「そうだ、コベツバさんに聞いてみよう」の二人目の相談です。
今回は、組分けテスト・サピックスオープン(SO)が取れないアルファ下位〜ベットを行き来している女の子をお持ちの保護者様からでございます。
いつも記事をありがとうございます。大変参考にさせて頂いております。今回は、娘のことでご相談させて頂きたいと思い、ご連絡させて頂きました。宜しくお願いいたします。
お問い合わせ頂き、有難うございます。はじめまして。中学受験コベツバの村中です。こちらこそ宜しくお願い致します。まずは、お子様についてお聞かせ頂いてよろしいでしょうか?
はい。娘は、良く言いますと『頑張り屋さんタイプ』で、悪く言いますと『要領が悪いタイプ』だと思います。サピックスに入塾したのは、新小4になるタイミングです。それまではピアノと公文をやっておりました。
有難うございます。お母様から見られて、『頑張り屋さん』だと思われる点を具体的に教えて頂いて構いませんか?
はい。基本的には出された宿題は勿論全て行なっておりますし、毎週のデイリーチェック前やマンスリー確認テスト前には何度もテキストを見直すことや、デイリーチェックやマンスリー確認テストの返却後のテスト直しも真面目に取り組んでおり、母の私から見ても良く頑張っているように思えます。
なるほど。頑張り屋さんの、良い娘さんですね。それでは、『要領が悪い』と思われる点も教えて頂いてもよろしいでしょうか?
ありがとうございます。はい、毎週のデイリーチェックの為に、デイリーサピックスやデイリーサポートを何周もやっており、少し無駄があるのではないかということや、マンスリー前には、忘れているからという理由で、範囲の問題をできるだけ全問やろうとしてしまうのです。ただ、掲載されたデイリーやマンスリーに関する記事(QA:デイリーサピックス、2周で得点できるようになるには、どうすれば良いのでしょうか?、マンスリー確認テストの学習・管理方法詳細)を読ませて頂いて、おかげさまで少しずつ効率的に勉強を進められるようにはなってきたところです。
内容を早速実践頂いているようで、非常に嬉しいです。ありがとうございます。その上で、他にお困りのことがあるということでよろしかったでしょうか?
「はい。実は、入塾してから今までずっとなのですが、組分けテストやサピックスオープン(SO)といった実力テストの結果が芳しくないのです。デリチェやマンスリーは比較的取れるのですが、組分けになると途端にダメで、クラスを落としてしまうのです。マンスリーで上がって、組分けで落ちるというのを繰り返しているような状態です。
ありがとうございます。だいたいデリチェ、マンスリーは何割くらい、組分けテストは何割くらいを取られているのでしょうか?
はい、5年生になってからで申し上げますと、デリチェは8-9割、マンスリーは7割前後と良いのですが、組分けはお恥ずかしながら5割くらいの得点になっています。
なるほど。良くわかりました。もう一点お伺いさせて頂きたいのですが、組分けで間違えた・わからなかった問題で、娘さんが間違い直しをやる時、どのような雰囲気でしょうか?
そうですね。勿論、全くわからない問題もあるのようなのですが、解説を見ると『あー、これで良かったのか、これだと出来たのに。』と言っている問題が多い様で、私も娘も何故テストの時に思いつかなかったのが分からなくて、どうすればテスト中にひらめくと言いますか、出来るようになるのかが分からないのです。
ありがとうございます。よくよくイメージが出来ました。まず、組分けテストやサピックスオープン、または入試のように範囲に制限がないテストで得点を取れない原因は、ケアレスミスを除くと、大きく三つあります。
3 『解法の問題ではなく試行錯誤を正しくできない』が、いわゆる思考力問題と言われるもので、短期的には養成しにくいものです。実際の女子の学校では求められることが少なく、ほとんどが1 『解法自体を知らない』と2 『問題を見た時どの解法を使うべきか正しく判断できない』で決着がつく内容になっており、組分けやサピックスオープンも1-2割程度が思考力を要求する問題になっています。
その上で、先程頂いたお子様の話から、デイリーチェック・マンスリー確認テストは得点できていますので、問題はほぼ間違いなく2 ということが言えます。
▼参考記事
すみません。1 と2 がどう違うのか、もう少しご説明頂いてもよろしいでしょうか?
