30.8%(直近の9年間では32.1%)と高い寄与度になっております。

ただし、平均点を開示している女子校の中でも先ほど触れたように算数・国語への傾斜配点を行なっている学校に比べると算数の寄与度は低くなっており、逆に理科や社会の寄与度が非常に高く、2科目で50%前後になっていることが珍しい特徴と言えます。

従って、算数は確かに各科目の中で最も差がつく科目ではあるものの、他科目も含めらバランスを強く意識することが重要だと判断することができます。

南山中学校女子部の算数概観

南山女子の単元別出題比率

まず、大きな単元別に算数の過去5年間の配点を想定し、集計した入試問題の分野別出題シェアと出題比率のグラフが以下となります。(実際の正確な得点は分かりかね、あくまでも想定値での算出となります。)

毎回の入試の大問数が多く、問題の出題が分散しやすい傾向がありますが、それでも出題傾向はあり、

上から順に、

「平面図形(割合無):18.4%」

「数の性質:15.5%」

「四則演算:13%」

「文章題(割合有):10.4%」

と並んでおり、毎年大問で1問以上必ず出題している計算になります。一方で、その他の分野はどれも8%未満ということで、逆に毎年大問で1問出題されるかどうかは分からないという計算になります。

南山女子の算数 難易度比率

続いて、この6年間に出題された問題を以下のように難易度レベルで表現しました。

A=基本レベル
B=応用レベル
C/D=発展レベル

その結果、A・B・C/Dの全体の比率としては以下のグラフのようになります。

全体としては、「レベルA」の問題の出題が最も多く約60%となっております。続いて、「レベルB」が30%弱で、残りの10%前後が「レベルC/D」という構成になっています。

5年間の受験者平均が約50.1%、合格者平均が65.5%ですので「レベルA=基本レベル」の問題を可能な限り取り切ることが合格のための条件になります。その上で、レベルAの問題で数問取りこぼしがあるとして、その分をレベルBの問題で数問正解することで合格ラインに到達することができる計算になります。

反面でレベルCの問題も毎年出題されている為、そういった問題にあまり深入りせずに出来る問題(レベルAの問題)」を見つけて確実に仕留めていく訓練を過去問を通じて行なってもらうことが重要になるでしょう。

また、算数が得意で他科目に不安がある人は、前述の通り、他科目の合格寄与度も大きい為にその分を埋めるべくレベルBの問題を他の人以上に得点して、算数でリードをつけていくことが求められることも触れておきます。

南山女子の算数 難易度×単元比率

では、続いて難易度レベルごとに出題単元のシェアを見ていきます。

まず、「A=基本レベル」です。

上位を見ていきますと、

「四則演算:21.6%」

「数の性質:14%」

「文章題(割合有):11.3%」

「平面図形(割合無):11.1%」

という結果になっており、全体の上位4単元と順番は入れ替わっていますが、全く同じものが並んでいることに気づきます。また、四則演算はレベルB以上の難易度の出題がない為にここのシェアが上がっていると解釈することができます。

また、南山女子ではレベルAを完全に取り切ることが合格の為には非常に重要になりますので、主要な出題分野だけではなく、幅広い分野での基本問題を得点できるように仕上げていく必要があります。

続いて、「レベルB=応用レベル」です。

上位から、

「平面図形(割合無):19.8%」

「数の性質:16.3%」

「場合の数:13.1%」

「文章題(割合有):12.7%」

「論理・推理:11%」

となっております。

レベルAと共通している3つの分野があり、それ以外に「場合の数:13.1%」「論理・推理:11%」の2つの思考力問題が入ってきているのが特徴です。

これらの分野はレベルAは全体での比率は低いものの、レベルBでの出題があり、目安としては平均して毎年1問出題されています。レベルAの基礎的な部分が身についた上で余力があれば、思考力問題の対策を行なっていくと良いでしょう。

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最後に「レベルC=発展レベル」です。

上から、

「平面図形(割合無):52.6%」

「数の性質:21.6%」

です。

特に「平面図形(割合無)」の多くは、南山女子の名物と言える「作図」問題です。一般的な中学受験算数では「作図」を体系的に鍛えることが少なく、あくまでも南山を含めた特殊な学校に向けた対策として行う以外にありません。南山女子以外では、全国レベルの難関校では千葉県の渋谷教育学園幕張中ぐらいとなります。

