東海中入試の解体新書 | 過去問データに基づく算数傾向分析と対策


『東海中学入試の解体新書』とは?

東海中学の直近10年間の入試を解体・徹底分析し、一般の方からは非常に見えづらい入試および入試問題の特徴を明らかにすることを通じて、世間一般で言われている常識とは異なる考察をお伝えし、入試突破にあたっての体系的な指針を提供することを目的としております。
入試対策において「全ての科目、全ての分野、全てのポイントを対策すること」は時間と能力に余裕があればそれがベストです、でもそれはあくまでも理想論です。
現実は、時間との戦い・屈強なライバルたちの戦いであり、その為には、時間対効果が高いと考えられる勉強を入試突破に向けて戦略的に行う必要があります。まだ志望校対策に腰を据えて取り組む前段階である5年生や、追加の学習の余裕がない6年生前半でも、志望校を意識し、頻出単元の応用・発展技術には積極的に手を伸ばしていくことで、6年生後半の志望校別特訓クラスのスタート時点でライバルと数段の差をつけることもできるでしょう。東海中突破の頂に向けて最短・最速で登って頂く為に、是非ご活用頂ければ幸いです。

東海中の最新入試の算数解説動画、難易度・傾向分析などは以下からご覧いただけます。

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東海中入試の基本データ

東海中学偏差値(サピックス/四谷大塚/日能研/浜学園)

 サピックス四谷大塚日能研浜学園
2025
20246060
20236060
20224860
20216056
20205956

東海中学の受験者・合格者数・受験倍率推移

 受験者合格者倍率
2025
20249554212.27
20239724202.31
20229304112.26
20219193962.32
20209074012.26
20199114012.27
20189393932.39
20179344012.33

ほぼ一定の倍率になっています。

東海中学の合格最低点・合格者平均点・受験者平均点

【4科目】

 合格最低点合格者平均点受験者平均
平均240.3 (60%)267.6 (67%)230.7 (58%)
2025
2024237263.1227.7
2023229257.1221.0
2022233260.8225.1
2021253275.7240.0
2020236266.5226.5
2019234261.0224.9
2018249276.7235.3
2017249278.7238.1
2016243268.7237.6

【算数】

 合格者平均受験者平均
平均59.8 (60%)46.8 (47%)
2025
202458.745.5
202357.245.0
202253.641.6
202161.752.0
202063.848.2
201960.148.0
201860.845.7
201762.648.2
201659.248.5

東海中学の科目別配点と試験時間

 点数制限時間
国語100点60分
算数100点60分
理科100点50分
社会100点50分

東海中学の算数の合格への寄与度

ここでは、合格者と受験者との差が一体「どの科目が」「どれくらいの割合」で、他受験者との得点差を生み、合格に寄与したかを示す「合格寄与度」を独自に算出し、実際に合格した人は、受験会場にいた一般的な受験者と比べ一体何がどれくらい違ったのかを明らかにします。

まず、科目別の「合格寄与度」を、以下のような操作で算出しました。

1: 各科目の「合格乖離点=合格者平均点ー不合格者平均点」を算出

2: (各科目の合格乖離点)÷(全科目の合格乖離点)×100%で換算

結果は以下の通りです

2013~2022年度の10年間の算数合格寄与度は35.2%(直近8年間では34.6%)と他教科の1.5倍を超える寄与度となっています。算数で差がつくケースが他科目よりも高いと言うことになります。

また、特徴的なこととしては算数以外の3教科が均等に約20%と言うことで、どの教科でも差がつき得ることを示しています。多くの他校と比較するとこれは非常に珍しく、全教科ともしっかりと差がつく試験を作成していると言うことでもあります。つまり受験生としては、弱点を作りづらい入試セットであると言えます。それは、どこかの科目が弱いと大きく他受験生に差をつけられてしまいかねないからです。無論、算数が最も寄与度が高いものの、同時に弱点科目をなくしておくことも意識して戦略的に進める必要があると言えます。

東海中学の算数概観

東海中学の算数 単元別出題比率

まず、大きな単元別に算数の過去10年間の配点を想定し、集計した入試問題の分野別出題シェアと出題比率のグラフが以下となります。(実際の正確な得点は分かりかね、あくまでも想定値での算出となります。)

全国の難関校と比較した東海中の明確な特徴は、大問の数が非常に多いことです。全国の他難関校が大問4-5問で構成される学校が多いのに対して、東海中は大問7-8問と1.8倍程度となります。