はい。1 はそもそも、特定の解法を知識として知らない為に解けない、ということです。これはデリチェやマンスリーの得点が低い場合、1 の可能性があります。2 は、その問題がどの解き方を使う問題かの判断ができないという状態で、誰かが『この解き方だよ』と横から言えば、解答まで正しく進むことが出来る状態です。お子様が解説を見た時に、『あー、これで良かったのか』と言っていることから判断することができます。
なるほど、良くわかりました。でも、知っている解法でありながら、何故マンスリーではどの解法を使うのかが分かるのに、組分けなどでは分からないのでしょうか?
はい、それはまさに、『抽象化学習』の問題です。
なるほど、良くわかりました。でも、知っている解法でありながら、何故マンスリー確認テストではどの解法を使うのかが分かるのに、組分けテストなどでは分からないのでしょうか?やはり範囲が広いために忘れていることが多いからでしょうか?
はい。もちろん忘却が原因のものもございますが、それよりも『抽象化学習』の問題であることが非常に多いですし、『抽象化学習』ができていないことが忘却の原因にもなります。
抽象化学習をきちんとできていない場合、マンスリーのようなテキストの数値替え問題はお子様のように繰り返し学習していれば正解できても、テキストでやった問題から、文章構造や変わってくる類題に対しては、途端に分からなくなってくるのです。組分けやSOでは、少しアドバイスをすれば解答まで到達出来る間違い方をしていて、マンスリーのようなテキストの数値替え問題ができているのは、それが理由だと思います。
参考:「抽象化能力」とは何か
なるほど。つまり、テキストとほぼ同じような数値を替えた問題くらいしかできない、状態だということでしょうか?
極端に言いますと、そうなりますが、実際5割くらいは取れていますので、全く抽象化の広がりがない訳ではないと思います。ただ、『それぞれの解法の広がり』が課題であることは間違いありません。
こちらの図を見てください。同じ解き方で解く問題の円の囲みが広い状態と狭い状態の比較です。狭い状態ですと、『同じ』に気づくことができないので、いつまでも『言われて気づく』「解説を見て気付く』状態になってしまうのですね。
ありがとうございます。娘の状態について、非常によくわかりました。このような状態になってしまったのは、娘の能力に限界があるからでしょうか?
いえ、そのような状態のお子様をお持ちの保護者様からよくご相談を頂きますが、学習方法を変えていくことで円の囲みを広げていくことができます。
まず、このような状態になった原因についてご説明いたします。
全ての集団塾がそうであるように、SAPIXのカリキュラムにも良し悪し、があります。デリチェのほぼ全問、マンスリーの8割の問題がテキストの数値替えのみで形成されており、マンスリーまでのテストでは抽象的な理解が出来ているか、つまり『文章や形式が異なるけれども、同じ解法を使う問題』が出来るかどうか、が判断しにくいものになっております。その中で、お子様がある種の丸暗記で得点を行なってしまうと、「どういう時、どういう場合」にその解法を使うのか、を習熟できていない為に、極端に言いますと、テキストとほぼ同じ問題しかできなくなってしまうのですね。
なるほど。それがマンスリー確認テストはできても、組分けテストができない理由ということですね。良くわかりました。では、具体的にどのような勉強をさせれば良かったのでしょうか?
端的に言うと、類題学習×ポイントのタグ付けです。先ほどの円の囲みを広げていくための、少し違う問題を毎回一定数触れていくことが出来れば、抽象の円を広げていくことになりますので、見たことがない問題でも、この解法を使うのか、と言うことが理解しやすくなります。同時にそれらの類題は、全て同じ問題だよと言うタグ付けを行なっていくことです。
なるほど、類題をもっとやっておけば良かった、と言うことですね。非常に悔やまれます。
はい。でも、大丈夫です。今から類題をやっていくことでも十分間に合います。6年生の前半、夏休み前までに、5年生で習った論点を使いこなせるようになる、と言うことはほとんどのお子様の課題です。現段階で仕上がっているお子様はほとんどいません。そして娘さんは、やや丸暗記傾向があるにせよ、これまでマンスリーをしっかりと取ってきた訳ですから。それぞれの解法の円を広げていくことを、今から半年をかけてやっていけば良いのだと思います。既に知っている解法の類題をやって、それがどの解法であるかをポイントとして書いていくことで、『この問題もこの解き方なんだ』と1つずつの解法の円を広げていくことが出来るのですね。
ありがとうございます。安心致しました。具体的に類題をやらせていく時に、何のテキストを使えば良いでしょうか?何かお勧めの教材があれば、教えて頂けますでしょうか?
