聖光学院中入試の解体新書 | 過去問データに基づく算数傾向分析と対策
『聖光学院中学入試の解体新書』とは?
聖光学院中学の直近10年間の入試を解体・徹底分析し、一般の方からは非常に見えづらい入試および入試問題の特徴を明らかにすることを通じて、世間一般で言われている常識とは異なる考察をお伝えし、入試突破にあたっての体系的な指針を提供することを目的としております。
入試対策において「全ての科目、全ての分野、全てのポイントを対策すること」は時間と能力に余裕があればそれがベストです、でもそれはあくまでも理想論です。
現実は、時間との戦い・屈強なライバルたちの戦いであり、その為には、時間対効果が高いと考えられる勉強を入試突破に向けて戦略的に行う必要があります。
改めて丁寧に分析して判明したことは、聖光学院中学は出題分野における偏りがあり、子供たちに求める能力も一貫しており、どの分野で合否を分けているかが推測できる学校と言えます。
まだ志望校対策に腰を据えて取り組む前段階である5年生や、追加の学習の余裕がない6年生前半でも、志望校を意識し、頻出単元の応用・発展技術には積極的に手を伸ばしていくことで、6年生後半の志望校別特訓クラスのスタート時点でライバルと数段の差をつけることもできるでしょう。聖光学院突破の頂に向けて最短・最速で登って頂く為に、是非ご活用頂ければ幸いです。
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最新の入試である、2021年の聖光学院入試の問題や解説動画速報、難易度・傾向分析などは以下からご覧頂けます。
【入試速報】2021年聖光学院中 算数解説動画と難易度分析・対策
1: 2021年入試の基本データ
1-1: 聖光学院中学80%偏差値(サピックス/四谷大塚/日能研)
第1回
| サピックス | 四谷大塚 | 日能研 |
2021 | 64 | 70 | 69 |
2020 | 64 | 70 | 70 |
2019 | 64 | 69 | 69 |
第2回
| サピックス | 四谷大塚 | 日能研 |
2021 | 65 | 70 | 70 |
2020 | 64 | 70 | 70 |
2019 | 64 | 69 | 69 |
1-2: 聖光学院中学の受験者・合格者数・受験倍率推移
第1回
| 受験者 | 合格者 | 倍率 |
2021 | 596 | 221 | 2.7 |
2020 | 697 | 231 | 3.0 |
2019 | 618 | 228 | 2.7 |
2018 | 640 | 240 | 2.7 |
2017 | 645 | 242 | 2.7 |
2016 | 703 | 241 | 2.9 |
第2回
| 受験者 | 合格者 | 倍率 |
2021 | 500 | 124 | 4.0 |
2020 | 612 | 105 | 5.8 |
2019 | 569 | 91 | 6.3 |
2018 | 501 | 101 | 5.0 |
2017 | 532 | 101 | 5.3 |
2016 | 597 | 100 | 6.0 |
倍率は年による変化はあるものの、第1回は約3倍弱、第2回は約5-6倍で推移していることが見て取れいます。特筆すべきこととしては、第1回から第2回にかけて、50〜100名程度の差しか生まれていないことです。第1回の合格者約230名が抜けた後も、3日までに聖光学院を受験せずに抑えの学校を確保できたお子様が、2月4日にチャレンジとして受験される方がいらっしゃるのではないかと思います。人数の違いはあれども、偏差値からわかるように第1回と第2回で受験生の違いはほとんどないことが窺えます。
1-3: 聖光学院中学の合格最低点・合格者平均点・受験者平均点
第1回【4科目】
| 合格最低点 | 合格者平均点 | 受験者平均 |
平均 | 327.6(66%) | 355.9(71%) | 307.6(62%) |
2021 | 320 | 352.5 | 306.7 |
2020 | 342 | 366.3 | 312.9 |
2019 | 336 | 364.1 | 316.4 |
2018 | 341 | 368.3 | 322.5 |
2017 | 334 | 363.5 | 316.8 |
2016 | 318 | 346.3 | 297.6 |
2015 | 302 | 330.3 | 280.5 |
合格最低ラインはおおよそ7割(男子の難関校の中では開成と並ぶ高得点ライン)で、年度による難易度の揺れは比較的少ない学校となっています。