尚、作図を一定訓練して「作図」問題を得点できるように仕立てても良いのですが、他分野で得点していくことで合格ラインや合格者平均を超えることは十分に可能であることは伝えておきます。

南山中学校女子部の算数分野別の対策

では、以下ではレベルA・レベルBの「四則演算」以外の上位3分野である「平面図形(割合無)」「数の性質」「文章題(割合有)」のそれぞれについての対策について見ていきます。

南山女子の「平面図形(割合無)」対策

◯難易度
作図を除くと全体の難易度比率と同じく半分以上がレベルAという割合で他がレベルBという構成になっています。従って決して手が届かない訳ではないと思いますので、入念に対策をして臨んで欲しい分野です。

◯傾向
オチが明確な問題が多く、体系的な訓練をしてきた人にとっては与し易い問題が多く、逆に何を使って解くかをあまり意識せずにこなしていると気づきにくい傾向があると言えます。

具体的に例を挙げて見ていきましょう。

▼2017年10番(16)

解説動画

ポイントは「二等辺見つけ」ですが、「一種類の同じ長さが複数出ている角度問題」→「二等辺見つけ」という判断が出来るようになっていれば、短時間でクリアできる問題でした。

◯対策

論点が明確な問題が多い為、「なぜ、どういう時に、その技術を使うのか」に意識して学習していくことが効率的な学習になってくると思います。

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コベツバでは、技術的に解ける問題すべてに「ポイント」を名付けており、それぞれのポイントにも動画を用意しています。その結果、「この問題は、●●なので、●●という技術を使う」ということを判断しやすくする効果がありますので、ご参考ください。

また、コベツバを使わずとも、「何を使って解いたのか」「なぜその判断をしたのか」を意識して、出来れば自分で技術の名前を書き残していくだけでは効果が期待できるかと思います。

南山女子の「数の性質」対策

◯難易度
全体の傾向とほぼ同じでレベルAが60%近くを占めております。一部に難問のレベルCもあり注意が必要ではあります。

◯傾向
技術系の問題と思考力系(技術を使わない)の問題に分かれており、技術系の問題のほとんどはオチが明確な問題であり、思考力系の問題は「試して検証する=試行検証」が多い傾向があります。

具体的に例を挙げて見ていきましょう。

▼2021年1番(4)

解説動画

ポイントは「等比数列の和」です。典型的な問題ですのでこういった問題で足元をすくわれないように網羅的に基本技術を身につけて本番に臨む必要があります。

続いて、

▼2021年4番(10)(11)

解説動画

試して検証しながら、着眼点を探していく思考力問題でした。手を動かして答えに接近していくタイプの問題を出題していることが伺えます。

◯対策

技術的な対策としては、他の分野と同じく基本的な技術を網羅的に、どういう方向から聞かれても答えられるように鍛えておくことです。続いて、思考力要素がある問題については、一発で答えに到達できない問題に向き合った時に自分で試しながら、答えがある方向に近づいていくことを経験していくことが重要です。

南山女子の「文章題(割合有)」対策

◯難易度
レベルAが60%以上を占めており、残りがレベルBとなっており全体の難易度以上に易しい分野です。

◯傾向
相当算、還元算、比例・反比例などが割合の文章題の中でも基本的な技術をテーマとした問題が多く出題されています。

具体的に見ていきましょう。

▼2020年10番(18)(19)

解説動画

ポイントは「比例」です。一見すると難しそうに見えてしまいますが、内容的には実は易しい問題です。比例についての問題を丁寧に練習してきたことがあれば問題なく攻略できてしまう問題です。

◯対策

他分野と同じく基本的な技術を使う問題が多く出題されている為、まずは確実に身につけておくことが第一と言えます。南山の特徴としては文章題ということもあり、読解させた上で問題に入らせるケースも多いので、戸惑わないように過去問を通じて問題に慣れておくことも重要と言えます。

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