開成中入試の解体新書 | 過去問データに基づく算数傾向分析と対策

『開成中学入試の解体新書』とは?

開成中学の直近6年間の入試を解体・徹底分析し、一般の方からは非常に見えづらい入試および入試問題の特徴を明らかにすることを通じて、世間一般で言われている常識とは異なる考察をお伝えし、入試突破にあたっての体系的な指針を提供することを目的としております。

公開から約半年で6万回弱の閲覧回数を突破し、多くのお子様・保護者様から大きな反響を頂きました。

入試対策において「全ての科目、全ての分野、全てのポイントを対策すること」は時間と能力に余裕があればそれがベストです、でもそれはあくまでも理想論です。

現実は、時間との戦い・屈強なライバルたちの戦いであり、その為には、時間対効果が高いと考えられる勉強を入試突破に向けて戦略的に行う必要があります。まだ志望校対策に腰を据えて取り組む前段階である5年生や、追加の学習の余裕がない6年生前半でも、志望校を意識し、頻出単元の応用・発展技術には積極的に手を伸ばしていくことで、6年生後半の志望校別特訓クラスのスタート時点でライバルと数段の差をつけることもできるでしょう。開成中突破の頂に向けて最短・最速で登って頂く為に、是非ご活用頂ければ幸いです。

動画版はこちらから!
解体新書の内容に加えて、開成志望の保護者様からよく頂くご相談にも回答しております!

開成中の最新入試の算数解説動画、難易度・傾向分析などは以下からご覧いただけます。

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開成中入試の基本データ

開成中学偏差値(サピックス/四谷大塚/日能研)

 サピックス四谷大塚日能研
2025
2024687172
2023687272
2022677172
2021677172
2020677172
2019677171

開成中学の受験者・合格者数・受験倍率推移

 受験者合格者倍率
2025
202411904242.8
202311934192.8
202210504162.5
202110513982.6
202011883973.0
201911593962.8
201811713883.0
201711423952.9
201611313962.9

精鋭1000人が集まる最大規模の入試で、かつその3人に1人しか合格しないシビアな戦い。

受験者数は「1100-1200人」の間、倍率もほぼ変わりなく「3倍」で推移しております。

つまり、受験会場にいる子供たちの3人に1人だけが合格しているということを示しています。

開成中学の合格最低点・合格者平均点・受験者平均点

【4科目】

 合格最低点合格最低得点率合格者平均受験者平均
平均210.5 (68%)67.9%226.4 (73%)197.5 (64%)
2025
202421669.7%231.1203.8
202323776.5%251.5221.5
202219964.2%214.9189.1
202120164.8%217.9190.5
202019362.3%211.3179.0
201921870.3%232.1204.6
201822773.2%241.2211.2
201719562.9%212.8181.5
201619663.2%214.5183.8
201522371.9%237.1210.4

入試本番で、4問中3問の正答を積み上げると必ず合格できる。

概ね「70%前後が合格最低ライン」ということになります。表をご覧になって頂くとお気付きの通り、難易度によって最低点・得点率が大きく揺れる傾向があり、70%得点でも合格できない年があることもあります(2015、2018、2019、2023)。従って、開成志望の受験生は、開成に必ず合格できるラインとして易しい年では4問に3問が正解という「75%」、難易度が高い年では3問に2問が正解するという「66%」を目指す必要があります。

過去問に取り組む場合は受験者の得点率が分かりますが、実際の試験会場ではライバルたちの得点比率は全く分かりませんので、「75%得点」というのを頭に入れた上で、なんとか4つに3つを正答してくる計算をしながら得点を積み上げにいくという姿勢が良いかと思います。

【算数】

 合格者平均受験者平均
平均60.9 (72%)48.8 (57%)
2025
202458.348.6
202376.461.7
202260.750.7
202155.845.8
202049.538.6
201964.651.0
201873.962.0
201754.840.1
201653.739.7
201561.149.9

算数だけ線で追っていくと、こちらも平均点の上下が激しいことが伺えます。2018年は極度に易化した年で合格者平均は86%という異例の高水準に達しています。翻って、2020年は大問4があまりにも難しく部分点すら得点できなかったであろう受験生がほとんどであることから、残りの大問3つの中での勝負となり、平均点が下がっています。

こうなってくると、受験生にとって「開成の算数では何問得点できれば良いか」という水準を定めることが難しいところではありますが、特定の極度に難化した年においては、それ以外の問題で結局のところ合否は決まると考え、合わせにいく姿勢が必要でしょう。

開成中学の科目別配点と試験時間

 点数制限時間
国語85点50分
算数85点60分
理科70点40分
社会70点40分

やや国・算に傾斜された配点となっています。

開成中学の算数の合格への寄与度

開成入試において算数が合否を分けるのは本当か?