2015年算数の難易度が上がったため平均点が下がっていますが、それ以降は安定した得点であることから、この年が難しくしすぎたということで以降の難易度はできるだけ一定になるように調整されているものと推察することができます。
第1回【算数】
| 合格者平均 | 受験者平均 |
平均 | 105.3(70%) | 82.9(55%) |
2021 | 96.3 | 72.5 |
2020 | 107.1 | 84.1 |
2019 | 108.6 | 85.3 |
2018 | 117.0 | 94.1 |
2017 | 118 | 97.8 |
2016 | 84.7 | 63.5 |
算数は2016年第1回が難化傾向にありますが、基本的には7割程度得点できれば合格者平均に乗ることが多いでしょう。ボーダー層のお子様の場合は、65%程度の得点率でも他科目がしっかり得点できれば合格できるものの、3問に2問以上は死守する構えで望む試験と言えます。算数も男子最難関の中では開成・筑駒と並ぶ高得点勝負であることが窺えます。
第2回【4科目】
| 合格最低点 | 合格者平均点 | 受験者平均 |
平均 | 331 (66%) | 350.4 (70%) | 293.5 (59%) |
2021 | 304 | 325.8 | 272.6 |
2020 | 329 | 347.4 | 291.1 |
2019 | 338 | 359.9 | 292.3 |
2018 | 336 | 357.3 | 306.4 |
2017 | 347 | 363.3 | 306.4 |
2016 | 347 | 362.9 | 305.1 |
2015 | 316 | 336.1 | 280.5 |
2015年は、第1回・第2回共に平均点が低く出ています。しかしそれを除くと、2016年から2020年までの平均点はほぼ一定な様子が見られます。平均点が同様になるように難易度を細かく調整していると推測することができます。特筆すべきは「第2回・第1回の合格最低ライン67%・合格者得点率71%にほとんど相違がないこと」です。決して問題が簡単になったわけではなく、問題、第1回・第2回、全く同じ難易度・傾向で作成されています。ここから、聖光学院は第1回・第2回共に同じ基準を満たしている子供を合格させることを目的に試験を構成していると言えるでしょう。
その他もう1つの特徴としては、第2回の受験者平均が低く出ていることです。聖光学院第一志望のご家庭で、第1回に不合格を経験するお子様もいらっしゃると思います。確かに第2回は倍率が高くなっているとは言え、「結局のところ第1回と同じ」試験だと思いましょう。決して第1回より合格が難しいと言うことはありません。
受験はどうしても1回きりの勝負ですから、第1回で問題との相性が悪かったなどの理由で「もう一度受けていれば合格したはずのお子様」が多くいらっしゃるのだと思います。そういったお子様を合格させるために2回チャンスが与えられているのだと考えて、「自分こそが合格する」と気持ちを強く持って受験して欲しいと思います。
第2回【算数】
| 合格者平均 | 受験者平均 |
平均 | 110.2 (73%) | 85.1 (57%) |
2021 | 98.5 | 77.0 |
2020 | 109.8 | 86.1 |
2019 | 115.3 | 88.4 |
2018 | 117.0 | 89.0 |
1-4: 聖光学院中学の科目別配点と試験時間
| 点数 | 制限時間 |
国語 | 150点 | 60分 |
算数 | 150点 | 60分 |
理科 | 100点 | 40分 |
社会 | 100点 | 40分 |
やや、算国に傾斜がかかった配点となっております。
1-5: 聖光学院中学の算数の合格への寄与度
第1回
| 合格者ー受験者 | 算数の合格寄与度 |
| 4科目 | 算数 |
---|
平均 | 48 | 22.4 | 46.7% |
2021 | 45.8 | 23.8 | 52% |
2020 | 53.4 | 23 | 43.1% |
2019 | 47.7 | 23.3 | 48.8% |
2018 | 45.8 | 22.9 | 50% |
2017 | 46.7 | 20.2 | 43.3% |
2016 | 48.7 | 21.2 | 43.5% |
第1回「4科目別合格寄与度」
| 算数 | 国語 | 理科 | 社会 |
平均 | 46.7% | 24.2% | 17.3% | 13.2% |
2021 | 52% | 0% | 0% | 0% |