(尚、余談ですが、全国の最難関でこの大問数を出題する学校は非常に少なく、同じ名古屋圏の南山女子の他に、関東の慶応中等部・慶応普通部がありますが、慶応両校よりも東海・南山の問題のレベルの方が高く、名古屋圏の最難関校が独自の進化を遂げてきたと解釈することができます。)

この結果、問題を出題する側にとっては「同じ分野はできるだけ同じ年度に出題しないでおこう」と言う意識が必然的に働きやすいことになる為、出題分野のバラエティが必然的に増えることになったのだと推測できます。

上記の結果はまさにこの圧力を反映しており、1年におおよそ大問2問の出題がある「平面図形(割合有)」以外は、非常に多岐に渡る分野が網羅的に出題されていることが伺えます。また、純粋な思考力問題である「論理・推理」をほぼ毎年1問出していることも意識しておいて欲しいと思います。

ここから受験生にとって判断できることは大きく3点で、

●1:平面図形(割合有)には明確に軸足が置かれており重点的な対策を行うことが有効であること

●2:分野の弱点を作ってしまうことが致命傷になりうること

●3:技術だけではなく思考力を養成することも疎かにできないこと

と、なります。

東海中学の算数 難易度比率

この10年間に出題された問題を以下のように難易度レベルで表現しました。

A=東海受験者の大半が正答できる問題
B=東海受験者の中で、正答できるかどうかが分かれる問題
C=東海合格者でも出来ていない人が多いと思われる問題

その結果、A・B・Cの全体の比率としては以下のグラフのようになります。

レベルA:42.2%

レベルB:49.2%

レベル CD:8.6%

と言う構成になっており、レベル Bの比重の高さが非常に目立つ構成になっております。

また、合格者平均は年度によらずほとんどの年で「レベルA完答+レベルBの半分を正解」で到達できる構成でした。尚、平均点は多くの年で「レベルA 完答」の得点を上回っており、合否の鍵を握るのはあくまでもレベル Bの応用問題であることが伺えます。つまり、他科目の出来にもよりますが、東海中の合格を掴むには、「基本問題を取りきるだけでは到達できない可能性が高い」「応用問題と向き合って、攻略していくこと」を求められていると判断することが出来ます。従って、受験学年以前からも「難しい問題から逃げず、理解して再現しにいく姿勢」を意識して学習する必要があります。

尚、余談ですが、入試段階で複雑で難解なものを攻略できる素養を持ち、訓練をしてきた子どもたちを採用しているからこそ、6年後の大学受験の実績において全国屈指の実績を叩き出せているのではないかと推察します。

東海中学の算数 難易度×単元比率

では、続いて難易度レベルごとに出題単元のシェアを見ていきます。

まず、「A=東海受験者の大半が正答できる問題」です。

全体の出題シェアと比較してみると、いくつかのことに気付くことができます。

●1:「文章題(割合有)」「四則演算」比重が高いこと

全体では9.8%であった「文章題(割合有)」がトップの17.1%に上がってきています。

また、全体では「その他」に入っていた「四則演算」が13%に上がってきています。

「四則演算」が上がるのはともかくとして、「文章題(割合有)」が難易度として低くレベルAの比重が高い分野であることが伺えます。

●2:「立体図形」「規則性」の比重が低いこと

この2つの分野は、全体ではそれぞれ10.4%、7.5%だったのですが、レベルAの中では欄外の「その他」に入っています。つまり、この2つの分野は相対的に「易しい問題(レベルA)が少なく、勝負問題(レベルB)が多い」ことを示しています。

とは言え、それでも非常に他分野に分散していることは間違いありませんので、幅広い分野を学習して穴をなくしておくことは東海で戦う為の必要条件であることは疑いの余地がないでしょう。

続いて、最も重要な「B=東海受験者の中で、正答できるかどうかが分かれる問題」です。

上述のレベルAでトップだった「文章題(割合有)」が圏外の「その他」に飛ばされていること以外は、全体シェアで出てきた顔ぶれが多少の順位の前後はあれど同様に出てきています。

特徴としては「立体図形」の比重が伸びて、「平面図形(割合有)」とほぼ並んだと言うことぐらいかと思います。その意味では、どの分野においても出来が分かれるレベルBの問題は出題され続けており、どの分野も疎かにすべきではないと言えます。つまり直前期にどこかの単元だけを分厚く対策をしたとしても他分野が手薄だとやられてしまいかねない、と言うことには注意が必要となります。