ここでは、合格者と受験者との差が一体「どの科目が」「どれくらいの割合」で、他受験者との得点差を生み、合格に寄与したかを示す「合格寄与度」を独自に算出し、実際に合格した人は、受験会場にいた一般的な受験者と比べ一体何がどれくらい違ったのかを明らかにします。

まず、科目別の「合格寄与度」を、以下のような操作で算出しました。

1: 各科目の「合格乖離点=合格者平均点ー不合格者平均点」を算出

2: (各科目の合格乖離点)÷(全科目の合格乖離点)×100%で換算

例えば以下のようにイメージしてみてください。

極端な話、2科目受験で
・科目Aの「合格者平均点」と「不合格者平均点」の差は0点
・科目Bの「合格者平均点」と「不合格者平均点」の差は20点

だった場合、全体を見たときに合否を分けた(合格に寄与した)のは100%科目Bであったと言えます。

逆に
・科目Aの「合格者平均点」と「不合格者平均点」の差は15点
・科目Bの「合格者平均点」と「不合格者平均点」の差は15点

だった場合、全体を見たときに合否を分けたのは科目A、B共に同じ程度の寄与度であったと言えます。

その結果が以下の通りです。

 合格者ー受験者算数の合格寄与度
 4科目算数
平均28.912.141.9%
2025
202427.39.735.5%
202330.014.749.0%
202225.810.038.8%
202127.410.036.5%
202032.310.933.7%
201927.513.649.5%
201830.011.939.7%
201731.314.747.0%
201630.714.045.6%
201526.711.241.90%

「4科目別合格寄与度」

 

 算数国語理科社会
平均41.9%26.3%16.7%15.1%
2025
202435.5%30.4%18.7%16.1%
202349.0%22.0%15.3%13.3%
202238.8%26.4%20.9%14.0%
202136.5%32.5%16.1%14.6%
202033.7%28.5%24.5%13.3%
201949.5%23.6%12.7%13.8%
201839.7%26.7%15.7%17.3%
201747.0%18.5%15.0%19.5%
201645.6%24.1%14.7%15.6%
201541.9%31.8%13.5%12.7%

全体で見ると、40%が算数、25%が国語、約15~20%が理科・社会で形成されており2019年・2023年では算数が49%を占めていました。
ここから考察できることは、受験者一般と比べて「合格者がつけた得点差の約半分弱は算数で形成されている」ということができます。

続いて、2020年は2019年と一転し34%の合格寄与度となりましたが、大問の4番が「合格者のほとんどもできず、恐らく部分点もほぼ取れなかった」と想定される為に、大問1問分をほぼ全員が取れない中での勝負になってしまい、合格者平均が大きく下がり、受験者平均と合格者平均の乖離が大きく縮まったと推測することができます。同時に理科が過去最高に受験者平均と合格者平均の差がついて合格寄与度を高めたことと捉えることができます。


依然として、算数で最も差が開いていることは事実であり、何はともあれ「開成の算数」を攻略しなくては合格が困難になる、逆に言うと「開成の算数」をライバルたちよりも得点することができれば非常に大きなリードをつけることができる、ということになります。



続けて、合否を決定づけている算数について開成の過去問からデータで分析した上、概観をお伝えいたします。

開成中学の算数概観

開成中学の算数 単元別出題比率

開成中学の出題分野の比率は集団塾のカリキュラム比重と異なる!

まず、算数の大きな単元別に過去11年間の配点を想定し集計した入試問題の分野別出題シェアと出題比率のグラフが以下となります。

(実際の正確な得点は分かりかね、あくまでも想定値での算出となります。)

出題得点シェアが高い順に、

1: 「速さ」
2: 「立体図形」
3: 「数の性質」「論理・推理」
4: 「平面図形(割合無)」
5: 「場合の数」
6: 「論理・推理」

となり、これら主要6分野が全得点の約75%を占めています。

これだけですと、「なるほど、まあそんなものかな」と思うかもしれませんが、一般的な算数の各分野にかける比重とは大きく乖離している事実があります。

それは、ほとんどの集団塾における高学年算数で、およそ30〜40%と、最も時間をかけている単元と言える
「文章題(割合有)」「平面図形(割合有)」と言う二大単元の得点比率が非常に低い(5%、4%)ということです。