2020 | 43.1% | 26.4% | 16.7% | 13.7% |
2019 | 48.8% | 17.4% | 19.5% | 13.8% |
2018 | 50% | 22.7% | 15.3% | 11.6% |
配点は150点/500点(30%)であるにもかかわらず、算数の合格寄与度が40%以上と非常に高くなっており、開成と同じ水準になっています。算数が合格・不合格に大きく寄与していることがわかります。
その背景を推察いたしますと、まず、聖光学院が「努力が報われるテストにしたい」と考えているため、思考力が要求される栄光や麻布とは違い、高度な技術や読解を求めるものになっています。
高度な技術と言っても、塾で全く習わないような学校独特の発展技術は出題されませんから、しっかり技術を勉強し、問題を読解できれば得点できる内容になっています。
そのため、受験者の中で合格できる層のお子様にとっては得点が取りやすく、逆にまぐれで得点できる問題は少ないため、合格者と不合格者の差が開いているのだと推測されます。
第2回
| 合格者ー受験者 | 算数の合格寄与度 |
| 4科目 | 算数 |
---|
平均 | 57 | 25 | 43.9% |
2021 | 53.2 | 21.5 | 40.4% |
2020 | 56.3 | 23.7 | 42.1% |
2019 | 67.6 | 26.9 | 39.8% |
2018 | 50.9 | 28 | 55% |
2: 聖光学院の算数対策(頻出分野・レベルと策方法)
2-1: 聖光学院算数の難易度構成
おおよそ半分がレベルA、40%がレベルBとなっています。
合格者平均がレベルA全問+レベルBの半分以上、受験者平均合格最低点がレベルA全問+レベルB少し、ということですから、合格を目指す場合は、レベルAは全問取り切った上で、レベルBを3分の1〜半分合わせることを目指せば良いでしょう。
2-2: 頻出分野×レベルの特徴
聖光学院の頻出分野は「速さ」「場合の数」「立体図形」「平面図形(割合あり)」で、この4分野だけで全体の約半分を占めていることがわかります。
レベルAは、ほぼ全体の平均と同じ分野が上位に食い込んでいますが、各分野別ともに13%程度ということから、「速さ」「場合の数」「立体図形」「平面図形(割合あり)」に加えて「数の性質」「四則演算」「規則性」は満遍なく出題されていると考えられます。
レベルBは「速さ」「場合の数」「立体図形」この3分野で全体の半分を占めています。
合格者平均がレベルB半分ということはこの3分野、さらに平面図形(割合有)を抑えるだけでも十分合格可能性がある、と考えられます。
後述しますが、特に「速さ」はレベルCDでの登場が稀であるため、難問である確率が低く、ぜひ得点して欲しい分野になります。
レベルCDは全体の10%で毎年1-2問出題される程度で、得点できる必要はありません。
レベルCDはレベルBよりさらに「場合の数」「平面図形(割合あり)」「立体図形」偏った結果となりました。
特に「平面図形(割合あり)」はこれまでのレベルから大きく割合を上げており、平面図形の問題が出てきた場合、難問である可能性も高いと考え、解法が思いつかない場合は回避することも視野に入れておきましょう。
2-3: 聖光学院頻出の「速さ」の対策
聖光学院の「速さ」は問題文が非常に長く(問題ページの上半分が文字というケースが多い)、グラフや図もあまりないため、しっかり自分で状況を読解し、その上で「線分図」なり「ダイヤグラム」なりで、整理する必要がある問題です。文章の長さという点では開成と似た内容になっています。
あまりこういった長い文章の速さにはなかなかテキスト中に出てこないため、慣れていないお子様が多いのですが、実は必要な技術が多種多様に渡るということはありません。
最後のオチは、王道の「距離一定・時間一定」であることが多いのです。
突飛な閃きが必要ない分野なので、しっかり技術を積み上げて、読解の訓練を積んできたお子様なら、得点できる分野になります。
レベルCDの出題も少ない解きごろの問題が多いことから、聖光学院を目指すお子様であれば必ず得点できるようになって欲しいと思います。
線分図系がメインであるものの、2020年はダイヤグラムを自分で書くことが求められる問題が出題されました。
聖光学院志望のお子様は、低学年のうちから、長文の問題(大型テストのラストの大問など)を完全に避けてしまうのではなく、「まさに聖光学院志望の自分にとって必要な問題」だと思って、しっかり取り組んでおきましょう。
