新学年がスタートしてから3-4ヶ月。今の勉強法で結果が出ていないご家庭からの相談をいただきました。
今回のコベツバradioでは結果が出ていない学習上の3つの原因をご紹介した上で、それぞれの解決策をご紹介いたします。またその後、寄せられたご相談を取り上げて回答して行きます。
1: 3つの課題とは?
1:46から再生
3つの課題のうち、下に行く方が出口(=得点を取ると言うゴールに近い)
習得課題
技術を理解して、数値替え問題以外でも取り組むことができる
定着課題
一度理解した技術を忘れずに覚えている。もう一度技術を復習すれば、すぐに思い出せる
検索課題
問題を見た時に「このポイント(技術)を使うのだ」と気づくことができること
習得・定着に課題がある場合は「~~の技術を使うよ」「~がポイントだよ」と言われてもすぐに解けない。「なんだったかなあ」となる。
2: 課題があってもまだ間に合う?
4:00から再生
習得や定着に課題があるお子様でも6年生の前半であればまだ間に合う。
特に6年生は、5年生後半以降加速度的に習ってきたため曖昧な理解なまま進んでしまっているものもあり、習得や定着に課題があるお子様も多い。
6年生秋以降、一度習った論点をごちゃっと混ぜた実践問題に触れる機会が増え、その訓練を通じて「検索能力」が飛躍的に高まる。6年の秋・冬からグッと点数が上がった、何かが繋がった、というケースが多いのはこれが原因。逆にそこまでに「習得」「定着」の課題は必ず克服している必要はある。
3: どの課題か見分けるにはどうしたら良いの?
3-1: 習得の課題を発見するには?
9:00から再生
お子様自身の「分かってる/分かっていない感度」をあげ、課題を特定していくこと遠回りのように見えて実は重要。
本来は、お子様自身がが自分の状態を言葉で
「全く分からない」「そうだったけど忘れていた」「パッと見てどのポイントを使うか思い出せなかった」
と言える状態が理想。
そう言えるようになるためには、自分自身の理解度に対する感度を上げて「まだ少しわかっていないかもしれない、不安だ、もう少し練習を積んだ方がいい」ということを感じられるようになっていく必要がある。とはいえ、最初からこれができる子供は決して多くはない。
まだ、感度が低いお子様の場合は、アウトプット(解説・解説動画を見た後止めて自力で解けるか、数日置いて自力で解けるか)で習得しているかどうかを判断する必要がある。
◯追加の学習を避けたいため、自分に対して甘く判断してしまうタイプ
「まだ理解できていないかもしれないから、もう一度解いて確かめておこう」という慎重な態度で理解度を確かめる練習を行う中で、「実際できなかったからもう少し慎重にやっていこう」という自覚を醸成し、感度を上げていく。
◯全てが不安なので、とりあえず全部やり直すタイプ
さっきとは逆に理解度が十分な問題を自分で決めてできた→次は、その問題を省く→それでもテストなどでできた、という成功体験を積んで少しずつ量を減らしていく
上級者になれば、「この問題は解けたけど、他の問題で解けるか不安なのでもっと練習しておきたい」という状態になる。この状態になれば、学習効率が上がる。
一気に感度を上げることは難しいけれども、中学受験に向けた学習の中で自分の理解度に対する感度を養っていくことが実は鍵になる。今すぐは無理でも、アウトプットで測る中でお子様自身も自分の理解度に目を向ける機会を作っていきましょう。
3-2: 定着の課題を見分けるにはどうしてらいいの?
17:56から再生
解説・解説動画を見たときに「ああ、こんなポイントがあったなあ、存在を忘れていた」という言葉が出てくること。
解説、解説動画を全て見れば、すぐに自分で再現できる、類題も解ける場合、「習得はしているけど定着はできていない」と判断する。
もし習得までできていない場合は、再現できるまでにもっと時間がかかるものなので、すぐに思い出せる場合は「定着」に課題があると言える。
3-3: 検索の課題を見分けるにはどうしたらいいの?
