QA「デイリーサピックス・サポートの思考力系の問題は、どれくらいやれば良いでしょうか?」

サピックスに通う5年生の母です。いつも詳細な記事をありがとうございます。参考にさせて頂いております。さて、デイリーサピックスの『思考力アップ』やデイリーサポートの『思考力の養成』『入試問題に挑戦』は、どの様にやらせれば良いでしょうか?優先順位などはありますでしょうか?ちなみに、算数偏差値55-60、アルファ下位の男子で、算数はまだ比較的得意なタイプです。

ご質問、有難うございます。回答させて頂くにあたって、先日の記事「デイリーチェックの目的・分析・対策」において、以下の様に記載させて頂いたかと思いますので、まず再度引用させて頂きます。

「デイリーサピックス/サポート」の「思考力系の問題」ですが、 デイリーチェックの全問及びマンスリーの8割の問題は、デイリーサピックス★2つまでの出題であることから、 デイリーチェックで9割、マンスリーテストで7割が取れるようになってから、 思考力問題をやっていくことで十分だとも思います。

まず、上記の背景についてご説明させて頂きます。

理由1:

マンスリーテスト7割というのは、おおよそ算数偏差値が55-60となります。いわゆる「思考力問題」で合否が分かれてしまうような学校は、男子校及び共学校では偏差値55以上の学校が多く、女子校では偏差値55以上でも数少ないのが実情です。こちらが一つ目の理由です。

理由2:

また、それらの学校でも、「思考力問題」で差がつく以前に、「受験する他のライバル達」が「当然の様に正答する基礎的な問題」を外してしまうと、そこで「一発アウト」になってしまう可能性がある為です。これが二つ目の理由です。

理由3:

写真1

最後に、算数があくまでも「積み重ねの科目」であり、例年のことですが5年生の後半くらいから大きく差がついてくるのです。 これは「思考力による差」ではありません。 「比と割合」を筆頭に過去に学習した内容を「当然の様に使えるもの」として、その上に新たな知識を積んでいくことになる為、 「当然の様に使える様にはなっていない」お子様達が、脱落していくことが理由です。 一つ一つの難易度が高い、というよりも一層目の基礎の身につけ方が甘いことが原因となって生じています。 従って、日々の学習をしっかりと自分のものにして使える状態かどうかが、結果として6年生以降の成績を左右することになる、これが三つ目の理由です。

効果的な思考力問題への取り組み方

写真2

その上で、お子様は偏差値55-60あたりで算数が比較的得意とのことですので、マンスリー7割をギリギリクリアされていると想定されます。 従って、思考力問題に是非取り組んで欲しいところですが、反面で日々のデリチェにも力は抜けない状態であるとも考えられます。

デリチェの対策を、まず「デイリーチェックの学習・管理方法詳細」を行いつつ、その上で更に時間があれば以下の様なやり方をお勧め致します。

端的に言うと、「時間をかけて、手を動かして試行錯誤する訓練として使うこと」です。 これによって、普段の勉強で養成できない「思考体力」「問題が求めているものに接近する力」「試行錯誤する力」を養っていきます。

思考力系の問題の為に、1問あたり30分用意します。 25分間、考え抜くことです。 本人が答えが出たとなった場合、答え合わせだけ行い、答えが違っていれば、解説を見ずに再度考えてもらいます。 25分間、正解に行き着かなかった場合に、5分で解説を読んで理解してもらう、という使い方です。

思考力問題への取り組み方

「思考力」とは、あくまでも「自分が今持っている知識だけ」を使いながら、「答えに到達する力」であり、 それは実践的に考えて試行錯誤する機会がなければ養成できないものだからですし、 「試行錯誤すればできた」と言う成功体験を積み続けていなければ、緊張感のある入試会場で同じことを再現することはできないからです。

写真3

4年生のうちは「思考力問題」は「頭脳トレーニング」・「入試問題に挑戦」ですので、1問30分×2問=1時間の時間を一週間のスケジュールの中に組み込んでいくことでいいでしょう。

相談者様は5年生ですが、5年生の思考力系である「思考力アップ」「思考力の養成」「入試問題に挑戦」は週によってそれぞれ良問/難問が出題されている場合もあればそうでない場合もございますので、一概にこれが優先と言えるものではありません。その為、できれば全問に取り組んでほしいと思いますが、時間がない場合は、スタンバイ SAPIXの中で毎週のテキストの思考力問題の「重要度」「難易度」を記載させていただいておりますので、「重要」「重要かつ応用」を優先して取捨選択の上取り組んでいただければと思います。

毎週やっていくだけでもそれが三ヶ月・半年と経過した時には、かなりの時間を考えたことになりますので、 6年生の後半以降に効いてくるはずです。 短期的な養成は困難ですので、積み重ねとして一週間の学習習慣にいかに組み込んでいくかが大切です。

また、デイリーチェックやマンスリーテストには反映されにくく、なかなかやる気が起きない場合には、 「男子の難関校(女子の場合は桜蔭・渋幕)では、こういう思考力がある子供を求めているんだよ。」という声掛けをして動機づけをして頂くと良いかと思います。

以上
「思考力問題」に時間を割く対象偏差値とその理由、また時間を割く場合の方法についてご説明させて頂きました。 少しでもご参考になれば幸いです。

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