最後に、「C=東海合格者でも出来ていない人が多いと思われる問題」です。

「平面図形(割合有)」が26.7%

「論理・推理」が18.6%

「平面図形(割合無)」が15.1%

と、「平面図形」と「論理・推理(つまり、思考力問題)」で難易度が高い問題の出題が多いことを示しております。これらの問題に対しては入試会場では、難問がである場合もある為、深入りを避けて入試全体の中での得点最大化を意識して欲しいと思います。

東海中学の算数分野別の対策

これまで触れてきたように、東海中では出題の大問数が多く、入試問題セットの出題分野が多岐に渡っており、合否を分けるレベルBにおいても分野の網羅性は非常に高い学校です。つまり分野に特化した形での対策「だけ」では攻略が難しい為、それぞれの分野を応用・あるいは発展レベルまで網羅的に固めていくことが何よりも重要になります。各塾のテキストベースでの学びの中でも応用や発展と言われる問題に対して果敢にアプローチして身につけていく必要があります。また、思考力問題も一定の比率で出題されますので、そちらの対策も必要となり、結局は算数の総合力勝負ということになります。

その意味で技術を網羅的に身につけることと、思考力を磨く上でコベツバweb授業を活用しても良いでしょう。

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その上で敢えて、幅広い土台を固めた上で特にどこの分野をということになると、レベルBの最上位の単元である「平面図形(割合有)」となり、以下では対策を見て行きます。

東海中入試の「平面図形(割合有)」対策

○難易度:過去を振り返ると段々と難易度が上がってきており、特に2018年度以降は全国の最難関校屈指の難易度になりました。2020年度は比較的平易であったものの2021年に再び難化しており、このレベルが平常運転になっていく可能性が高いと言えます。

○傾向:古今東西の入試問題全体を見渡しても決して出題頻度が高くはないけれども、明確に論点として存在する発展的技術を狙って出題してきている印象があります。

いくつか例を挙げていきます。

▼「1:2トンガリ、1:3トンガリ」

<東海中 2018年 4番>

(1) 解説動画

(2) 解説動画

(2)の問題の流れの中で使わせる技術です。通常、流れの中ではなく落ち着いて構えられる状態で出題される論点ですので、これを完全に技として身につけられていなければ難しかっただろうと思います。逆に攻略できれば大きなアドバンテージになったことも間違いないでしょう。

▼「1点共有する等積のガ」

<東海中 2019年 4番>

解説動画

こちらは多くの集団塾でも学習する機会がほぼない発展的技術です。別の解法で解くこともできますが使いこなせると確実に短時間で仕留められる問題でした。

○対策:上記の通り「ただ闇雲に難易度の高い問題を出題している」訳ではなく、東海の出題をされている先生には明確な論点・技術があり、それを使わせることを意図した問題ということになっている印象を覚えます。逆に言えば、発展的技術を身につけられていれば、全てではないものの綺麗に解くことができるケースが多いという話になります。

例えば、上の技術に対応させると、

▼「1:2トンガリ、1:3トンガリ」であれば、

<灘中 2012年 2日目 2番>

(1)(2) 解説動画

(3) 解説動画

▼「1点共有する等積のガ」であれば、

<筑駒 2015年 4番>

解説動画

と、今回の東海の出題より前に東西の最難関校で同じ論点を使った問題が出題されております。

また、この灘と筑駒の出題以前にも、「1:2トンガリ、1:3トンガリ」のシンプルなパターンは多くの学校で出題があり、「1点共有する等積のガ」はラ・サールで2014年に出題されておりました。

つまり、ある種、最高レベルの学校で出題されている珍しい発展的論点を抽出して、東海流にアレンジを加えて出題してくるのが近年の出題コンセプトだと解釈することができます。従って、対策の方法としては、「近年、全国の最難関校で出題された発展的な技術」を抽出して、それを使う問題を先に訓練しておくこと、となります。

その意味で、コベツバでは近年の全国の最難関校で出題される発展的論点を技術ごとに集約して連続的に使わせる訓練を行う「Top Gun特訓」という講座を実施しており、平面図形分野の補強には活かして頂けるのではないかと思います。勿論、上記の2つの技術のポイント動画や、その技術を使う問題と解説も掲載しております。

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中学受験コベツバでは、上記の分析・出題傾向を踏まえて、東海中学志望の子供たちを対象に、以下のサービスを配信をしております。毎年、多数の東海志望者が算数強化を目的にコベツバを活用して、東海中に合格しています。

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