18:38から再生
解説の冒頭・解説動画の前15-30秒程度を見ただけで、解ける
ポイント(解法)の名前を聞いてすぐにこのポイントだ!とわかる
4: それぞれの課題へのアプローチ方法
4-1: 習得の課題
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数値替え問題(マンスリー前半)はできるけど、それ以外の問題に弱い場合はStandBy類題やコベツバweb授業などを通じて同じポイントで異なる角度で問われる問題に取り組むこと
4-2: 定着の課題
21:34から再生
習得課題とやるべきことはあまり変わらないが、違いは「周辺の分野も合わせて復習すること」。理由は「ピンポイントである論点だけ弱い」ケースよりも「◯ヵ月前に習った◯分野の複数論点を忘れている」ケースが多いため、周辺分野も含めてあぶりだした方が良い。
市販教材の分野別テキスト、コベツバweb授業の分野別教材などを利用して鍛えて欲しい。
※もし、この1-2ヵ月で復習した分野であるにも関わらず、解法が(ポイントがわかっていても)するする解けない場合は定着ではなく習得に課題がある可能性があるので要注意
4-3: 検索の課題
26:37から再生
検索の課題が弱すぎる場合は、たとえ、習得・定着に問題がなくても、絶望的に点数が取れなくなってしまうので、一定程度は鍛えておかなければ得点につながらない。逆に検索を鍛えると飛躍的に点数が伸びるのは、最終的に得点を取る最後のピースだから。
言葉にする
理想としては「自分なりの解法のポイントを書いていくこと」そこまで言葉で出ないお子様であれば「ポイント名を書く」ところからスタートしても良い。「さっき習ったあれ」ではなく、言葉にして記憶していくことが重要。
整理する
コベツバのポイント動画を見れる場合は、「~~の時にこのポイントを使います」というポイント動画冒頭・最後のまとめの部分を自分なりにまとめていくことも1つの手。
分野の中で様々な論点を混ぜて取り組む。
市販・コベツバweb授業の分野別教材や過去のマンスリー/組分け対策、テストそのものを利用していくこと。ただしポイント名が統一されていた方が良いので、コベツバの教材を利用中の方はポイント名を統一されている教材の方が効率が良いかもしれない。
5: 寄せられたご相談
5-1: 数値替え問題はできるけど、少し変化球になった問題には対応できない
35:45から再生
数値替えの問題は解けるのですが、マンスリーテストに出てくるようなテキストの類題、基礎から標準レベルの初見の問題が解けないため、悩んでいます。
まずこの状態は「そもそもポイントが理解できていない」状態で習得課題そのものである。
StandBy類題・コベツバweb授業など「まさにさっき取り組んだ問題と同じポイントと同じポイントの形を変えた問題」に取り組んでいることが重要。
その2種類で類題が足りない場合は、5年生のテキストに戻って「同じポイントの類題」を一気に取り組んでいくこと、も1つの手になる。
市販のテキストはポイントがピンポイントで書いているわけではないので、まさに今やったところの問題に取り組むことが難しい。保護者様が判断して適切な問題を取り出せる場合はそれでも良いが、もしできない場合、市販のテキストに挑戦するのは、その分野の習得課題を一定クリアしてからの方が効率的。
5-2: 4-5回テキストを繰り返して学んで、週単位のテストは8-9割得点できるけれど、マンスリー確認テストになると得点が振るわない。
42:35から再生
いつもコベツバさんにはお世話になっております。
今日は、子どもの成績がなかなか上がらないのでアドバイスを頂きたくメールいたしました。コベツバを活用し、週4〜5クール問題を解き、授業前テストではほぼ8割を超えています。
しかし、マンスリー、確認テストでは30台となってしまい、5月は少し持ち直し42です。テストでは1〜3の計算、小問題のミスも多いため、この休校期間中、過去のテストのやり直しをするなどかなり算数をやり込んでいます