つまり、通常の集団塾のテキストがあくまでも開成専用にできている訳ではなく大多数の学校の志望者を視野に入れなくてはいけない以上、一般的な出題頻度に軸足を置いてテキストや授業を進めざるを得ませんので、開成対策としてのリーチは弱くなります。
従って、あくまでも6年生の後半から開始する志望校別の特訓・家庭・プロ講師主導での特別な特訓が合否を握っていると言うことができます。

出題者である開成中学側の狙いとしては、集団塾でよく学習している内容を避ける意図があるかもしれませんが、
「文章題(割合有)」は「速さ」で十分に素養を判断することができると考えて省いている。「平面図形(割合有)」よりも「平面図形(割合無)」のパズル的な思考を要求している。
と、推察することができます。

開成中学の算数 難易度比率

この11年間に出題された問題を以下のように難易度レベルで表現しました。

A=開成受験者の大半が正答できる問題
B=開成受験者の中で、正答できるかどうかが分かれる問題
C・D=開成合格者でも出来ていない人が多いと思われる問題

その結果、A・B・Cの全体の比率としては以下のグラフのようになります。

概ね5割弱まではレベルA=つまり開成の受験会場にいる子供たちのほとんどが解けている問題です。そして、出来が分かれるレベルBが34%という構図になっています。

前段のところで合格ラインが66-75%というお話をさせて頂きましたが、A+Bで82%と言うことになりますので、レベルBまでの完答を狙いに行って難易度に応じてレベルBを数問落とした部分が合格ラインと言うことが出来ます。

その上で、最も差が開いた科目が算数、そしてその中で最も点差がついたのがこの難易度Bということになります。つまり、4教科全体の中で最もクリティカルに合否を決定付けた問題群こそが「算数×レベルB」と言うことができるのではないかと思います。

開成中学の算数 難易度×単元比率

一旦、難易度レベルごとに出題単元のシェアを見ていきます。

まず、「レベルA=開成受験者の大半が正答できる問題」です。

規則性・平面図形(割合有)・文章題(割合有)など、主要6単元以外の分野も数多く入ってきました。レベルAで落としてしまっては、そもそもライバルたちと戦える土俵に乗ることすらできませんので、6年生前半までに幅広く受験算数を学習する理由はここにあり、それ自体は非常に正しいと言えます。

また、一方で主要6単元の中で難易度の高い問題が多い「論理・推理」「立体図形」「場合の数」の割合が減っていること、「速さ」の割合が更に上がっていることも理解しておきましょう。

続いて、最も重要と言える「レベルB=開成受験者の中で、正答できるかどうかが分かれる問題」です。

なんと、驚くことに主要6単元「速さ」「立体図形」「論理・推理」「数の性質」「平面図形(割合無)」「場合の数」が全体の80%以上を占めていることが伺えます。過去11年で見ると「場合の数」が上位であったものが、近年では「論理推理」にシフトしていることが伺えます。

つまり、

「開成の算数で特に差がつく分野」=「合否決定に重大な影響がある分野」こそがこの6つの単元(「速さ」「立体図形」「論理・推理」「数の性質」「平面図形(割合無)」「場合の数」)の算数の学びだと言うことができます。

最後に、「レベルC・D=開成合格者でも出来ていない人が多いと思われる問題」です。

このレベルC・Dは、どれほど対策をしてもなかなか本番では得点に結びつかない・結びつきにくい問題が多いのが特徴で、試験中には一定時間を考えて「捨てる判断」を行うことも求められますし、対策においても「時間対効果」が低くなる傾向がありますので、時間をかけすぎないことも求められます。

主要6単元以外の分野「水と水グラフ」「文章題(割合有)」なども入ってきていますが、むしろ見て頂きたいことは主要6単元のうち「論理・推理」「立体図形」「速さ」の単元で、レベルCやDなど難易度の高い問題の割合が高いことを理解しておくことが重要です。

今年2020年の4番もまさにそう言う問題だったと言うことですが、

「論理・推理」「立体図形」(「速さ」)の難問は本番では捨てる判断も必要。
過去問を利用した対策の中でも「時間対効果」をみて時間をかけすぎない。

それでは、以下で主要6単元ごとの詳細分析と対策へと続けていきます。

開成の算数分野別の対策

ここでは、主要6単元のうちの上位3つ「速さ」「立体図形」「論理・推理」の詳細と対策について記載させて頂きます。

開成入試の「速さ」対策

まず、最も得点シェアの高い「速さ」についてです。

難易度:

「速さ」の単元のレベルごとの問題分布は以下の通りです。

開成中学の「速さ」のレベルごとの内訳

Aの比重が高く、残りをBとCで2:1に配分されている構成で、他分野に比べると易しく解きやすい特徴があります。

それでもレベルB全体の単元分布を見て頂くとお分かりの通り、「レベルB全体の中でも、立体図形と並んで速さが最も得点が大きい」のは事実であり、合格の為には絶対に合わせにいく必要があるのが「速さ」の単元です。

傾向:

開成の速さは、大きく「旅人算」と「時計算」の出題があり、前者は「線分図と比」あるいは「ダイヤグラム」を用いた問題で、後者は「真ん中影武者」「規則性」を用いた問題を出題する傾向があります。
反面で、これは開成に限らず関東の最難関校全般に言える特徴ですが、「通過算」「流水算」についての出題が非常に少なく、速さの中でも通常のテキストで学習する機会が恐らく最も少ないだろう「時計算」を出題してくる傾向があります。

また、開成の速さの特徴としては、非常に文章が長く「読解力」を試されていると言えます。入試問題の前半に配置され、時間的余裕がある中で遭遇することが多いので、しっかりと対策してきた受験者は長文で煩雑であっても、意外と時間をかけずに制圧することができ、気分良く次の問題に移って行くことができます。

少し具体的に見てみましょう。

2019年1番

開成中学2019年入試の1番

全問が「キョリ一定」で解けてしまう問題ですが、実際線分図系の問題は、線分図を書いた後に、「キョリ一定」「時間一定」を組み合わせて行くだけで簡単に解けるものがほとんどです。

対策:

大きく以下三つに分けた形での対策が有効です。

開成中学の「速さ」の対策

それぞれ使用するポイントが明確な問題が多い為、出題類似校の問題を「何を使って解くか」にこだわって経験していくことで万全に対策することができます。

また、開成に限りませんがダイヤグラムについては問題文の中にグラフが書かれていない中で、「ダイヤグラムを書く」と言う選択ができるかどうかで解答までの到達スピードや難易度が大きく変わってくる問題が多いことも特徴です。

次に、思考力「読解」「整理」についてです。

開成の算数は2018年は大きく易化・2019年は例年の傾向に戻り、2020年は思考力に大きく舵きり、と言うことで毎年のように揺れている印象を持ちます。ただし、より俯瞰して見ると大きな流れとして「思考力」への要求水準を上げてきていることは事実ですので、こちらに関しても意識しておく必要があります。

開成は速さに思考力の一種である「読解」を一貫して求めてきましたが、今年の「点の移動」については、読解した上で「整理すること」のハードルが高かった印象を持ちました。

それ故に、「読解」→「おきまりの線分図やダイヤグラムで整理」だけではない形の問題、あるいはそもそも整理がしづらい動きの問題が今後継続して出題される可能性があります。

対策としては、「読解」については開成・聖光学院の過去の出題を中心に当たっていくことで対応することができます。「整理」については「速さ」の問題に限らず、「自分なりの書いて状況を把握習慣をつけていくこと」と、「うまい整理方法を見て真似をしていくことで、自分の中に型を作っていくこと」が重要です。難易度が高い「まとまりづらい」問題のまとめ方を1つ1つ見て真似して自分のものにしていく一朝一夕では獲得できないものの、確かに合否を分けることになると思います。

なんとか解けたけど、「まとまっていないな」と思う時、必ず「どういうまとめ方」「整理の仕方をしているのだろう?」と疑問に思って「うまい方法」を学んでいくことが遠回りなようで思考力の一種である「整理」能力を獲得する一番の近道になると言うことも付け加えておきます。

開成入試の「立体図形」対策

次に近年6年では、「論理・推理」と同率で2番目に得点シェアの高い「立体図形」です。

難易度:

開成中学の「立体図形」のレベルごとの内訳

A・B・Cの難易度が綺麗にばらけており中でもBの得点比率が高い特徴があります。
また、「レベルB全体の中でも、速さと並んで最も得点力が大きい」のが立体図形であり、非常に重要な単元と言えます。

傾向:

