いつも記事を拝見させて頂いて参考にさせていただいております。サピックス4年生の母です。先日のマンスリー確認テストの記事「マンスリー確認テストの学習・管理方法詳細」を拝見させていただきました。「復習スパイラル」ということですが、サピックス(SAPIX)では、デイリーの4回分の復習として総合回があったり、基礎力トレーニングそのものも復習だとお聞きしております。また、サピックスは1年間で3回全単元を勉強するスパイラル方式と聞いております。それだけではやはり、マンスリーの対策としては不十分なのでしょうか?
いつも記事をお読み頂き、またご質問頂き、本当に有難うございます。
まず、結論から、申し上げますと、ほとんどのお子様にとって不十分です。
もし、デイリーサピックス/サポートの復習の回や、基礎力トレーニングだけで本当に十分であれば、多くのお子様がマンスリー7割5分(5、6年生でも7割)に到達できているのではないか、と思うからです。勿論、それだけで十分なお子様も一部いらっしゃることは事実ですが、全体の結果が示す通り、また数多くのサピックスのお子様を見てきた経験からも、難しいことがほとんどであると考えております。
その理由ですが、デイリーサピックス/サポートの復習の回は、どうしても掲載されている論点の数が少なくなり、そこに掲載している以外の論点の穴が残ってしまう為です。特に平常授業の学習においては、デイリーサピックス/サポートで学習する★2までの論点は、無駄なものはほとんどなく、むしろ厳選されており、上の学年に進級した後、論点理解が欠けている場合、授業についていくことが難しくなってくることすら考えられますので、復習の回だけに頼ることなくデイリーサピックス/サポートを網羅的に学習して頂くことがより重要であると考えております。
(補足となりますが、6年生からは「復習の回」はありません。だからと言って6年生で習う内容は5年生の復習というわけでは全くなく(一部復習もありますが)、多くの新しい重要な論点を習得していくこととなります。つまり、6年生になるまでに「復習の回」に頼らずとも1回1回の内容を身につけ、定着させる学習習慣を身につけておく必要があるのです。)
また、ご相談者様がおっしゃられる通り、4〜6年生前半に渡って確かにサピックスは全単元を何周もスパイラル方式で積み上げるカリキュラムを組んでいますが、内容は当然ながら前回の学習が理解できている前提で組まれているため、出会うたびに新しいものを習得し、難易度も上がってまいります。
加えて、「単元名」としては同じでも「習得すべき論点」が全く異なる場合もございます。例えば、単元名が同じ「平面図形」でも「動きのある・なし」「割合のある・なし」によって、習得すべき論点は大きく異なります。1年間の間に平面図形が3回ある、と言っても7月に習った論点を12月にもう一度触れられるとは限らないのです。
次に、基礎力トレーニングですが、「論点の復習」としてはこちらも不完全です。基本的には算数の学習上「材料」として頻繁に使うことになる「一行問題」が中心に構成されており、それを瞬時に取り出していく訓練としては非常に有効なのですが、ご存知の通り、4年生以上で学習する論点は、決して「一行もの」だけではありませんので、これだけで復習が完了するかというと、どう考えても難しいのが実情です。
恐らくご質問の意図としては、既にサピックスのカリキュラムで十分な復習ができているのではないか、という疑問を持たれたのだと思いますが、実際のマンスリー確認テストの結果(平均5割5分)や、これまでの多くのサピックスの子供達を見てきた限り、それだけではほとんどのお子様が十分な復習にはなっておらず、あくまでもご家庭が主導権を持って復習に対して積極的・計画的に取り組んでいくことが重要だ、ということです。
ご確認の上、少しでもご参考になれば幸いです。