やっている割に結果が出ないので、根本的なやり方が間違っているのではないかと焦ってしまいます。子どもはテストの度に、また出来なかった、次も次も出来ないと落ち込む一方。何とか頑張ってる分の結果と達成感を味合わせてあげたいのですが、、、。何か良いアドバイスがありましたらよろしくお願いします。
まず4-5回で8割得点する、というのは少し回数が多すぎるので、「もはや作業、丸暗記」として正解している可能性が高い。週2-3回で仕上げていくことがまず目標になる
◯方針1:同じ問題・数値替え問題以外のバリエーションのある問題に取り組んでいくこと
StandBy類題・コベツバweb授業の類題に取り組んでいくこと
◯方針2:4-5周やることよりも、1回の質を上げる
自分の言葉で書く、保護者様に説明する、など自分で言葉にして「どうやって解いたのか」「なぜそうやって解けるのか」を説明する機会を持っていくこと
※ ミス対策はやっても良いが、まだ新しい技術を使うことで注意力が削がれている可能性も高いので、まずはミスよりも習得課題にフォーカスする方が重要
5-3: 5年生後半から算数の成績が下降気味です
51:44から再生
いつもお世話になっております。
もともと算数は苦手ですが5年後半からさらに算数の成績が悪くなっています。
相談等はできないでしょうか。
特に6年生に入ってからの1回のテキストで扱うポイントのバリエーションが増えていること(5年生のNo3個分ぐらいのポイントの量)によって、「習得」に関して消化不良になっている可能性が高い。
本来は6年生前半の時期は、テストの点数よりも、「しっかりカチッと理解した範囲が得点できているか」を確かめることの方が重要。
自分の努力の成果、つまり習得したポイントが得点できているかどうかを1個1個確認して欲しい。逆に「まだしっかり復習できていないもの」が得点できていない場合は、落ち込み過ぎないこと。夏までにしっかり1つ1つポイントを学ぶことができれば、秋以降、検索課題の対策を入れて飛躍的に伸びたケースも多い。
5-4: 流れに沿って丁寧に類題にも取り組んでいるものの、成果が上がりません
57:48から再生
最近はサピのビデオの次にコベツバさん授業形式を見ながらすすめ、ABCをもう一度解いて、D、応用のビデオにいって、
他の復習問題をやったのち、もう一度その単元、デイリーサピックスをおこなっています。
勉強していないならまだしも、自宅学習でたくさんの時間を使い、コベツバさんの類題もしっかりとけるようにD
問題も全部とけ、デイリーステップも基礎トレも基礎トレテストも時々90、ほぼ100%できていました。まちがえた問題も復習していました。
時間がなくなってきてしまいあせってきています。
勉強方法のアドバイスをお願いさせてください。
「ミス」「プレッシャーで頭が真っ白」「時間不足(解くスピードが遅い)」以外の原因としては、多量のポイントを一気に習得したことによる消化不要で「検索課題」が発生している可能性が高い。
・「すぐに解法が出てこなかった」「ポイントを言われればすぐに思い出せる」
・直近で復習したことがあるのにできない
などのエビデンスがあるのであれば確実に検索課題。
検索課題のアプローチ方法「どういったときにそのポイントを使うかを自分なりにかく、説明する、ポイント動画をまとめる」という行為を通じて、検索課題を鍛えていく必要がある。
時間がなくなってきているのであれば、逆に「解説動画をすでに見ていて、すでにわかっているものをもう一度やる=あまり身になっていない」という時間を減らしていくことで、検索課題にアプローチする時間を捻出する。
6: 最後に
63:28から再生
やってもやっても身につかない、無間ループのように感じられる瞬間もあるだろう。
でも、中学受験の算数には天井(終わり)がある。
少し時間がかかったとしても、1つ1つ習得していくことに尽きる。