また、5年生で割合を用いる速さを学習してからは、しっかり復習を行うとともに、コベツバ利用者の方は「コベツバweb授業」や「TopGun特訓」で「線分図系」「ダイヤグラム系」の両方の問題を応やり込んでおくことが効果的です。
●中学受験算数の「速さ」の重量級の問題を集めた問題集「Top Gun特訓」
聖光学院頻出かつ狙いどころの分野である「速さ」の対策として効果的な教材です。発展的な技術も必ずポイント動画と一緒に学ぶことができ、普通のテキストではなかなか扱わないような聖光学院級の長文の速さを開成・桜蔭・麻布など類似する傾向の学校と共に体系的に学習することができる教材です。
2-4: 聖光学院頻出の「場合の数」の対策
聖光学院の「場合の数」は、開成が思考力に比重を置いていることとは全く異なり、(1)(2)で場合の数の応用技術、(3)(4)はその上で思考力の中の整理や試行検証を求める問題が出題されています。他校と比較すると渋幕と似ている傾向であると言えるでしょう。
(1)(2)からかなり応用的な技術を求める異例の構成(通常はこういった応用技術は最後の小問に持ってくることが多い)のため、「最初から詰まってしまって、全く手が出ない」お子様から「聖光学院の場合の数が苦手」というお声をいただくことが多いです。
場合の数の(1)(2)でつまづいているお子様は「テキストのなかで少し紹介されていた応用的な場合の数の技術」がまだ習得できていない可能性が高いでしょう。こう言った技術は過去のテキストや、またはコベツバを利用されている方は「コベツバweb授業」にて技術を網羅的に復習しておきましょう。
●中学受験算数の分野別動画教材と参加型確認テストの「コベツバweb授業」
頻出単元である「場合の数」「立体図形」の標準〜応用的なポイント理解には、分野別×ポイント別の的確な解説を行っているこちらのサービスが有効です。
2-5: 聖光学院頻出の「立体図形」の対策
聖光学院の「立体図形」は、渋谷幕張のように非常に珍しい技術が出題されるということはありません。
しっかりテキストの応用レベルまでの「影」や「切断」をクリアできていれば、解けるはずの問題が出題される傾向にあります。
2-6: 聖光学院頻出の「平面図形(割合有)」の対策
聖光学院の「平面図形(割合あり)」は、聖光学院の特徴が顕著に現れる分野です。
「等底図形」や「正六角形分割」など聖光学院好みの技術が何度も登場しており、確かに難しい問題ではあるのですが、過去問をしっかりやり込んだお子様にとっては得点できる内容になっています。
学校側もそれを前提としているのか、(1)(2)から(普通から考えると)相当難しい技術が出てくるのですが、おそらく得点できているお子様が多いのではないかと思います。
他の分野は、特に聖光学院ならではの特徴が顕著というわけではありません。
ある種「しっかり難関・最難関向け」の学習を行なっていれば、解けるはずの問題が多いので、特に聖光学院が併願になる開成志望者も開成の対策で十分得点できる問題が多いはずです。
しかし「平面図形(割合あり)」だけは聖光学院の個性が強い問題になるので、聖光学院が第一志望の方は必ず得点できるように過去問を遡って解き込んで欲しい分野です。
3: 聖光学院中学志望者向けの対策・動画配信サービス
最後にお知らせとなります。
中学受験コベツバでは、上記の分析・出題傾向を踏まえて、聖光学院中学志望の子供たちを対象に、以下のサービスを配信しております。
●1:サピックステキスト解説・SS解説・テスト解説の『StandBy(スタンバイ) for SAPIX』
サピックス(SAPIX)算数テキスト全問動画解説サービス『StandBy(スタンバイ)』を始動
●2:コベツバ予習シリーズ解説
予習シリーズ+各種問題集の全問動画解説。ポイントと一緒に学ぶことで深い理解と得点アップにつなげよう!
●3:最難関志望校別動画特訓「TopGun特訓」
聖光学院中学志望者がライバルから頭1つ突き抜けるための発展技術を体系的に学ぶ。5年生・6年生対象。
●4:コベツバ過去問動画解説
トッププロ家庭教師によるライバルに差をつける技術を学べる解説動画と、過去問に取り組むご家庭を支える、問題難易度・重要度分析・お子様の苦手分析機能。
●5:中学受験算数の分野別動画教材と参加型確認テストの「コベツバweb授業」
聖光学院中学志望のライバル達も多数利用中!トッププロ家庭教師による解りやすい解説で、聖光特有の幅広いポイント出題に対応する力を身につける。
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