はい。方向性としては
1:今後習得していく、サピックスの毎週の単元に合わせて類題を解いていくこと
2:今まで習得した単元について類題で幅を広げていくこと
の2つです。前者の今後のサピックスの単元の類題に関しては、宣伝にはなってしまいますが、サピックステキスト解説・類題サービス『スタンバイ SAPIX』をお勧めいたします。同じ様に『見た目が変わってしまうと解けない』というサピックス生からの相談を数多くいただいた為、テキストに沿った形で類題を作成する必要性を強く感じ、スタンバイ SAPIXでは類題を提供しております。
▼参考記事
後者の今まで習得したものの類題については、今5年生の後半でデリチェ・マンスリーは十分に取れて身につけてきたという状態ですので、手前味噌ではありますが、無料で使える「コベツバweb授業」がおすすめです。今まではこういうお子様にはプラスワン問題集をおすすめしておりましたが、コベツバweb授業は、抜けもれなく全ての技術を取り揃え、練習問題も必要であれば追加で用意できること、そして全問に動画解説があるという点で、より効果的に学力を伸ばすことができると考えるからです。
中学受験算数でどこの学校を受験するにしても必要になる技術を網羅し、これで一定レベルの入試問題に対応できてしまいます。応用レベル(難関の型)はやや難しくはありますので、基礎・標準(共通の型)を確認テストまで含めて終えてから、応用レベル(難関の型)に入るということが非常に良いかと思います。
ありがとうございます。早速購入して、させてみたいと思います。分野は、どれからやっていけば良いか、などはありますでしょうか?
はい。こういった塾外の教材はどうしても成績に反映されるまでに時間がかかりますので、気持ち的に折れやすくなりますから、比較的得意な分野からさせていくと良いかと思います。
確かにそうですね。それであれば、文章題かもしれません。ありがとうございます。その上で、させていく上で注意すべきことなど、ありますでしょうか?
はい。先ほどもお伝えしましたが、コベツバのポイント動画を参考に、1問1問やはりポイント=解法を明確に自分の言葉で書かせていくことです。それによって、お子様の頭の中に、こういう問題もこの解法を使うのか、ということが言葉で刻み込まれていきます。その結果、一つの解法を使うための円が広がっていって、組分けテストやサピックスオープン(SO)で初めて見る問題でも、『あ、この解法を使う問題だ』と気付きやすくなりますので。
わかりました。娘にそのようにさせていきます。あと、テキストで間違った問題は苦手分野ということで別の教材も使用して強化した方がいいのでしょうか?
いえ、別の教材の同じ分野でも、間違った問題と全く同じ論点の問題を探すことは難しいかと思います。加えて、まず1つずつのテキストをしっかりと身につけていくことが非常に重要になります。
コベツバweb授業では、教材に対するテストが複数用意されている上、苦手なポイントは個別のコベツバくん特訓で作成することができます。できるようになるまで何度もトレーニングすることができるので、ご安心ください。
わかりました。あと、テキストをこなしていくスピードはどうでしょうか?
今からですと、6年生の夏までにできれば1周。夏休みからは復習として12月頃まで2周目がお薦めです。しかし、もし間に合わない場合、秋までに1周できればそれでも十二分に算数の力を伸ばすことができます。
わかりました。教えて頂いたテキストと合わせて、やらせてみます。
はい。とにかくすぐに結果は出ないかもしれませんが、信じて頑張ってみてください。応援しております。
承知しました。今回は本当に有難うございました。