大きく「投影図」「切断」「ダブル切断(共通範囲)」の3つの論点があります。

「投影図」は開成が伝統的に好む論点で、他校でこれほど「投影図」を出題する学校も少ない印象です。

また、より難易度が高く得点差が開きやすいものは「ダブル切断(共通範囲)」で、2014年・2015年と連続で出題されております。

2020年度は大問4番で「影」の難問が出題されましたが、開成は非常に古い時代にも「影の難問」を出題したことがあり、その現代版として解釈することができる問題でした。ベースになったのは2011年の灘中2日目の影の問題だと思いますが、灘中の問題の方が今回の開成の問題の方が難易度が高く設定されていました。

尚、近年のトレンドとして渋幕・聖光学院でも影の難問の出題があり、今後更に出題頻度が上がる可能性はあり、こちらも対策の必要があることは付け加えておきます。

対策:

「投影図」の対策は、過去問を中心に行うことと、時間があれば「立体切断の投影図を書いてみる」ことを訓練として行っていくことがベターです。

また、「ダブル切断(共通範囲)」ですが、2015年の開成4番の問題が京都の洛南高校附属中で前年に出題されていたものが出題されており、これ以降サピックスのSS志望校別特訓のテキストに関西系の問題を入れて行くように内容が変わったと言われる程にインパクトのある問題でした。

2015年4番

開成中学2015年入試の4番

故に関西の難関校の「ダブル切断(共通範囲)」の問題を経験しておく必要があります。具体的に立体切断の問題を探して取り組んで欲しいベンチマーク校は、「洛南高校附属、東大寺学園、灘」です。

近年の開成の立体図形は、関西難関校(洛南・東大寺・灘)の傾向を取り入れたものに変化しつつある

開成入試の「場合の数」対策

3番目は、レベルBで3番目に得点シェアの高い「場合の数」です。

開成の場合の数の問題全体のうち約半分がレベルB(つまり出来が分かれやすい)問題になりうことから、出題時に合否を分けやすい大問になる単元だと言えます。

傾向:

まず開成の場合の数について言えることは、「一般的な技術がそのまま活きることが少ない」点が特徴として挙げられます。

ほとんどの場合、思考力と言われるものの4つの能力の

●読解力

●整理能力

●誘導を解釈する力

●試行・検証の力

の4つ共が要求されるケースが多い問題を設計する傾向があります。

少し具体的に見てみましょう。

2020年1番

開成中学入試問題2020年1番

まず、問題文が長く問題が提示するルールや意図を適切に把握しなくてはいけません。次に、「どこで整理」するとピンポイントに問題の骨格を捉えることができるか、と言うハードルがあります。上記の問題では「差」で整理しにいくことが重要でした。最後にやや試行・検証して最終的な答えを導き出す、と言う問題の作り方の問題でした。また、2019年では「読解」「誘導」、2016年は「整理」「誘導」と、思考力を試す問題を出題する傾向があります。

対策:

開成の場合の数の単元において技術一本ではほぼ最終の答えまで到達できることはありません。そうではなく、広義の思考力である「読解」「整理」「試行検証」「誘導」の4つをそれぞれに鍛えていくことが最も重要な対策になり、同じく頻出6単元のうちの「論理・推理」の単元と似た対策になります。

とは言え、対策としては他の単元以上に短期的な習得が難しく、長い時間をかけて身につけて行くことが求められます。秋以降の対策としての時間対効果は相対的に高くない為、優先順位を下げるものの、とは言え思考力が落ちないように習慣的に取り組み続けることもまた重要になります。

また、サピックスにおいて特に顕著だと思いますが、低学年の頃から「思考力問題」に取り組む意味合いがここにあります。但し、実は「適切にアプローチして行く為の型」はあり、上記のようにゴールとしての開成入試の「場合の数」の作り・構造を理解した上で、

思考力問題に挑む際に、
「その問題の意味は何か」を考えること
「適切に整理する方法」を考えること、うまい整理方法を真似ていくこと
「その誘導の意味は何か」を考えること
「試行錯誤して、答えであること、答えではないこと」を明らかにすること


だと思います。

また、答えにたどり着けなかった場合に、「どうすれば気付くことができていたのか」を振り返って考えて言い、書くと言うことも効果を発揮してくるだろうと思います。

開成志望者向けの対策・動画サービス

最後にお知らせとなります。

中学受験コベツバでは、上記の分析・出題傾向を踏まえて、開成中学志望の子供たちを対象に、以下のサービスを配信をしております。毎年、多数の開成志望者が算数強化を目的にコベツバを活用して、開成中に合格しています。

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