「熱量」を向上させる方法

今回は「熱量」を向上させる為の方法について記載させて頂きます。

前回の記事において、熱量を発揮できない原因について記載させて頂きましたが、それぞれの場合に応じた解決策を提示させて頂くことで、少しでも保護者様がお子様の熱量を向上させる為の助けになればと考えております。

1: 熱量をかけても、結果が伴うと信じられていない場合

まずは、なにはともあれ、「熱量をかけて結果が出る」を経験させにいくことから始めます。一度でも、「熱量をかけて結果が出た」という強い記憶があれば、次もそうなるかもしれないから努力量を継続しよう、もっと努力しようという気持ちが発生するからです。

具体的に言いますと、SAPIXでは、デリチェです。
デリチェは非常に努力が結果に反映されやすい為です。

また、前回の記事でも記載させて頂きましたが、熱量をかけさせる場合には、注意が必要で、本当に結果が出ると思ったのに出なかった場合、更に「どうせ努力しても無理だし」という思いを持たせてしまいます。従って、算数であれば、前回までとの継続性が低く、「今回頑張れば十分に成果が出る」単元に狙いを絞って行うとベターです。

ただ、とはいえ、最初の一歩は経験がない中で動かなくてはいけません。その初動の動きは、信頼できる他者または他者の伝聞でも良いので、お子様に働きかけることで「一度信じて、努力してみる」状態を作る必要があります。

トロッコのような車を想像して頂くとお分かりの通り、この初動部分には非常に難しさがありますので、これまで一緒にやってきた伴走者ではなく、新しい先生に言ってもらったり、また新しい先生からこのように聞いたという形で、子供に伝達していくことが重要です。

特にこれまでも伴走者と一緒にやってきたけれども結果が出ていないという場合、子供はその伴走者の言うことを心から信じられる状態にはありませんので、やはり人を変える必要があると言うことになります。

2: 熱量をかけずとも、結果が出せると間違って信じている場合

中学受験に限らず、全ての競争ごとにおいては、努力と才能の双方が必要となります。例え、才能があろうとも努力なしでは登れる段階はせいぜい知れています。習得した知識の上で、試行錯誤を行い解答まで導いていくのは、筑駒にせよ麻布にせよ聖光学院にせよ、変わりません。

往々にして、このタイプは思考力問題に強く、デリチェ・マンスリーは弱いものの、組み分け・SOに強い傾向がありますが、残念ながら5年生の学びをおろそかにしていくと、6年生になってから、または秋以降に「知らない」が故に、手が出ない部分があり、大きく点を落としてしまう傾向があります。また、難関校になればなるほど、基礎を徹底しているライバル達が当然ながら増えてきますので、どこまでもやはり限界に達します。

これらのことを、本人に伝達して、日々の努力を積み重ねていく重要性を認識してもらう必要があります。「できているのは、今だけであり、来年や入試もそのまま上手くことはない」と言うことを、多数の生徒を見てきた先生から伝達していくことで、自己認知を改めるきっかけを作ります。ここも、保護者様では難しい点になりますので、塾や個別の先生に話してもらうと良いでしょう。

3: 興味関心がない場合

関連付け、が鍵を握ります。

そもそも優れた授業やテキストは、子供が持っている興味関心と結びつけることで、興味関心を高めていく工夫がなされていますが、そこはどうしても個別性部分があります。

少なくとも大切にして頂きたいことは、「面白くないもの」として同意しないこと、です。

人参は美味しくない、
ピーマンは美味しくない、
初めはそう思うこともあるでしょうが、

ご家庭で保護者様が美味しそうに食べていることや、美味しいと言っていれば、たまに食べてみようと言う気持ちになります。

勉強も同じです。
少なくとも身近にいる信頼が持てる大人が「そうは言っても、結構美味しいよ、例えばこの味。確か、こういう味は好きだって前に言っていたよね。」と言うように、伝え続けていくことで、「意外と嫌いじゃないかも」と言う認識を生み出していくことができます。

また、前回の記事にも記載させて頂きましたが、成果が出ていれば自然に好きになっていく傾向もありますので、成果を上げていくこともまた重要です。

4: 目標が明確ではない場合

目標を明確にしましょう。
明確に、いつのなんのテストで何点とるか、と言う成果についての目標です。

また、特に最初に貼る場合は、「おそらく頑張れば、達成できそうな目標」から貼っていくことが良いでしょう。その理由は、初めの目標からつまずいてしまうと、目標を目指すこと自体を避けがちになるからです。初めは達成できる可能性が高いものを目標にし、少しずつ達成が難しい目標を貼っていくことです。

具体的には、デリチェの得点からスタートしその目標得点を上げていき、その次にマンスリーの得点、そして組み分け・SOの得点と言うように移行していくことが綺麗な目標の貼り方だと考えます。

5: 側に伴走者がいない場合

できる範囲内で、伴走者になってあげましょう。物理的にずっと一緒にいることが難しくとも、伴走感を出すことは可能です。

何かが終わったら、報告をさせて、それをまずは褒める。過去と比べて賞賛する。そして次に向かってもらう。勿論、対面でできれば良いのですが、例えばLINEで報告をしてもらって、それに返事をしていくことであれば、忙しくとも一定できなくはないかと思います。

ここでは、「自分の頑張りを見てくれているんだ」と子供が思ってくれるかどうか、が重要ですから、一部始終をずっと見ているかどうかよりも、「見てくれているように感じた」というコメントができるかの方が遥かに大切だと言えます。

「せっかく頑張ったのに、その頑張りを評価してくれていない」と思えば、もう頑張るのはやめようかな、と言う気になってしまいます。勉強の内容面に対して色々と思うことがあったとしても、熱量を上げたいのであれば、まずは先んじてその頑張りを褒めて上げることが重要です。

 

以上

ここでは熱量を発揮できない場合を挙げて、それぞれに対応した形での方法を記載させて頂きました。その中には、保護者様だけでは完結できないものも含まれますが、それはある種当たり前ですかな、何も恥ずかしいお話ではありません。上手く信頼感のある先生を巻き込んで活用しながら、お子様の熱量を向上させることを実現して頂ければ幸いです。